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走れ!シノーン!



 ─────クソクソ…… つまらん!



 「私の所有する町で生産された蒸気自動車の利権でさらに奴隷を買い女を痛めつけようと思ったのに…あのクソ供め!勝手に大公にとり入ろうとしやがって!」


 ゾリゲは先程まで、痛めつけながら無理矢理に抱いていたトロスの町娘の足首を持ち、床を引きずる。

 ゾリゲによる無理矢理の性行為で町娘の股は裂けグジュグジュと血が流れている。


 町娘はゾリゲとの一線を超える時に抵抗した。

 その時に殴られて片目は腫れてしまい血が涙のようにツッ…… と流れている。


 醜いゾルゲにそこまでされたのに、町娘の表情は恍惚と喜びの中…… 覗き込むと目は(うつ)ろで薬物により強制的に『気持ちよく感じる』ようにされてしまっていた。


 しかも、薬から醒めないように丁寧に精神も黒魔法で犯されてしまっている。


 この精神作用の黒魔法をゾリゲは使えない。


 楽しむためにワザワザ高い金を使って雇っているのだから気の狂っているおかしな話だ。

 ゾルゲは暴力を使い無理矢理に犯すのに、心から女に好かれたいという(いびつ)な変態趣味を黒魔法と薬を併用して、自分の欲望を満たして楽しんでいる。


 ゾリゲは手に持ち引き摺っていたオモチャな飽きて、部屋の隅に投げると、そこに誰かいるのかクチュクチュと何かを舐める音と町娘の嬌声が聞こえ始めた。


 ゾルゲはそれを見て満足そうな顔をして、ボソボソと独り言を(つぶや)く。


 「あの新しい町の町長の妻、キルケと娘のキュレネは美しいと聞く…… 壊したいなぁ…… 愛し合いたいなぁ……」

 さっきまで楽しんでいたのに、縛り動けない美人と美少女を裸に剥き、母娘の体を交互に(ねぶ)りながら少しずつ犯す事を想像して男性のモノがムクムクと元気になる。


 しかし大公に取りいられるのは確実だろうと現実にかえる。


 蒸気自動車という手土産があるのだ、貴族になる確率はかなりと高い。


 ─────クソクソクソ!クソ!!

 …… あ、そうだ。とゾリゲは唇を歪めて笑う。


 「どうせ手に入らないなら、私の手で潰してしまいたい…… うふぅふふふ…… おい黒魔術師! 追加の報酬を払う! なんとかならんか!? 」

 薄暗い部屋の(かげ)でゾルゲのお(こぼ)れの町娘を抱いている男に叫ぶ。


 「ふひっひっひ追加の報酬でずかぁぁあ?なら次のゾルゲ様が抱いた女がほじいでずだぁ」



 部屋を照らす蝋燭(ロウソク)の光を避けるように部屋の隅の暗闇からヌルッと現れた鼻のない男が息を漏らしたような音を出しながら笑う。

 この黒魔術使いは魔法使いでは無い…… わけではない。


 とある国の拷問官として働いていた過去がある。

 国民を家畜のように扱う、その国で精神侵食や破壊の為の魔法研究と麻薬や毒薬を使い幻覚を起こす魔術の研究をしてきていた。

 

 その毒薬の調合にある日失敗し、ジュクジュクと溶け出した鼻を自分で切り落とした。

 壊死のように徐々に広がると事前の人体実験で知っていた為だった。


 先程まて遊んでいた美しい町娘は、もう壊れてしまい楽しくないのだろう。

 ニヤニヤ笑い黒魔法使いは小瓶から液体を胸に垂らし声が出ないほど痛がり体を捻らせる町娘にまた、気持ちの昂りを感じながらゾルゲの返答を待つ。


 「ふむ、良い!やろう!」

 「ふひょ!()したら私が魔術により改造させた魔物を使い、その新興の町に誘導すればよろじい…… ごの季節には面白い魔物がおり"ましてなぁ…… それを捕まえて実験じでいた所でしたでふしゅふしゅ…… 」


 ゾリゲがニィッと笑い、その作戦を黒魔法使いに命じた。

 町を蹂躙すべく話しをしたその数日後の夕方に、シノ達一行が町を発ったとのゾルゲは知らせを受ける。


 町長(オーディオ)は冒険者として少しは有名だった

 奴がいないなら、成功率も上がるだろう……ヒヒヒヒ……

 なんなら無傷でヤツの妻と娘を……ヒヒヒ……


 ゾルゲは、オーディオの妻キルケと娘のキュレネをどのように犯し、どのように痛めつけようかと想像する。しかもその後、黒魔法使いの母娘拷問ショーも見られるのかと…… どうも我慢ができなくなる。


 「おい!どこかの村の母娘の親子を捕らえて来い!出来るだけ乳の大きいのを今回は所望する!」

 ゾルゲはキルケとキュレネの代替品として、他の親子で遊ぶようだ。

 それを影で見ている黒魔法使いは、待ってましたとばかりにニヤリと笑う。

 

 「ふしゅふしゅふしゅ…… 次は肌が融解・接着する薬を使って母娘をくっつけてじまいまじょうかね?」

 黒魔法使いは犠牲となる母娘の乳を2度と離れないように接着して動けず痛がる母娘を犯してやると心に誓っていた。


 


☆★

 (シノーン)、がいない町では、ある魔物の異変が起こっていた……

 「キャンサースライム? 」

  俺は聞いた事がない魔物の名前に首を傾げる。


 「そうだ、その魔物がシノの町に向かっていると鳥使いから連絡があった」


 鳥使いとは文字通りに鳥や鳥系魔物を魔法で(したが)える事ができる者達で、この星の情報戦には不可欠な存在…… だったかな?工場の素材依頼でアーネが依頼していた[記憶]がある。

 

 …… (はやぶさ)という鳥が地球にいる。

 獲物を捕まえる時の降下スピードは300キロを超える。その隼のような魔物を使役しているみたいでスタミナ・スピードはさすが魔法の世界の魔物、遠距離を凄まじい速度で仕事をこなしてくれる。



 「キャンサースライムとは聞いた事が無いのじゃが…… う〜む…… ?」

 シートさん(武器の師匠)が疑問の声をあげる。


 ドワーフであるシートさん(武器の師匠)の言葉に臣下のセバスチャンがメモをめくり説明する。


 「キャンサースライムは(キャンサー)スライムという名前からきています。」

 …… 癌細胞のスライムか、嫌な名前だな!


