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お姉ちゃんの秘密

こんにちは!やっぱり小説書くのは楽しいですね〜

旧作を読み返したりしてニヤニヤしてます。


100PV突破!!思ったより早くてびっくりです。

読んでくださってありがとうございます!!


1~3話を読んでから読むのがおすすめです!

静紅と氷華が放課後おうちで過ごす回です。

そして、とある氷華の秘密が…

楽しんで!

「「ただいまー。」」


お姉ちゃんと共に家に帰宅した。

手を洗って、それぞれ寝転んでダラダラする。


「そういえば、初日の学校どーだった?」


お姉ちゃんが訊いてきた。しずくは少し返答を考えて言った。


「もしかしたら友達できるかもしれないんだ〜」


「そうなんだ。ま、私はもう出来たけどねっ!」


「い、いちいち腹立つ…」


そんな他愛のない会話をする。


「あっ、そうだ、もう帽子とっちゃおう。」


お姉ちゃんが被っているベレー帽に手をかける。


「大丈夫?カーテン閉めたの?」


「うん、さっき確認した。これ窮屈でさ〜」


お姉ちゃんが帽子を外す。思わずじっと見てしまう。


すると、ぴょこんとお姉ちゃんの頭に、ふわふわな「耳」が現れた。

その耳は、お姉ちゃんの髪色と同じ黒で、ときどきぴこぴこ動く。


犬の耳。

つまり、お姉ちゃんは、犬の耳、ケモミミというものが生えているのだ。

それから、犬のしっぽも。


なぜお姉ちゃんだけが犬の特徴を持っているのか、本当に謎である。


このことは、お姉ちゃんとしずくだけの秘密。おとうさんも知らない。もし周りの人にバレたら、大変な騒ぎになる。


「今日お姉ちゃんが転びかけた時すごい焦ったんだからね…」


「ごめんごめん。でもこの耳可愛すぎてっ!憎めないんだよぉ〜」


そう、お姉ちゃんは大の犬好きである。

昔犬を飼ってたこともある。

でも、ほんっと、バレたら洒落にならん…


「あ、そうそう友達出来そうって今言ってたよね。どんな子達なん?」


お姉ちゃんに質問された。

さて、どう返すべきだろ。しずくはあの子達の名前も知らないし…


そこで名案を思いついた。今日あったことを話せば、もしかしたらお姉ちゃんが友達作りに協力してくれるかも。


「…実はね、」


しずくは今日あった出来事を話した。怖い男子三人に脅喝されかけたところを、優しい子達三人が助けてくれたこと。それがすごくかっこよくて、その子達と友達になりたいということ。

