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魔法の世界へ転移招来!   作者: ねぎとろ
最終章 「帰郷」
49/50

四十七話 「潰された第一歩」

超遅くなりましたすいません!

「フハハハハッ!やはり雑魚よのぅ。お前は力を貰っても所詮この程度か。フハハハハッ」

 勇者の称号を貰っても尚、俺は魔王と対等ではなかった。だが、俺もただやられているわけじゃない。しっかりと相手の動きを見極め、行動パターンを予測しているのだ。

「クッ……そろそろやばいかもな」

 段々と魔王の剣戟に耐えれなくなっていき、次第には吹っ飛ばされてしまった。

「ふむ。今回の勇者はほんとに雑魚だな。戦う価値もない。さっさと殺そう。そして次は人間を滅ぼさなければ……」

 魔王は一人歩きながらブツブツと呟いている。

「はぁはぁはぁ。だいぶダメージ受けたけど、これで対等以上には戦えるはず」

 ようやく魔王の行動パターンを読むことが出来た。俺は、寝転んでいた体制から立ち上がり、すぐさま刀を構えた。

「ほぉ。まだ戦うのか。フハハハハッ!面白い!存分に楽しもうじゃないか!」

 魔王が剣を片手に突っ込んでくる。次の攻撃は、右下からの斜め切りのはず。

「あ、危ねぇ。死ぬかと思ったわぁ」

 紙一重で躱し、カウンターで一発切る。これで、少しはダメージを与えれたはずだ。まぁ、普通に死にかけたけど。

「貴様……なぜ私の攻撃が分かった。まぐれなら次は無いと思え」

 段々と怒りはじめ、さらに行動が読める。

「ほらほら。俺は雑魚なんだろ?」

 何処からの攻撃も躱しては切ってを繰り返し、魔王にも目に見える傷が増えてきた。


「き、貴様。まさか、私の行動を読んでいるのか?!……もしや、初めやられていたのはわざと……クッ……」

 魔王が気付いてしまった。これはもうダメだな。次なる手を考えなければ……

「なぁ、魔王。お前はどうして人間を滅ぼしたいんだ?」

 とりあえず和解作戦で行こう。上手く行けば最高だし。

「貴様。今この状況を分かっているのか? 既に、戦っている状態だぞ?」

 魔王の言葉は最もだ。普通に考えて殺し合ってた人に理由を問う俺の方が可笑しい。それでいて、魔王が和解をするなんて言うはずがない。

「ふむ。和解か。そんなもの端からするつもりは無いが……ふむ。理由くらいなら話してやろう」

 そうだった。こいつ、心読めるのか……


「ユリウス、お前の人間を滅ぼす理由が最もならば、俺は手を引くし、お前が人間と和解したいなら手伝う。俺はもう、人が苦しむのをこれ以上見たくない。だからな、人間と魔族が仲良く手を取り合って生きていけるならそれで良いし、俺は全力で手助けする。だがな、果たしてそれをお前達が出来るのか? ただ、欲望のままに人間を殺すと言うならば俺はお前と殺し合う。それに、多分次は俺が勝つぞ」

 魔王にも、俺には分からない因縁や理由があるのだろう。だけど、俺は俺を大事にしてくれた人間を滅ぼさせるわけにはいかない。

「そうか。お前は、人間が好きなのか。そうだな、私は昔から人間が嫌いだったよ。とゆうより、全ての生物が嫌いだ」

 剣を取り出し、興奮しながら魔王は話し出した。


「これは、遥か昔の話だ。私は魔族の国の出身にして、人間として生まれた。いわば、魔族の恥だ。そんな私は生まれてまもなく捨てられ、人間の住まう土地へと連れてかれた。それでも、私は一人だった。魔族の国から産まれたというだけで誰も寄らず、助けず、苦しかった。だから私は努力し、強くなり、禁忌の魔術書によって魔族へと進化した。その後は、魔族共を統一し魔王になれるほどにもなった。故に、私は自分を蔑んだ人達を滅ぼす。そして、世界から私以外を消し、全ての創造主となる。それが私の望みだ。これが、お前に理解出来るのか? この苦しみが人間に理解出来るのか? それは否だ。私と同じ境遇のものなど居ない。故に、私は一人、創造主となりて、世界を滅ぼす。分かったか!」

 ふむ。とりあえず理由は分かった。が、少しずつ魔王が近付いてくるのが気になる。剣を片手に持ってるしな。そこで、俺は魔王を見つつ、一応刀を鞘から抜いておいた。


「ユリウス。そうゆうのをな自己中って言うんだ。例えばだ、お前が人間を滅ぼしたとする。それは自己満足だろ? それならよ、人間達に自分という存在を認めさせればいいんじゃんか!」

