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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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285/294

285話 防衛戦を勝利す

防壁近くで呆然と立ち尽くしている周辺国兵に向けて、迫撃砲の榴弾が再び放たれる。


トゥーンッ! トゥーンッ! トゥーンッ!

トゥーンッ! トゥーンッ! トゥーンッ!


ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!

ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!


爆炎が兵を吹き飛ばし、血と土にまみれた死体が折り重なっていく。


「……くそ、負け犬奴隷が……ここで勝っても、どうせまた奴隷だ!」

「お前らがイスパニアに勝てるもんか……!」

「うわあああああっ!」


ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!

ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!


「砲撃、止め!」


昌祐の指示が飛び、戦場に再び静けさが戻った。

生き残った周辺国兵が、この隙に逃げ出そうと一斉に後方へ走り始める。


弾薬の補給を受けたアステカ兵たちが、再び出撃する。

逃げ惑う敵兵の背に、無慈悲な散弾を撃ち込み、次々と地に伏せさせていく。


「やめろ! 負け犬の――」

「奴隷がなんの……!」


その叫びを背に、倒れゆく者たち。


アステカ兵の攻撃から奇跡的に生き延びた者もいたが、運搬奴隷として連れて来られていた者たちから石を投げつけられ、頭に当たって倒れ込む者が後を絶たない。


この戦場を生き延び、メキシコシティへたどり着ける者は……50人もいないだろう。


山の上から戦況を見守っていたアステカの民たちの熱狂は、今や最高潮に達していた。

歓声が山々を揺らすほどに響き渡る。


「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


その声は、怒涛のように広がり、次第に一つのうねりとなって山を包む。


運搬奴隷として連れてこられていた者たちも、怯えと戸惑いの表情を消し、拳を突き上げながら声を上げる。


「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


やがて、アステカの民たちは歓喜と興奮に突き動かされるように、山を駆け降りはじめた。そのまま防御壁の背後に向かって続々と集結していく。


奴隷として連れてこられた者たちも、周囲の熱気に背中を押されるように斜面を登り、民の列に加わっていく。

そこへ、戦場から引き返してきたアステカ兵たちも合流しはじめた。


そして、民たちの視線は一斉に、防御壁の上――たった一人、凛と立つ若者に注がれる。

その眼差しは、敬意と希望、そして未来への祈りに満ちていた。


「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


何千もの声が重なり、山全体が呼応するように震えた。


俺は箱から、かつての王にのみ許された“ケツァール”の羽根で作られた冠を取り出し、

慎み深く、だが確かな手つきでチュィルトリの頭に捧げるように冠せた。


その瞬間――


民たちは、防御壁の上に立つチュィルトリへ一斉にひれ伏す。

まるで新たな太陽の誕生を仰ぐかのように、地に膝をつき、頭を垂れた。


そして、静寂の中――

チュィルトリが、事前に伝えておいた演説の言葉を口にし始める。

その声を、すべてのアステカ人が、息を呑んで待っていた。


「私は、皇帝クアウテモックの弟――トラウィクスカトルの子である。この冠が、その証だ」


……静寂……


「この時より、私はクアウテモック2世と名乗る。今後、イスパニアとの戦いの先頭に立つことを、ここに誓う!」


「アステカの民よ、共にこの国を取り戻そう。私に力を貸してくれ!」

一瞬の静寂のあと、地鳴りのような歓声が山全体を揺るがす。


「トラーカテオトル(神なる人)・クアウテモック!」

「トラーカテオトル・クアウテモック!」

「トラーカテオトル・クアウテモック!」


荒々しくも魂を震わせる叫びが、アステカの民から迸る。

拳を突き上げ、涙を流しながら歓喜の声を放つ者、地にひれ伏し感謝を捧げる者――山は熱狂に包まれた。


クアウテモック2世が掲げた手を静かに降ろすと、喧騒が潮を引くように静まっていく。

息を呑むような静寂の中、彼はさらに声を上げた。


「ここにおられるのは、日本という国の豊穣神様のご加護を受けた、大執政官様である」

「その大執政官様の力――そして、豊穣神の神威――見ただろう……!」

「我らアステカの民は、まさしく神に救われたのだ!」


再び、民の中から叫びが巻き起こる。


「トラーソカマティ・テオトル!(神に感謝を!)」

「トラーソカマティ・テオトル!」

「トラーソカマティ・テオトル!」


歓声が連なり、絶叫となって天を貫いた。


「体制を整えしだい、この国からイスパニアを追い出す! そして、奴隷とされた我らの民を必ず救い出す!」


民衆は、もはや激情の渦に巻き込まれていた。

武器を高く掲げ、天を仰いで叫ぶ者、膝をつき涙を流しながら両手を合わせる者。

その声は、山全体を揺るがす雷鳴のごとく響き渡る。


「トラーカテオトル(神なる人)・クアウテモック!」

「トラーカテオトル・クアウテモック!」

「トラーカテオトル・クアウテモック!」


それは、失われた帝国の魂が再び燃え上がった瞬間だった。


クアウテモック2世の隣には、“奴隷の代表”としてアカプルコに招かれていた者たちが、地に膝をついて控えている。


そのうちのひとり、事前に段取りを伝えてあったミスティトルが、ゆっくりと立ち上がり、民衆に向けて声を張り上げた。


「イスパニアの死体は全て火葬する! 放置すれば疫病が広まる。油断するな! それと、奴らの遺した武具、食料、馬車はすべてアカプルコへ運ぶぞ!」


「ウォォォォーッ!」 「ウォォォォーッ!」


アステカの民は手分けして、戦場に横たわる無数の死体の火葬を始め、軍装や食料の回収と馬車への積み込みに取りかかる。


熱気と煙、そして怒りと勝利の入り混じった空気が、戦の後を包んでいる。


俺たちは、これからの作戦を話し合うため、クアウテモック2世とミスティトルを伴い、港へと戻ることにした。


……それにしても、クアウテモック2世には『アステカの神に救われた』と言えと、伝えておいたのに、『豊穣神』に言い換えやがった。

(ややこしいことにならなければいいが……!)


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