 「外的ダメージによる分断・分裂・吸収で増えるのではなくスライムの心臓である核が増えるとの事です。」

 命が増える…… 細胞分裂を際限なくしてしまうのか?だから癌スライムか。


 「鳥使いが試しに、操作する鳥系魔物の(くちばし)や爪での物理攻撃、風魔法での魔法攻撃をしましたが…… 核が増えスライムの体積が増えただけでした…… つまり事実上の無傷で、しかも進行上に他の魔物や崖などがある場合、巨大化が進むと考えられます」


 どう対処すればいいんだ?

 辺りは静まり返る……


 「キャンサースライムを倒すには、生命維持を止める冷却して固めるか、電撃を流して核自体を一気に潰す事で対応できると報告があります。…… しかし……今もおそらく大きくなっているでしょう…… 」


 

 発見された時にはこの大公様の庭園より大きかったという報告が続くと兵士が騒めく。こな庭より大きなスライムとか…… 悪夢だ。


 「それを凍らせたり電撃を通し続けられる魔法使いは町にいらっしゃる?」


 臣下のセバスチャンの疑問の言葉に血の気がサーッと引く。キュレネ()母さん(キルケ母さん)自然属性(エレメント)適正で氷と雷の魔法は使えない!

 

 町には母さん(キルケ母さん)キュレネ()以上の魔法使いは存在しない!ヤバイ!


 「父さん!俺、行くわ!」

 「まてシノ!今すぐに蒸気自動車を回してくる!一緒に駆けつけた方が…… 」



 俺はゆっくりと首を横に振り、父さんに安心させようと微笑む。

 「ゴメン父さんそれじゃあ間に合わないよ…… 」

 俺は…… 超能力の瞬間移動(テレポート)で上空に飛び上がった


 大公様や兵士がこっちを見上げているのが見える。

 

 父さん…… ごめんね


挿絵(By みてみん)


 俺は…… 蒸気トラックで王都に来た道を思い出しながら、町への方角を定めて瞬間移動(テレポート)を使った。



 そのシノーンの行動を見ていた大公の庭ではざわめきが起こった

 「飛んで…… 消えた? 」

 オーディオは自分の息子の行動に混乱していた。

 魔法残渣(まほうざんさ)もないのに空を飛んで消えたのだから当然で、大公や兵士も状況の把握に動き出す。



 「シノ様は大丈夫ですわ」

 アーネの声に皆が振り返る

「アーネさんシノは…… どうなったんだ?」

 オーディオはアーネが『何か知っている』と思い問いかける。


 「シノ様は空を走り凄い距離を一瞬で移動できます…… 私のシノ様は凄いんです……」

 あの日、自分を助けてくれた勇ましく美しいシノーンの姿を思い出してアーネの顔は赤くなり、恋に落ちたように目を潤ませた。


 オーディオは、そのアーネの顔をみて泣きたくなる。

 「俺は…… シノの事を本当に何も知らないな」

 

 その情け無い表情を見られるのがどうしても恥ずかしく、オーディオは町に戻る為に大公様に献上する予定だったスペシャル仕様の蒸気自動車に走り乗った。



☆★

 「間に合ってくれ…… 」

 シノは限界まで魔法で身体強化をしながら、今まで経験した事がないほど長距離の瞬間移動(テレポート)を繰り返していた。


 瞬間移動(テレポート)のため、亜空間に足を置くたびに体にダメージが蓄積されていく。


 足の血管が切れて血が流れる。

 助骨が折れて(きし)む。

 口から血が流れてくる。


 それを回復魔法で無理矢理に回復させながら、さらに長距離の瞬間移動(テレポート)を無理やり()り返す。


 シノーンの前世…… 蝶野洋力は地球で老いた後に死んだ。


 その年齢まで生きたのだから、もちろん地球での母の死も経験している。

 地球での母は(ほが)らかな人で毎日、子供が楽しく暮らせるように生きてくれた。


 事故などめ無く穏やかに洋力と妹を見守り、慈しみ愛してくれて、立派と誇れるか分からないが無事に大人にまで育ててくれた。


 母は老衰で死ぬ時まで洋力と妹を気にしてくれていて、最後の言葉まで子供として愛してくれていた。


 「今日は…… 何か良いことあった?」


 「お母さんが元気にならないと良いことなんて何もないよ。」という言葉は…… 洋力は口に出来なかった。


 きっと母さんが困ってしまうから。洋力はうんうんと(うなず)いて母の手を摩るだけ。

 それだけしか出来なかった。


 その時に気の利いた事でも言える性格なら良かったのに…… と、何年も自分のダメさに悲しみ、それを受け入れるまでに時間がかかった……


 「母さん…… キュレネ…… 無事でいてくれ」

 また母さんとキュレネに「ただいま」と笑いたい。それだけで瞬間移動(テレポート)の痛みも耐えれる。シノーンはそう思った。


 シノーンは血だらけになりながら町に向けて瞬間移動(テレポート)で走り続けた。


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