宴会!
B火薬の作り方は、アレやコレやを混ぜてニトロセルロースを作り…… アレで混ぜて紙にのばして裁断すれば作れる。
さらに新しい火薬までの物はまだ要らないだろう。
そこまで行くと、この世界では本当にオーバースペックだ。こかまでで、今は止めておくべきだと思う。
火薬生成…… これはドワーフの手先が器用な奴と、町の鍛冶屋に任せる。
村鍛治から町鍛治にジョブチェンジした俺が小さな頃からの顔馴染みのおじさんだ。
信頼できる人に火薬は任せたい。技術が流出したら簡単に爆弾が作れてしまう危険物だからな。
「事故が多い作業なので少人数で確認をし合いながら作業するように!」
俺が訓示を述べると正式名称[火薬類取扱室]が初稼働する。
しかし…… 元々、汗くさいドワーフが詰めて作業する火薬作成室ってばね、もう凄く臭いの!
火薬を取り扱うもんだから、締め切った狭い部屋での仕事だからドワーフ臭が凄いの!
町長として[火薬類取扱室]の視察または冷やかしに来た父さんも涙目になる窮境!
あ、町鍛治さん耐えて下さい。給料は2倍…… え?ダメ?じゃあ3倍にしますから?
町鍛治さんの犠牲で火薬の作成は進んでいく。
なんでドワーフ同士は臭く無いんだ?
同族だからか?でもアネゴは臭がっていたよな?
………臭くなくなる魔法でもあるのか?…… まさかな?
「さて、オマエら!銃火器、名前はルベルM1886小銃!それを作るぞ!」
地球時間、西暦1940年までフランスで使われていたライフル銃だ!
コレを作れたらなぁと[記憶]から引き出した図解紙にアウトプットしながら描きあげた。
その図面を見ながら、ドワーフに比べたらまだ不細工だが、俺の土魔法で全体と各所パーツの模型を作った物を会議室で発表すると、文字通りにドワーフが飛び付いた。
武器を何百年〜何千年と世代を越えて作ってきた種族だから、俺の説明と模型・書類を見ただけで銃がこれまでに無い未知の武器だと分かったようだ。さすがドワーフ。
ドワーフ達はジッと図面と模型、バレルの精度や鉄の厚み、ライフリングの意味等を書いた書類を見た後に会議室をゾロゾロと出て行く。
────「あー無理か?作ってくれないか」
キュレネと見つめ合って意気消沈。
見つめ合い潤んだ瞳になったキュレネが俺を抱きしめて慰めようとしてくれているけど…… 何とかしないと…… 心が焦る。
「ん?」
「お兄ちゃん、なんか騒がしいね?」
疑問に思って一応、構えていると酒や肴を持った工場にいるドワーフ全員が会議室に集まった。
会議室の収容人数オーバーキツキツの中で酒盛りをしながらのドワーフの侃侃諤諤が始まった!
あ、町鍛治さんも?ゆっくり休んで下さいね?
「俺は銃の担当がいい!」
「俺は弾の地味な作業は嫌じゃあ!」
「まず道具を作らにゃならん!シノ様を監禁じゃあ!」
そんな勝手な欲望をドワーフが言い合いだした。
じっと聞いていた筈のアネゴが巨乳を揺らしながら銃身を作りたい!と泣き出し駄々をこねたので急遽ジャンケン大会へ……
それぞれの銃火器作成の所属が決まる中、次は金で所属を買おうとするバカが出始めた。
それならぁ!…… と所属を売ってもいい阿保が手を挙げてオークションが始まる。
烏賊の燻製を蝶ネクタイに見立てたお調子者で軽佻浮薄なワルフがオークションの司会者となり酒の場がさらに盛り上がる。
結局はアーネに止められてジャンケン後の所属に戻されると皆んなが密談のようにボソボソと銃火器の未来性を語り出した。この感じはあれだ、キャンプファイヤーの終盤に静かになる感じ。
突然の意見の相違で荒れる飲み会場。
酒で気分が良くなり暴言を吐く奴らが喧嘩をしだして窓から外に飛び出す!皆んなも、それに続いて月の下で喧嘩観戦!
騒ぎの通報を受けて父さんと母さんが怒りに来て工場の皆んなで正座。
え?俺も?
え?私も?(キュレネ・アーネ・アネゴ)
「全員、正座に決まってるでしょうが!」
おうっふ母さんのカミナリでドワーフの酔いも覚めたようだね。よかったよかった。
しかし、今夜は大いにみんな馬鹿で、大いに楽しかった!
…… 酒が飲める年齢なら良かったなぁ……
…… こんな奴ら大好きだわ。
☆★
次の日から正式に銃火器作成が動き出す。
蒸気自動車の作成はもちろんストップした。
大公様からの下令が貴族間に伝わっているのか苦情は全くない。商人でさえも「大公閣下のお言葉なら…… 」と目線を落として引き下がった。
…… 大公閣下ってやばい人なの?あれ?俺よく考えたら大公様の事を全く知らないわ。
魔法がある世界では思想や想像が整えばモノが作れる。魔力や経験豊富なドワーフは寝るのを惜しむように仕事に没頭する。
銃身なんかはすぐに精度はまだ低いけど、形にだけにはなるが…… 施条は難しくて専用の機械を作る必要があった。
ライフリングってのは、銃の中にあるヒダヒダ螺旋のヤツだ。
試行錯誤を繰り返し土嚢と鉄板で作った銃の固定器具に銃を固定しての試射を繰り返す。
再試験!再試験!と何度もテストを繰り返し、暴発をしないようになり、銃の精度が安定しだす頃…… 季節は秋になっていた。
大公閣下ともなると謁見の予定もなかなかとれない。
だが今回はそれが幸いして、謁見までの時間の余裕がまだある。
さらに試射とテスト、部品のブラッシュアップを何度も何度も繰り返し……
やっとルベルM1886[MA]が完成した。
[MA]は魔法(Magic)の頭2文字をつけた。
魔法(maho)のMAじゃないよ?ホントだよ?
なぜ魔法が銃に関係があるのか?という疑問に答えないとならないだろう。
このルベルM1886[MA]は地球の銃とは作成する環境が全く違った。
魔法があり、それを使い作り上げた物なのだ。
魔法を銃に利用できないか?という意見がでるのは当然だったといえるだろう。
このルベルM1886[MA]の銃身には魔石が装飾として填められている。
いや、飾りではないな重要な機能として魔石がはめられているのだ。
銃を構え、魔石に魔力を込めると、銃身と弾丸が魔法によって強化される。強化された弾丸は魔法によって曲がりにくく補強魔法を付与されたライフリングから射出されるのだ。
自然属性適正、それぞれの人の適正魔法を付与できるこの異世界のルベルM1886[MA]は速度と破壊力、銃の耐久性が地球のモノとは全くの別物に進化しているのだ。
これで完成だと思っていた…… が、属性を載せられるなら、それもテストが必要だとドワーフが騒ぎ出した。
もうすっかり銃に魅せられ銃の職人になってしまった一部のドワーフに責付かれて、試しに雷魔法を追加付与して試射をひたら初速が早すぎて一瞬だが弾丸が雲を引き、反動で思わず尻餅をついてしまった。
弾丸の当たった木の的には、雷を象ったようにリヒテンベルク図形が刻まれ、そこから火が上がり砕け落ちた。
「納得がいくどころかかなりヤバイ物を作ってしまった…… 」
…… これ、大公様に会いに王都へ旅立つ前の日の事なんですよね…… ははははは……
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ワルフは優しい目をしている
あと胸毛ボーボー




