二十八話 「悲劇の連鎖」
とりあえず、今回で1章終了でございます。
「どうしてなんだ!アンジュ!!」
味方だと思っていたはずのアンジュが俺達を攻撃し、敵対した。さらに、今は俺たちに対してとどめを刺そうとしている。
「うるさいなぁ。私はただ、魔王様の支持に従っているだけよ。あ、そうだ!最後に私の本当の名前教えてあげるよ!私はね、魔王様の幹部。アステリオス・ランデリア。覚えておいてね!」
俺の方を見ながら、アンジュだと思っていた女はポーズを決めている。さっきまでとは全く態度が違い、明らかにおかしい。だから、多分魔王の幹部ってことも本当なのだろう。
「少しの間だったけど、俺達と旅したのは嘘だったのか!?」
エルフの森の中であんなにも仲良く話していたのに、今はこんな有様だ。響は矢が刺さんなかったが、気絶してしまい、アビスは死にかけて突っ伏している。リンシアに至っては、最早喋れそうにない状態だ。
「あ〜、あれね。まぁ、楽しかったよ。でもね、私にとって魔王様が絶対なの。魔王様の命令さえなければ、もっと仲良くなれたかもね」
アステリオスと名乗る、アンジュは最後に乾いた笑顔でこちらに笑いかけた。その瞬間、
「ウォォォォォォ!!!!」
激しい雄叫びと共に、ノースさんが飛び出てきて、アステリオスを切りつけた。
「今がチャンスだ!!」
アステリオスとノースさんが戦っている今だからこそ、逃げれる可能性がある。多分、これを逃したら、機会は無いだろう。
「逃がさないよ?」
アステリオスの声が俺の耳に聞こえ、振り向いた。そこには、明らかに巨大すぎる、フレイムランスが浮いていた。
「じゃあね。また今度会えたら仲良くなれればいいね」
最後にアステリオスの人間らしい感情が表に出た。その言葉を聞いた直後、俺達が居た場所は爆発し、木っ端微塵となった。
「うーん。ここは、どこだ?」
完全に死んだと思った俺が目を覚ました時、まず最初に見えたのは、血だらけのリンシアと、それを必死で治そうとしている響だった。
「……タクミ……目覚めたかのぅ……我はもうダメそうじゃ……」
リンシアの掠れた声が俺の鼓膜を直撃した、今の言葉を聞いたが、理解出来ない。いや、分かりたくなかった。
「お兄ちゃんも手伝って!!リンシアちゃんがね、最後の時に、転移魔法で逃がしてくれたんだよ!?私達の命の恩人なんだよ!?早く助けなきゃ!死んじゃうよ……」
響が言うには、リンシアが最後に俺達を助けてくれたらしい。あんなに血まみれになりながら助けてくれるなんて。
「ヒビキ……もういいんじゃ……我はどの道助からん……今までありがとな……」
リンシアの言葉に響はとうとう泣き出してしまい、リンシアも少し困惑している。リンシアが、響を抱きしめ、響は安らかに寝てしまった。
「響は、回復魔法を使えたんだったな。それでも治らないのか。ハハハッ。リンシア、これは嘘だよな?」
響はアンジュもとい、アステリオスに回復魔法を教わっていた。だが、それも初級だ。ここで、役に立つわけがない。そんな中、俺は何も出来ない。いっそのこと全てが嘘であって欲しかった。
「残念じゃが、これが現実じゃ……アビスの方は、ギリギリ生きておるはずじゃから安心せぃ……きっと今もぐっすり眠っているはずじゃ……」
自分が死にそうだというのに、リンシアは他人のことを気にしている。助けたい。助けたい。助けたい。でも、俺にはどうしようもできない。どうすれば良いんだ。神様、居るなら教えてくれよ。
「リンシア!今まで本当にありがとな!!お前が居なかったら、俺はもうとっくに死んでると思う。本当に感謝してるよ。後な、……言いたい事沢山あるけど、言ったらきっと俺は泣いちゃうと思う。俺は、別れの言葉も言わない。だってさ、俺とリンシアはきっとまた会えると思うんだ。だからな、リンシア。ちょっと休んでな。また逢う日まで!!」
俺は、響を連れて、後ろを向き、歩き出した。泣いているのは隠さないとな。リンシアが心配しちまう。
「お主らしいな……我も、もう一度お主たちと旅がしたいのぅ。 きっとまた、帰ってくるから、待っておるんじゃぞ?……じゃあちょっと休んでくるからのぅ」
そう言って、リンシアは瞼を閉じた。最後に、目から水が垂れ、頬を濡らした。
その後、アビスも目が覚め、リンシアの葬式をすることにした。
全力で土を掘り、丁寧に埋めるはずだった。俺達は、リンシアが死んだと思われる場所に向かう事にした。
「あれ? 何もない。どうしてだ!?」
死んだと思われる場所には、何も無かった。まるで、初めから何も無かったかのように真っ白だった。
「あのね、多分、リンシアちゃんは、元の場所に戻ったんだよ。だからね、きっと生きてる。また会えるよ!!だからさ、お葬式なんてしないで、待ってみようよ!!」
響の言葉が俺の胸に突き刺さった。
「そうだよな。リンシアだもんな、生きているに決まってるさ。あいつは神様なんだ。死ぬわけがない!きっといつかひょっこりと顔を出すに決まってる」
「うーん。僕としても、リンシアちゃんには是非生きててもらいたいね。魔法を教えてもらいたいしさ!」
アビスも久々に本音で話している。きっと心のどこかで、アビスもリンシアのことが大事だったのだろう。俺は、その事がとても嬉しかった。
「よし!!いつまでも、感傷に浸ってちゃダメだ!!リンシアもまた会えるって言ってたんだし、俺達も頑張らなきゃ!!」
言葉と共に、俺達は歩き出した。リンシアとの思い出を胸に。一歩歩く度に、思い出が蘇ってゆく。その思い出一個一個に涙しそうになるが、我慢だ。その後、宿屋から出て、俺達は、街の門へと向かっていた。
門を潜り、歩こうとした直後、突風が俺を襲った。
「タクミよ、いつかまた必ず会いにゆくからな。待っておるんじゃぞ?」
何処からか、リンシアの声が聴こえたような気がして、俺は嬉しくなった。
リンシアとノースさんを奪った魔王を倒すことを決意した俺達は、リンシアに救ってもらった命で、次の旅へと向かっていったのだった。
本当に申し訳ありません。最近携帯が壊れ掛けてて、電源が入らないことがしばしばありましてですね。電源が入った時は、更新するのですが、多分無理だと思うので、次の更新は、携帯を変えてからになります。年内には、携帯を変えるので、楽しみにしてくださっている方本当に申し訳ないです。
ご理解の程をよろしくお願いします




