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第16話 俺は敵か味方か
第16話 俺は敵か味方か
ハルトの城門前は、すでに修羅場だった。
正体不明の武装集団が市壁を占拠し、人間兵と魔族兵が互いを誤認してぶつかりかけている。そこへ商会の私兵まで混じっているから、もう誰が誰だか分からない。
「カイ、指示を!」
なぜかルナにそう叫ばれた。
俺は指揮官じゃない。ただの元雑用係だ。
でも、この場で両陣営から言葉を通せるのが自分だけだと気づいてしまった。
「人間側は西門から避難誘導! 魔族側は北の壁の火を止めて! ミアを探す班は俺とレティシア、ルナ!」
叫んだ瞬間、兵たちが動いた。
敵でも味方でもない。今はただ、俺の言葉で動いている。
走りながら、ふと思う。
俺はどっちの側なんだろう。
人間として生きてきた。だけど魔族は俺に牙を向けなかった。人間側には俺を追い出した連中もいれば、信じてくれる仲間もいる。
答えはまだ出ない。
ただ、目の前で死なせたくない相手が増えすぎた。
地下牢でミアを見つけた時、彼女は鎖につながれながらも気丈に顔を上げた。
「遅い」
その一言に、なぜか少しだけ救われる。
だが扉の外には、セドリックが待っていた。
「お前のせいで全部狂ったんだよ、カイ」
彼の手には、王都製の爆破杖が握られていた。




