銃をうつよー!
王都へは蒸気トラック2台で向かっている。
え?蒸気でトラック?とお思いでしょう?
ちゃんと地球のスチームカーヒストリーに蒸気トラックってあるんです。
内燃機関を使った車…… つまりガソリン車とシェアを争おうとしていた会社もあったぐらい蒸気トラックは歴史的に新しいものだ。
ターマック社のロゴが入った蒸気トラックなんて強そうで心がウキウキする。
そんな、強い蒸気トラック2台で王都に進行している。
搭載物の割り当てはというと……
1台目] 銃火器と弾薬、生活用品を積んでいる。
2台目] カーキャリアとして運用する為に、荷台が外され大公様に献上する豪華な装飾がされたスペシャルカスタム蒸気自動車が積載されている。
王都まで馬で急いで一週間…… 蒸気トラックでなら急いで数日で到着するだろうな。
ま、俺の超能力ならスグなんだけどね!ドヤァ!
「シノ…… このトラックというのは素晴らしいな」
「でしょ? 父さん、疲れたら運転かわるからね」
1台目の先導トラックには俺と父さんが搭乗していて、即席に作った後部座席では後ろの荷台の銃火器を目視監視しているアーネが座っている。
2台目のカーキャリアにはドワーフで俺の武器の師匠で、エンジンブロック作成の責任者であるシートさんが乗車している。
…… 今思うとシートさんをメチャクチャ働かせているんだな…… 役職手当とかつけないといけないよね。
なぜシートさんを連れてきたかというと、もし魔物が出た時に他のドワーフでは戦力的に心許ないからだ。
やはり率先して俺に戦い方を教えてくれているだけあって、ウチの工場のドワーフではではシートさんが一番の猛者だ。
エンジン作成の殴り合いでも勝っていたしな。
…… 体毛がモサモサの猛者なシートさんか覚えやすいな。
カーキャリアには蒸気自動車の荷重があるのでシートさん1人が搭乗している。
そうそう、この編成で王都に向かう!と発表した時キュレネはめちゃくちゃ怒った。
「キーッなんでこの狐女がお兄ちゃんと一緒に行くのに私はダメなの!? 」
うわー…… 本当にキーッって言ったわー
「キュレネそんなに王都に行ってみたいの?」
ちょっとドン引きしながらキュレネに今回の編成理由の説明をはじめる。
「製作者の俺は当然として、父さんはこの町の代表として王都での謁見に参加するのは必須だ」
うーっ…… と唸り父さんを睨むキュレネ。
「アーネは、工場の管理をしている。彼女がいないと王都での荷下ろし管理がスムーズに出来ない。また大公様の追加要望とかがあると対応にアーネがいると心強い」
「あらあら、ごめんね?キュレネ」
「くっ…… このキツネ女…… 」
キッと睨むからアーネはキツネ女なのかな?
女キツネ…… メギツネ?アーネって誰か男を誑かしていたかな?やっぱり睨むからだろうな。
「お兄ちゃん、シートさんの蒸気トラックあるじゃない」
「んー、2台目の蒸気トラックはカーキャリアに換装してるから重量がかなりあるんだよ…… 出来るだけシートさんだけに乗車させたいんだよね」
それにシートさんは護衛はもちろん、蒸気トラックと銃製造に就役しているので運転もそうだけど、大公様への説明の補助にありがたい。
「という訳でキュレネごめんなぁ〜…… また王都に一緒に行こうな」
強行路線を伝えるとキュレネは真っ赤になって俺とアーネを見る。
そんな悲しい顔しないで…… あれ?アーネの方には鬼みたいな顔で見てるな? 最近のキュレネはお兄ちゃん子を通り過ぎた凄味があるな!
