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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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176話 ポルトガルの海上帝国

天文17年(1548年夏)――17歳


「そんな欲望にまみれた航海を、さまざまな者たちが何度となく繰り返していく。数え切れぬほどの船が、波に呑まれ、沈んでいったことだろう」


「だがその果てに、アフリカ大陸の西海岸沿いを進む新たな航路が少しずつ明らかになり、地図という形で残されていく」


「命を懸けた航海のたびに、船体や帆の構造は改良され、操船技術も洗練されていく。羅針盤を用いた航海術にしても、目に見えて進歩していくんだ」


「欲というのは際限がない。だが、人の欲こそが技術を進化させ、未知を切り拓いていく原動力にもなる」


「──ここまで聞いて、どう思った?」


「確かに……人の欲が、技術の進歩を促したことは間違いありません」

勘助は静かにうなずく。


「ですがその一方で……その欲の裏で、他国の民がどれだけ不幸にされたことか。進歩の陰には、必ず犠牲があるということでもありますな」


「そうだ、確かに船や航海術の進化は、その国の民には幸せをもたらした。しかし他国の民を不幸せにしてもいいという理由にはならない」


「もしもアフリカの国が、ヨーロッパ諸国よりも強ければ、アフリカの民は食い物にされなかっただろう。しかしヨーロッパの武器は銃と大砲だ。それに対してアフリカは、猟に使う槍と弓だ。勝つことは難しいだろうな」


勘助は苦々しげに言葉をつなぐ。

「結局……力なき国の民は、いつの時代も不幸を背負わされるということですな」


「そうなる。自国の民を不幸にしないためには、他国から自国を守る力を持っていなければならないということだ」


「民を豊かにすることと同時に、武器の開発や、戦術の研究もやり続けないといけないだろう」


3人が同意している。


「ヨーロッパの国々も我が国と同様、これまで飽きるほど、(いくさ)を繰り返してきたはずだ。その過程で武器、戦術、築城技術が進化してきている」


「兵制も、刀、槍、弓、騎馬を組み合わせるやり方から、銃や大砲を主体にするやり方に変わってきている。船には大砲が備え付けられるのだ」


信長が深く頷きながら言った。

「……なるほど。玄武王様が、刀や槍、弓といった武器を組み合わせる戦い方から、ライフル銃や砲を主体とする兵制へと改められたのは、そうした事情を見越してのことだったのですね」


「そういえば、勘助は築城のことをよく研究しているな……」


「西洋の城はこんな星形をした要塞も築かれ始めている。こういう形であれば防衛上の死角がない。また砲撃による攻城戦に対応できるよう、城壁も厚く設計されるようになってきているのだ」


俺は、鉛筆で絵を書いて説明する。


「これは興味深い形状ですな。自分でもいろいろ絵を書いて研究することにします。新しき技術を知ることができてうれしい限りですな」


「では、話を続けよう。オスマン帝国を経由しないで、天竺や東南アジアのスパイスを手に入れることのできる新たな海路を探すという話だったな……」


「今から約50年前に、ポルトガル国王から任命されたガマという人物が、天竺のヴィジャヤナガル王国南部にある、カリカットという港湾都市に行くことのできる航路を発見する」


「カリカットの王や、イスラム商人にしてみれば『いらぬ発見しやがって――』と言いたいはずだ」


「カリカットは天竺の南、胡椒が多く集まる港町だ。東南アジアからスパイスを船で運ぶ航路の中継地点の役割を果たしている」


「天竺に行くことができる航路を発見したおかげで、ポルトガルは胡椒を手に入れることができるようになった。その後、ポルトガルは天竺のことをインドと呼ぶようになるのだ」


「暫くするとポルトガルは、“インドの胡椒”、“東南アジア産のスパイス”を自国で独占しようと考える。キリスト教と敵対するイスラム商人と、共存共栄したくなかったのだろう。宗教とは厄介だな……」


「さっそくポルトガル人は調査に乗り出した。すると──イスラム商人たちの船は、その多くが小型船で、しかも大砲や銃といった武装を一切積んでいないことがわかる」


「また、インドの兵士たちも、依然として槍や剣を主体とした旧来の兵制を続けており、火器を中心とした近代戦術への移行は見られないこともわかる。つまり──この地では、自分たちこそが“最強”であるという事実が判明する」


「調査結果を踏まえ、ガマは2回目の航海では、20隻の大砲で武装した艦隊でカリカットにやってくる」


「さっそく始めたのは、イスラム商人の船の襲撃と金品の略奪だ。同時にカリカットの王には、イスラム商人との取引を禁じるように要求する」


「カリカットの王は当然断る。交渉が決裂したことで、ガマはカリカットを砲撃。街を破壊する。攻撃する口実を作るために、断られるような要求を、わざとしたのだろうな」


「自分たちで港や建物を破壊しておいて『港には、誰もいないのだから、自分たちが港を使っても問題ない』と主張。そのままカリカットの港を占領するのだ」


「酷い話だよな。その後、イスラム商人が交易拠点としている港を次々攻撃していく。イスラム商人の交易船をインドの沖合から締め出すとともに、インドの沖合を通行するための手形も作る」


「つまり、通行税を徴収するようになる。通行税をとるということは、ここは自分の国だという意思表示だ」


「今から約39年前、それに怒った“マムルーク王朝”と、“インドのグジャラート王国”は連合艦隊を結成し、ポルトガルの艦隊と海戦を決行する」


「海戦の結果は、ポルトガルの艦隊の勝利となる。お互いの戦力を分析して、勝つことが分かって喧嘩を仕掛けた訳だから、ポルトガルが勝って当然だろう」


「海戦に勝利したポルトガルは、インドのビジャープル王国と戦いながら、このゴアという港町に要塞都市を築き、スパイス交易を独占するための拠点にしていった」


「その後も、ゴアを拠点にインドの西側からアラビア半島に向けて、主要な港を攻撃し、ポルトガルの港にしていったのだ」


「ポルトガルは、インドおよび東南アジア交易による莫大な利益を独占する。いくつもの港を支配し、交易を独占するポルトガルは、“海上帝国”と呼ばれるようになった」


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