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第11話 赤角将軍は猫が好き

第11話 赤角将軍は猫が好き


魔族領は、思っていたより静かな場所だった。


荒野の向こうに黒い城壁、そこへ続く街道、等間隔に並ぶ見張り塔。恐ろしいというより、きちんと整備された軍事国家という印象が強い。


俺とレティシアはヴァルガスの護衛で城砦都市ゼルグへ入った。街の魔族たちは敵意を見せなかったが、好奇心に満ちた目でこちらを見る。


そしてもちろん、俺の視界には見えてしまう。


【好感度 75】

【好感度 88】

【好感度 91】


なんでそんなに高いんだ。


通された会議室には、赤角の女将軍がいた。名はサーシャ。鋭い目つきに反して、机の下から小さな黒猫が出てくると一瞬で表情がゆるむ。


「……見たな?」


見ました。


レティシアが肩を震わせている。笑いをこらえているのが分かる。


会議そのものは真面目だった。最近、王国側でも魔族側でも補給庫爆破や偽命令が増え、前線の指揮系統が乱れているという。


「戦争を続けたい者がいる」

「でも表向きは互いを憎んでるから、全部敵のせいにできる」


俺の言葉に、サーシャがうなずいた。


「話が早い男は嫌いじゃない」


好感度が84から86に上がった。やめてほしい。


会議の最後、ヴァルガスが言った。


「明日一日だけ停戦線を作る。そこで現場同士の衝突を止める」


成功すれば前進。失敗すれば、俺は両陣営から裏切り者扱いだ。


その夜、猫に囲まれるサーシャを見ながら、俺は自分がとんでもないところまで来たと実感した。

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