第2話 勇者パーティ、追放会議
第2話 勇者パーティ、追放会議
勇者パーティの荷物持ち兼雑用係。それが今の俺の肩書きだった。
剣も魔法も平均以下、でも読み書きと計算だけは得意だったから、王都での振り分けの結果、俺は勇者レオハルトの部隊に回された。名誉ある配属、のはずだった。
現実は違う。
「敵に好かれる能力? ははっ、戦場で一番いらねえな」
焚き火を囲んだ夕食の席で、魔術師セドリックが声を上げて笑った。槍使いのミラも、盾役のガレスもつられて笑う。
俺が昼間のゴブリンの話をしたのが失敗だった。
「敵がパンをくれた? 毒入りかもしれないだろ」
「いや、俺が先に食べましたけど」
「じゃあなおさらバカだろ」
再び笑いが起きる。
勇者レオハルトだけは黙っていたが、やがて静かに言った。
「カイ。前から思っていたが、お前はこの部隊に向いていない」
火のはぜる音がやけに大きく聞こえた。
「雑用なら誰でもできる。戦場で必要なのは結果だ。敵の好感度が見えるだけでは、俺たちの背中は守れない」
反論はできなかった。俺だって、役に立てていないことくらい分かっている。
「明日付で辺境砦の補給係へ回れ。手続きはしておく」
あまりにあっさりした追放だった。
悔しかった。みじめだった。けれど、胸の奥にほんの少しだけ安堵もあった。ここではいつか本当に死ぬと思っていたからだ。
夜更け、寝床に戻ると、荷袋の中に昼間の黒パンがまだ残っていた。割ってみると、中から小さな木片が出てきた。
拙い人間語で、こう彫られている。
『ミカタ』
誰が。何のために。
俺は木片を握りしめたまま、眠れない夜を過ごした。
そして翌朝、辺境砦へ向かう荷馬車で、俺は二度目の非常識に出会う。




