四十話 「皇帝」
記念すべき四十話です!よろしくお願いします!
疲れて寝てしまった俺達は、気付いた時には朝だった。時刻的には、まだ第二試合まで時間はある。どうしようか。
「ふぁ~……お前ら今からなにする?」
話しかけてみるも返事がない。周りを見渡してみると、皆寝ていた。なんていうか、人口密度が凄い。
「俺も二度寝しようかな……いや、こいつらを起こそう」
とりあえず、俺は響とアビスの耳元で叫びこいつらを起こすことにした。案の定起きたが、俺が殴られたのは言うまでもない。
「あとは、カルマさんとラースさんか。どうやって起こそう……そうだ!響任せたぞ!!」
そう言って、俺はダッシュで支度を始めた。残された響とアビスが渋い顔をしていたが、気にしないでおく。
「もぅ!お兄ちゃんも勝手なんだから!!」
遠くからチラリと見てみると、必死に起こしている二人の姿というか、響の姿が見える。
「起きない……どうしよう」
ちょっとずつ泣き目になっていく響は最終手段に出た。俺と同様耳元で叫ぶ作戦だ。
「起きてーーーーーー!!!!」
音は物凄く鳴り響いて、遠くにいる俺も五月蝿いと感じてしまった。
「うるせーーーーー!」
ラースさんが思わず起きあがった。響がビクッとしていたのを見てしまったが、可愛かったからよし。
「なんだ、響か。起こしてくれたんだな。ありがとう。カルマの奴は俺が起こしとくからお前達は準備しといてくれ」
それから、俺達は準備を始めた。無理矢理起こされたカルマさんが朝から死にかけてたのを見て、ビックリしたのは内緒だ。
試合開始まで、残り1時間。準備は終わり、俺達はコロシアムまで歩いていた。宿屋からそんなに遠くないため、喋りながら歩いても充分辿り着くはずだ。
そんな中、俺達は、チーム名をどうするかについて話していた。
「チーム名って要ります?」
ラースさんとカルマさんに尋ねる。響とアビスはどうせ俺の考えに乗ってくれるから大丈夫だろう。
「俺は、要らねえな」
ラースさん曰く、普通に要らないらしい。俺的にもいらないと思うがなぁ、カルマさんの顔を見るに……チーム名欲しそうだ。
「カルマさん、どんな名前がいいんですか?」
気を利かせて聞いてみることにした。
「お、チーム名か、円卓の騎士とかどうだ?」
やはり、厨二病か。すぐに思いつく辺りやばいな。
「えーっと、それだと人数足りなくないですか?」
「むっ。そうか。ならどうしよう……」
カルマさんが悩んでいるうちにコロシアムに着いてしまった。もうチーム名は諦めよう。
「あ、とりあえず着いたんで、また今度にしましょう。うんそれがいい」
強制的に話を終わらせ、俺達は二試合目に備えた。残り10分くらいしかない。
「ふぅ。今から二試合目か。緊張するなぁ」
緊張が半端ないが、無理やり抑える。
「よし、おまえら、行くぞ!」
ラースさんの声と共に、俺達は向かうことにした。ちなみに、相手チームの名前は、皇帝だ。やはり、チーム名はあった方が良いのだろうか……
「ふぅ。やっぱり慣れないねお兄ちゃん」
周囲からの歓声と視線。響はそれが苦手のようだ。まぁ、俺も苦手だがな。
「相手チームを見てみろ。どうだ? 勝てそうか?」
ラースさんに言われて見てみるも、勝てるかどうかなんて分からない。
「いやいや。戦わなきゃ勝てるかどうかなんて分かんなくない?」
アビスよナイスだ。お前が言ってくれたおかげで俺は言わなくて済んだぜ。
「それもそうだな。うむ」
こう言っている内に、試合開始の鐘が鳴り響いた。
「よし!行くか!」
漆黒の騎士との試合同様、俺達は、二人で突撃し、三人に援護を頼むという戦法にした。
「お前ら!!怖気ずくことはない!俺がいる限りお前らに負けはないのだからな!」
