二十三話 「見知らぬ少年」
今回は本編の続きになります。よろしくお願いします!
その少年は目の前に居た。突然現れ、俺に対して喋りかけてくる。
「お兄さんがこの洞窟をクリアした人?」
少年の呼びかけに俺は答えなかった。
なぜなら、真っ黒のローブを着た少年のことを、俺は敵だと思っているからだ。そのため、つい反射的に魔法を詠唱しようとしてしまったのだ。
「我が力を持ってして……」
詠唱の途中で少年に話しかけられた。
「ちょ、お兄さん。僕は敵じゃないって。早く詠唱やめて!」
少年は少し焦りながら、必死で仲間だと言ってきた。だが、ちゃっかりと魔法障壁を張っていたのはヤバすぎる。
「お前が、俺の仲間……? 有り得ないな。俺はお前みたいな少年知らないし」
現に俺の記憶の中にはこんな少年居ないからな。どんだけ敵じゃなく仲間だと言い張られても逆に怪しんでしまう。
「うーん。お兄さんの魔法のせいでこうなっちゃったんだよねぇ」
ボソボソっと少年が呟くが、あいにく俺には聞こえない。
「おーい。タクミー。どうじゃ? 外に繋がっておったかー?」
っとここで、リンシアの声が聞こえてきた。この声に少年はビクッとしている。中々可愛いもんだ。
「お兄ちゃん!この子だれ!!」
いつの間にか隣にいた響が俺に対して怒りながら聞いてくる。なんで怒っているのか全然分からないが……
「お主、こやつのこと勝手に鑑定させて貰ったが、お主の仲間みたいじゃぞ?」
鑑定結果だと俺の仲間扱いらしい。でも誰だ? 俺には全然分からない
「ほらね!お兄さん!僕の言った通りでしょ!!」
少年はドヤ顔で言ってきた。とりあえずここは、鑑定の結果を全て聞かせてもらおう。
「こやつの鑑定結果じゃと? えーと、名前は無いらしいぞ。魔法は、中級までは全般使えるのと、魔法障壁じゃな。種族は一応モンスターらしい。ってこやつ人間なのになんでじゃろうか」
リンシアも疑問に思ったらしい。それにしても、普通に強いな。名前も無いのかぁ、仲間になった以上やっぱり名前付けるべきかなぁ
「お兄ちゃん!どこでこの子を仲間にしたの!?」
響は未だにご立腹のようだ。俺に聞きながら少年を睨んでいる。
「ひ、響。落ち着くんだ。この子は多分俺の魔法、モンスタードロップによって仲間になったんだと思う。まぁなんで人の姿なのかは俺にも分からないが……」
梨花に教えてもらった魔法がこんな所で発動するなんて思ってもみなかった。しかも、モンスターの姿じゃなくて、人の姿になるなんて。
「だれじゃ? そのリンカとやらは」
「あ!お兄ちゃん!梨花ちゃんって高校の友達の!?」
響は分かったらしい。まぁついでだし梨花と会ったことを言っておくか。
「まぁお前らに説明しとくよ。俺が王都で1人歩いてた時あっただろ? その時にな、たまたま日本の世界で友達だった梨花っていう人に会ったんだよ。そこでだ、梨花が俺に対してこの魔法を教えてくれた訳。まぁ俺の考えだと人じゃなくて、モンスターが仲間になると思ったけどな」
長々と俺はリンシアと響に説明した。一応2人は納得したようだった。
「そうゆうことなのか〜。まぁ梨花ちゃんならいっか。これもしょうがないから許してあげるよお兄ちゃん!」
何故か響に許されてしまった。まぁここで追求するとめんどくさそうだし素直に許されておこう。
「お主も初めから説明してくれれば良いのに……」
リンシアはなんの説明も無かったことが少しショックだったようだ。
「お兄さん!!もうさ僕立ってんの疲れたんだよね。早く休みたいわけ。んでもってさ早く次の街行こうよ」
なんだこの偉そうな少年は。こいつの性格がこれだとしたら後々めんどくさそうだな。
「まぁお前の考えは分かった。だがな、まずはお前の名前を決めるのが先だ。で、お前はどんなモンスターだったんだ? 見た目からしてリッチだと思うが」
真っ黒のローブを纏っていた敵なんてリッチしかいない。これはもうリッチ確定だろう。
「お、お兄さん鋭いね!正解だよ。僕はリッチから生まれた人間。お兄さんの魔法によって生まれ変わることが出来て一応少しは嬉しいんだけどね、能力が弱体化したのが残念かな」
やはりリッチだったか。能力弱体化しても中級魔法をだいたい全部使えるとかやばいな。これは仲間になってくれてラッキーだったかもしれん。性格は最悪そうだが。
「よし。リッチだな、ここで俺がお前の名前を決める。文句は言うなよ? お前の名前は アビス にする。ちなみに俺の知ってるアニメのキャラの名前だからな!」
「ふぅん。お兄さん中々いいセンスしてるね。僕はこの名前を気に入ったよ。これからはアビスって呼んでくれて良いよ」
こいつ、やっぱり偉そうだな。ま、いいか。逆に従順すぎても嫌だしね。
「よっしゃぁ!名前も決まったことだし行くか!!」
「お兄さんやっぱり五月蝿いよ。あんまり大きい声出さないでくれる?」
「うん!行こうお兄ちゃん!」
「うむうむ。そろそろ我も疲れてきたしな」
なんか1人だけ文句言ってた奴いるけど気にしないでおこう。
なんだかんだ言いつつ仲間を一人増やし俺達は街を目指した。目指すも何も、すぐ近くに街は存在していた。
「マジかよ……あんな意気揚々と言ったのに、こんな近くにあるのかよ」
出発の合図をしたことが少し恥ずかしくなってしまった。
まぁそんなこともあったが、俺達は次の街アストロヘイムに辿り着いた。割とあっさり入ることもできた。
そこで俺達は、とりあえず情報を収集することに決めたのだった。
「主様、探しておられる旅の者達が現れました。あいつらは情報を探しているようなので、親切な振りをして主様の場所を教えようと思います。主様の力をどうかあの者達にお見せ下さい」
入口の柱の陰から怪しい人物が企んでいることに、俺達はまだ気づけていなかった。
ようやく街に着きました(笑)




