13/20
第13話 裏切り者は誰だ
第13話 裏切り者は誰だ
停戦が破られた責任を、双方の強硬派はすぐに相手へ押しつけた。
「やっぱり魔族は信用できない」
「人間どもが先に仕掛けた」
怒声が飛び交う中、俺は燃えた木箱の破片を机に置く。
「これ、どっちの軍のものでもないです」
会議室の全員が黙った。
王都商会連盟の紋章。それは戦場で見るものじゃない。
レティシアが歯噛みする。
「補給契約を握ってる連中ね。軍の上層ともつながってる」
さらに調べると、停戦線の警備配置が何者かに漏れていたことも分かった。つまり内部に内通者がいる。
疑いの目は自然と現場の誰かへ向く。人間側か、魔族側か、あるいは両方か。
その時、ルナが血相を変えて駆け込んできた。
「ミア様がいない!」
胸が冷えた。
護衛をまいたのか、誘拐されたのかは分からない。だが好感度100の相手が消えたという事実は、俺に嫌な予感しか運んでこない。
手がかりはひとつだけ。彼女の部屋に、王都式の封蝋が落ちていた。
「これ、王国の印だ」
レティシアの表情が凍る。
停戦を壊し、姫を攫い、互いに疑心暗鬼を広げる。
やっていることは一貫していた。
全面戦争に戻したい誰かがいる。
俺たちはその夜、魔王城へ向かうことになった。