 きっと、魔王の根は優しいはずだ。多分、捨てられて育ったから愛情を知らないんだろう。

「認めさせる? そんなこと無理に決まってるだろ。お前は何を言ってるんだ? 俺は魔王だぞ? この世で最も嫌われる生物だ。そんな生物を人間が認めるわけない」


「そんなの分からないじゃないか!一応、俺は王都の女王と面識がある。お前のために俺が手伝ってやる。お前が心の底から人間と仲良くなりたいとそう願えば!」


「でも、なんでお前はそんなに……」

 ユリウスはついに剣を捨て、崩れ落ちた。

「そんなの、俺も親が居なくて、生まれつき愛情をあまり知らないからだよ……」

 そう、俺には親がいない。というより、俺達は、親戚によって育てられた。なんと、俺達は橋の下に居たらしいからな。だから、親戚にも嫌われ、俺達は二人だけだった。言われればやる。大人達に従って生活してきた。高校生になり、ようやく自立することが出来た。故に、親が居ないから愛情を知らない。

「待ってくれ。本当に大丈夫なのか?」

 魔王もようやくその気になったようだ。いやー、良かった良かった。これで、仲良くなれば一件落着。


「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ」

 何処からか女の声が聞こえてくる。

「魔王さま。何を言ってるんですか!人間を滅ぼすんですよね!?そのために、人間を捕まえて保管してるって言ってたじゃないですか!役に立つからって凄く良い部屋に保管してますし、これから活用するんですよね!?あ、あと、ベルモットは私が最後まで始末しといたんで安心してください!あいつ、魔王様の部下と言いながら魔王様を殺そうと計画立ててたんで!」

 畳み掛けるように話すのは、森で出会ったアステリオスだった。懐かしい。ってか、普通に魔王優しくね?

「あのー。人間を保管してるってどゆこと?」

 話に割り込み、問いかける。

「うるさいわねぇ!あんた誰よ!……って、あの時の人間じゃない!魔王様を殺そうってんなら前みたいに容赦しないからね!」

 どうやら、アステリオスは魔王を守り為に、あの時殺そうとしたらしい。まあ、そうだよな。現に、あの時はこんな事になるなんて思わなかったし。


「ま、まぁ。とりあえずだな。魔王とは俺が話し合ってだな……」

 そこから、アステリオスには全てを説明した。若干理解出来てなさそうだったけど。

「ふーむ。その案私も乗ります!でも、普通に考えて魔王様を認めさせるのは失礼ながら無理だと思いますよ?」

 やはり、アステリオスもそう思うのか。

「うっ……すまん。やはり、私はもうダメだ。無理やり魔族になったのが原因で俺の身体には悪魔が住み着いている。その悪魔がもう俺の身体を喰らい、覚……醒……す……」

 ユリウスの言葉はここで終わり、身体から真っ黒な煙が舞い上がってきた。それは、着々とユリウスを蝕み、や やがて一つの物体となった。


「ふぅ。ようやく目覚めたよ。こいつ、最後の最後で俺を裏切ろうとするなんて。でも、僕が生まれたからにはもうこの世界は終わり。これで、すべては僕の物だ!」

 中から少年が出てきた。これが悪魔らしい。きっと、ユリウスはこいつの思惑通りに事を進めようとしたのだろう。

「さて、君たちが僕の大事な人形(パペット)を唆したんだね。許さないよ? 一番最初に殺してあげよう」

 ニッコリと笑顔のままで瞬時に魔法を放ってきた。俺は、勇者の力で避けることが出来たが、アステリオスは間に合わなく、消滅した。

「へぇ。躱すなんて意外だね。これは楽しめそうだ!」

 宙に浮いたまま、後ろに膨大な数の魔法陣を出してきた。

「お前!この世界をどうするつもりだ!」

 俺の言葉に聞く耳を持たないようだった。俺の言葉と裏腹に、どんどん魔法を撃ってきたのがその証拠だ。

「グッ……こんなの、耐えれるわけ……」

 刀で弾いていたが、それも長くは持たない。

「ウッ……ガハッ!」

 腹に直撃し、倒れ込む。

「なんだぁ。もう終わりかぁ。つまんないの。ま、邪魔だし殺すかな。最後に僕の手で殺されたことを光栄に思うんだね」

 宙に浮くのを止め、こちらに歩いてくる。手には、魔法を貯めていてすぐに殺すつもりだろう。

「んじゃ、さよなら」

 魔法を放とうとした瞬間、俺は勢いよく立ち上がり、悪魔をつかんだ。

「捕まえた。これで逃がさないからな。そして、こっちがさよならだ」

 捕まえ、刀を胸に突き刺す。

「えっ?……なんで、僕が。僕が負けるなんて有り得ない!嫌だ。死にたくない。消えたくなぁぁぁ……」

 悪魔の無痛な叫びは空気と共に消えていった。

「お前の敗因は慢心し、俺に近づいたことだ。でも、良かったな。お前の言う通り、俺ももう時期死ぬ……」


 地面にパタリと倒れ込み、俺の記憶はプツンと切れてしまった。

次でラストになると思います!

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