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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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171話 そろそろ休暇をください

天文17年(1548年春)――17歳。


さて──信長は、将軍として実に見事に職責を果たしてくれている。


加賀では、一向宗の信徒たちがこぞって“豊穣の神”への信仰に切り替えた。

そして今、加賀の地は(いくさ)もなく、実に穏やかで豊かな国へと生まれ変わっている。


人々が平和に、穏やかに暮らしている──

その光景こそ、何よりの説得力だった。

もはや言葉など、必要なかったのだ。


その姿を見た越中や能登の民も、自らの意志で静かに豊穣神へと信仰を移していった。


そして、ふと気づけば──


北畠家の支配する領域は、能登・越中・加賀・越前・近江・伊賀・伊勢・尾張・美濃・遠江・駿河・信濃・甲斐……

いつの間にか、十三の国にまで広がっていた。


一方、豊穣家はというと──すでに下野国への侵攻を開始している。

次の標的は、おそらく常陸の佐竹家だろう。

こちらも実に順調に進んでいるようだ。


そして北条家では、氏康さんと氏政が、

“いずれ蝦夷国が天下を取る”という前提のもと、家臣団の意識改革に着手したという。


領地ではなく、役職と職責に応じて俸禄を与えるという、近代的な制度への移行が静かに、だが着実に進められている。


残る大物大名といえば──三好家、尼子家、大内家、大友家、毛利家、島津家、長宗我部家……といったところか。


でも、毛利も島津も長宗我部も、今のところ“大大名”と呼ぶほどにはなっていない。

そんなわけで、西国方面も信長がうまくまとめてくれるだろう。心配はしていない。


そういえば──

正直屋の商勢は、もはやとどまるところを知らない。系列店舗は全国各地に広がり、その姿はまさに“大財閥・正直屋”と呼ぶにふさわしいものとなった。


堺の有力商人たちも次々と傘下に加わり、各地の豪商たちは、すっかり正直屋の意のままに動かされている始末だ。


つまり、商人の世界においては、すでに“天下統一”が成し遂げられているというわけだ。


仮にどこかの大名がこちらに(いくさ)を仕掛けようとしても──

もはや金は借りられず、兵糧も武器も手に入らないだろう。


“銭の力”とは、かくも恐るべきもの。

信長であれば、この“経済という武器”すら巧みに使いこなしてくれるはずだ。


……それにしても。

俺は、戦国の世に生きていたわけでもないのに──

ずいぶん多くの命を奪ってきたな……。


あれは“やるべきこと”だったのか、それとも“やりすぎた”のか。

──正直、今でもよくわからない。


でも……もういいよな。

……疲れたな! 本当に……。


ここまでくれば、もう十分だと思う。

(いくさ)をなくし、民を幸せにする”っていう、あの約束──

たぶん、ちゃんと果たせたよね……。


普通の人間、凡人、にしては、よくやったよ。

いや、本当に偉かったぞ、俺。

誰も褒めちゃくれないから、自分で言っておこう。


──立派だったぞ、俺。


蒸気船もあることだし──

そろそろ、この血なまぐさい戦国日本を離れて、アメリカ西海岸とか、オーストラリアとか、のんびり旅してみたいな。


カリフォルニアで金でも拾ってさ、お土産に持って帰ってくるのも悪くない。

うん、なんだか楽しそうじゃないか。ちょっと気分転換にもなりそうだ。


……豊穣神様、どうか……

そろそろ、俺にも“休暇”をください!

お願いしますっ!


俺の頭に、聞き慣れた声が響いた。

“豊穣神様”だ……。


『旅行なんてね! ダメ! ダメ! ダメよ! 絶対ダメ! そんな遊びは……この国を統一してからにしなさいよ!』


『豊穣神様……ここから先は、私がやらなくても大丈夫です。信長が西を、氏親が東を、きっとまとめてくれるはずです。』


『少し時間はかかるかもしれませんが、この時代のことは、この時代の者たちに任せる方がいいと思います……いかがでしょうか?』


『ダメと言ったらダメなの! あなたは私が転生させたのよ? その“あなた”が、この国を統一して、民を幸せにするの! そうでなきゃダメなのよ!』


『でないと、私が頑張ったことにならないでしょ! 私の功績にならないでしょ! そんなの、わかるでしょ? 世の中ってそういうものでしょ? せっかくいい所まで来てるのに……しっかりしてほしいわね!』


……“でしょ”、でしょって……

いや、そんな理屈で言われてもな……。

まあ……神様だしな。仕方ないか。


『……そういうものなのですね? ……分かりました。では、もう少しだけ。もう少しだけですよ』


『“もう少しだけ”じゃなくて――最後までね! 最後まできっちり頑張りなさい! いいわね!』


……“最後まで”って……どういう意味?

もしかして、俺が死ぬまでやらせる気か……?


“人助けで死んで”……転生してきたというのに――

なんか、すごく損してる気がする。3歳から、3歳からだよ! ずっと働きづめなんだぞ……。


さすがにどうかと思うよな――


しかもだよ? 死ぬまで頑張るってことは、そのうち日本を飛び出して、海外にまで手を出すことになるんじゃないのか……?


アメリカ大陸? アフリカ大陸? ヨーロッパ大陸? 下手したら“世界中の(いくさ)もなくし、民を幸せにするのよ――”とか約束させられかねないぞ……。


いやいや、ちょっと待てよ。

それってつまり、世界規模で歴史を弄れってことか!?

……本当にそれ、やっていいの?


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