「もう!お兄ちゃん…… くんかくんかくんくんくんくん…… 」
怒りながらキュレネがまた俺に抱きつく…… クサい?お兄ちゃんクサいの?やだ!臭わないで恥ずかしい……
「ちがうもん…… アーネと一緒に行って欲しくないだけだもん……くんくんくんくん…… あ〜いい匂い…… 」
小声で話すキュレネの言葉は参加が決まったシートさんを揶揄うドワーフ達の笑い声でかき消されて行った。
★☆
「────シノ」
「分かってる」
お昼を食べる為に王都への街道端にに沿って蒸気トラックを駐車しているんだけど、道を挟んだ街道向こうの森に魔物がいる気配がする……
木の合間からチラリチラリと太陽に反射した目がこちらを見ているのが分かる。
「…… 父さんが殺るか?」
「さすが元冒険者だね…… 力強い言葉が頼りになる。でもちょっと待って…… 」
元を付けた所で父さんは苦笑する。やっぱり父さんは苦笑が似合うよ!
雰囲気を察して黙るアーネに後部座席に装備した銃を取ってとお願いする。チラリとシートさんが乗る蒸気トラックを見ると、興味深いと顎を撫でるシートさん。見学に徹するようだ。
「…… ルベルM1886[MA]の試し射ちは主に木材やオーク肉のブロックで行なっていたので丁度いい。」
アーネが渡してきたルベルM1886[MA]は管状弾倉を採用しているので8発の弾を装弾できる。
魔物の反応は3匹。一応万全の状態に用意する。
8発の弾を装填、目に強化魔法をかけて視力を上げて森を確認する。
「ワイルドベア…… 熊の魔物か」
父さんも見えたようで頷く。
熊か…… 日本ではマタギの仕事だな。
ゆっくりと静かに蒸気トラックな扉を開き、地面に降りて膝をつく。
ヒューッと息を小さく吸い、銃を魔法で強化。
照準ゆワイルドベアに合わせる。
────ヒュッと小さく息を吹き
────引き金を引く!
────ドン…… !
ルベルM1886[MA]が火を吹き、ワイルドベアが1匹倒れる。
「1匹…… 」
確認するようつぶやく。魔力で強化している弾は森の奥にいるワイルドベアを貫いた。
「この距離で届くのか…… 凄いな」
父さんの呟きを聞き流す。
爆発音と同時に仲間が倒れたのを見た、他のワイルドベアが警戒して木の間に立ち止まる……
────止まるのは銃には逆効果、だ。
────ドン!ドンッ…… !!
立ち止まってくれたおかげで、ただの標的となったワイルドベア2匹をヘッドショットで潰す。
シートさんが確認の為に剣を持ちらワイルドベアの方へ走って行くのを確認して一息つく。
「シノ…… お前は一体…… なんで銃なんかホイホイ発明出来るんだい? 」
「さぁね? 」
適当にはぐらかす事ができるかな…… でき…… できた!できたよ! 父さん苦笑して銃を観察してるわ。
この感じは話が一旦終わった感じや!
「いやー…… 製作期間が短くて板やら死肉にしか試し射ちしていなかったが実際の魔物に使うと凄いのぅ」
シートさんの話では頭に弾が当たワイルドベアは、頭から肩までゴッソリと肉片を吹き飛ばし無くなっていたそうだ。
「魔法強化と何かの属性で弾を強化しなすったのかい?シノ様? 」
「ああ、光魔法を付与したからなぁ。光で被弾した時に蒸発したんだろうな」
ついでにワイルドベアの素材を持って帰って来たシートさんにお礼を言う。今日は熊鍋にするかな?
「シノ…… 」
「何? 父さん? 」
「シノは光魔法も使えるのかい? 」
しもたぁー最近普通に魔法を使っていたから父さんに隠していたの忘れてた!
「オーディオさんそれはちがうのぅ」
シートさんどうしたの? アーネもなんでうなずく?
「シノ様はおそらく全属性の魔法を使えますぞ? 」
うわー!あかんがなー父さんドン引きして、みるみると悲しい顔になっとるがな!
これは人伝いじゃなくて息子が言うとかなアカンかったやつや!
「あの…… ゴメンね? 隠していて…… 父さん? 」
「うん…… 次からは言ってね?」
あかんがなー父さん泣いてるがなー!繊細なやつやでー!