相手の司令官らしき人が大声で叫ぶ。それに続いて、四人の歓声が響き、俺たちに向かってきた。
向かってきたのは良いのだが、相手は、さほど強くなかった。剣を交えれば余裕で打ち勝ち、剣筋も見え見え、なぜ二試合目まで上がれたのか分からないレベルまでだった。
「あれ? これ余裕で勝てるじゃん!」
俺が調子乗って、4人に突っ込む。案の定勝ち、最後の一人を倒そうとした所で司令官の声が聞こえてきた。
「お前ら、よく聞け!皇帝の声!!」
司令官の声に反応し、敵の四人はみるみる回復していった。それだけならまだ良いのだが、少し強くなっている。だが、まだ勝てる範囲だ。
「てめぇら。どんだけ復活するんだよ!」
倒しても倒しても、皇帝の声とやらで回復し向かってくる。既に、俺一人じゃ四人を倒せないほどに敵は強くなっていた。このままだと負ける。
「匠!司令官を潰せ!さもなきゃ敵が強くなるぞ!!」
ラースさんが叫ぶが、そんな事分かっている。司令官を狙おうとしても、四人が無理やり防いでくるのだ。
「お兄ちゃん!司令官に向かって走って!!」
響のいうとおり、俺は何度目になるか分からないが、司令官に向かっていった。案の定、四人が身体を張って守ってくる。
「サンダーレイン!」
「フレイムスピア!」
「ダークインパクト!」
三人の声が鳴り響き、魔法が重なり合った。魔法の直撃を受けた四人は倒れ、見事に司令官への道が出来た。
「サンキュー!これで、勝てるわ!」
走って向かい、剣を振りかざそうとした瞬間、後ろから引っ張られ吹き飛ばされた。何が起こったのか全然分からなかった。
「匠!やばいぞ!こいつら手に負えないくらいつよくなってる!!」
ラースさんがさんが誰かと戦っている。もちろん、それは敵の四人のうち三人だ。まさか、ここまで回復が早いとは。やばいな。しかも、ラースさんが押し負けてる。
「おまえら、残念だったな。俺達皇帝に負けと言う文字は無いのだ。諦めろ」
司令官が挑発してくる。それに対して言い返す時間すら俺達には無いほどだった。
「フレイムランス!」
響きの声が聞こえ、上から炎の槍が降ってくる。もちろん、標的は司令官だ。
「えっ? あ、やばい」
敵は全員、この事態を予期してなかったらしい。普通に司令官に当たり、司令官は倒れた。まぁ、俺達も予期してなかったけどな。
「えっ? もしかしてダメだった? 響ダメなことした?」
響きが泣きそうになりながら俺に尋ねてくる。俺は、唖然として一切聞いてなかった。
「なんで誰も答えてくれないの!?」
ほぼ泣いてる状態で響が俺に問いかける。ここでようやく、俺は我に返った。
「お、おお!響良くやった!!」
とりあえず、これで敵が強化されることはなくなった。
「だよね!響、頑張ったよね!!」
やっと褒められて響は喜んでいる。まるで天使のようだ。
「あ、ちなみにさ、ほかの4人がクソ弱くなってたから、僕が倒しといたよ」
アビスが横から何か言っている。そう言えば、ほかの四人の姿が見えないな。
「おまえら!もっとビシッと立てや!勝ったんだぞ!」
ラースさんが俺の肩に手をかけた。何のことか俺は分からなかったが、周りからの歓声を浴びてようやくわかった。
「勝ったのか……」
「おせえよ!」
「そういえば、今回さ、僕何もしてないや」
言われてみれば、カルマさん何もしてないな。まぁ、いっか。勝ったし。
勝利の余韻に浸っていた俺達に、最悪の事態が訪れた。突然のアナウンスだ。
「第二試合お疲れ様でした。続けて第三試合になります。頑張ってください」
アナウンスが流れ終わり、俺達の対戦相手が発表された。魔術師の理想郷らしい。
「嘘だろ!?休ませてくれねえのかよ!!」
俺の声に反応することはなく、歓声が続くまま、無情にも第三試合は始まるのだった。
これからもよろしくお願いします。