そしたら案の定お姉ちゃんは、


「え〜っ、めっちゃいい子達じゃん!私その子達とお話したい!」


と、好反応を示してくれた。


「うん。しずくもお話したい!それにまだしずく、ちゃんとお礼言えてなくて…」


「じゃあ、決まりね。明日その子達と一緒に学食で話そう!ちゃんと誘ってよね?」


よしゃ!としずくは心の中でガッツポーズをする。

これで、チャンスが巡ってきた。…まぁ、お姉ちゃんに頼らず普通にしずくから誘えばよかった話なんだけども…


「よし、じゃあ飯にするか〜」


お姉ちゃんが夕飯の支度をし始めた。何も出来ないしずくは後ろからその姿を眺めるだけ。


お姉ちゃんとの二人暮らしは、お互い協力して生活できている。…と、思っている。

今日中鶴さんに家庭科の腕を褒められたように、手先が器用で大抵何でもこなせるお姉ちゃんは、食事作りを担当してる。たまに裁縫もしてる。

対してしずくは根っからの不器用なので洗濯を担当してる。洗濯物を畳むのも苦手だからお姉ちゃんに手伝ってもらってる。掃除は二人で。


このような役割分担だけど、いちばん負担してるのはお姉ちゃんだ。


お姉ちゃんがご飯を作ってくれてる間に、洗濯し終えた洗濯物を干す。これくらいなら、流石にしずくだってできる。もう中二だし。


「静紅ー、ご飯できたよー」


お姉ちゃんに呼ばれてリビングに戻る。食卓に並べられたのは、二人分の焼き魚とサラダ、オレンジジュース、それから、お姉ちゃん専用のドッグフード。

お姉ちゃん曰く、お姉ちゃんは犬と人間のハーフみたいなものだから犬の食べ物だけでは生活できないらしい。


「「いただきまーす」」


お姉ちゃんの作るご飯はどれもすごく美味しい。このままだと舌が肥えるな…


お姉ちゃんはすげぇ勢いでバクバク食べて、しずくがまだ半分も食べ終えてないうちにあっという間に完食してしまった。

これが犬の食欲…と毎回驚かされる。

こんなに食べてもお姉ちゃんは全然太らないから不思議だ。


しずくも食べ終え、しずく達は一緒にお風呂に入る。

しずくのちょっとした趣味であるバスボムを湯船に落とす。お湯が色んな色に鮮やかに染まっていくのを見るのがなんだか新鮮で好きだ。


二人一緒に湯船に浸かり、疲れを癒す。湯に浸かることでこんなに癒されることをつい最近知った。

お姉ちゃんのしっぽがゆっくりと左右に揺れている。リラックスしている証拠だ。


風呂から上がったあと、パジャマに着替えて二人鏡の前に立ち歯を磨く。


しずく達は仲がいいと思ってる。家ではいつも一緒に居るから。


「静紅おやすみ〜」


「おやすみお姉ちゃん」


今日はどっちの部屋で寝ようかな、と考えながら階段を上がる。しずく達はマイルームを二つずつ持っている。


結局いちばん少ない階段を登った先にある二階の部屋に向かう。


布団にダイブすると一瞬で眠気が襲ってきた。

それに任せて目を閉じる。


明日、しずくは大丈夫かな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「しずくと友達になってほしいなあ、なんて…」


しずくは恐る恐る助けてくれた三人に言った。

すると、三人はニコッと笑った。


や、やった、成功しー、


「あんたみたいなやつとなるわけないじゃん。」


…え?


衝撃的な言葉を聞いてしずくは顔を上げた。

…今、なんて言ったの?


三人は冷たい目でしずくを見下ろしていた。


「いや、ちょっと助けたからって調子乗んないでくんない?」


助けてくれたうちの一人の茶髪の女の子がそう言った。


「そうだよ、点数稼ぎだよ、点数稼ぎ。分かる?」


赤髪の男の子も、口々に言った。


「お前、ほんと馬鹿だな。」


心読める意外と頼りになる男子、としずくが思っていた人にそう言われた。


なんで?どうして?しずくはまた騙されたの?


信じてたのに。この人達は、優しいって、思ってたのに。


友達、できなかったや。


…またしずくが悪かったのかな。

何がいけなかったんだろ。


「…ずく!」


こんな自分でごめんなさい。でも、お願い、誰か、


「静紅!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「っ!」


ガバッと体を起こした。冷や汗がダラダラ流れている。


「ちょっと、静紅大丈夫?めっちゃうなされてたけど…」


お姉ちゃんが心配そうにこちらを覗き込むのを見て、ようやく今のが夢だったことを理解した。


「だい、だいじょぶ、ありがと」


息も途切れ途切れにようやくそう告げると、時計を確認した。…もう起きる時間だ。お姉ちゃんが起こしてくれたのだ。…助かった。


ふらふらと起き上がって洗面台の前に立つ。

あの悪夢から意識を完全に断ち切るために顔を冷たい水でバシャバシャと洗う。


大丈夫。大丈夫大丈夫。今のは夢。しずくはやれる。大丈夫。


そう心でずっと唱えてるのに、体はずっと震えている。


でも、怖い。怖いよ。もし、さっきの夢みたいにあの人達に裏切られたりしたら。騙されたりして、色々言われたりしたら、しずくは、しずくは…っ、


「静紅!」


大きい声がしてハッとして顔を上げると、鏡にしずくとお姉ちゃんが写っていた。


「あんたまさか、怖いの?友達になりたい人達を誘うのが?」


「…」


「友達になるんでしょ!?そんな怖がってたって何も始まんないから!」


ああ、そうだ、そうだよ。友達、作らなきゃいけないんだよ。

…いや、違う。友達を作らないといけないんじゃなくて、しずくが、しずく自身が、あの子達と友達になりたいんだ。


ちょっと怖い夢見たからって、昔のことを思い出したからって、パニックになるなんてダメだ!


ばしゃ、と勢いよく顔を洗い、顔が濡れたまま振り向いてお姉ちゃんを見て言った。


「ありがと、でもしずくは大丈夫!さ、朝ごはん食べよ?」


今の言葉を聞くとお姉ちゃんは腕を組んで頷いた。


「……そうこなくちゃな!」


お姉ちゃんが朝食を作り始めた。しずくはやっぱり後ろから眺めているだけ。


時々不安になることがある。

お姉ちゃんはお姉ちゃんと全然似てないしずくをどう思ってるんだろうって。


「さ、いっぱい食べなお嬢ちゃん」


お嬢ちゃん…?

お姉ちゃんが普段は言わない言葉でしずくを呼ぶ。お姉ちゃんなりにしずくを励ましてくれてるのだろうか。謎だけども。


ケチャップのかかった目玉焼きを食べる。お姉ちゃんのは醤油がかかってる。しずく達は好みも違う。


お姉ちゃんの犬耳が垂れている。眠い証拠だ。


ここにいるのは、しずくと、お姉ちゃんだけ。

それは今も、多分これからも変わらない。変わってはくれない。

寂しい、なんてもう感じなくなった、と言えば嘘かもしれない。

…一体どこに行ったんだろう。


そのとき飲んだ卵スープは、優しくてちょっと冷たかった。








































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