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第10話 魔族領への招待状
第10話 魔族領への招待状
砦へ戻ると、待っていたのはレティシアとバルドだった。
二人とも隠す気のない顔で俺を見る。どうやら尾行されていたらしい。
「魔王の娘と会ってきたわね」
即死級の言葉だった。
だがレティシアは剣を抜かなかった。代わりに机へ一通の封書を置く。
王都から届いた正式命令書だ。そこには、辺境戦線における“限定停戦交渉の可能性を探れ”と書かれていた。
「上も現場が崩れかけてるのは分かってる。でも誰も、最初の一歩を踏みたくない」
レティシアは疲れた顔でこめかみを押さえる。
「だから、あなたが踏むのが一番都合がいいの」
ひどい理屈だ。でも否定しきれない。
その夜、砦の一室で小さな会議が開かれた。参加者はバルド、レティシア、エレナ、ラッセル、そして俺。
結論はひとつ。俺が魔族領へ行き、停戦の糸口を探る。
「もちろん護衛はつける」
「誰が?」
「私よ」
レティシアが迷いなく答えた。
人類最強が護衛。安心するより先に、荷が重すぎて逃げたくなる。
出発は二日後。
その夜更け、倉庫で荷物をまとめていると、窓から小さな影が飛び込んできた。
ルナだ。
「歓迎されると思わないでね」
そう言いながら、彼女は笑っていた。




