十六話 「旅の始まり」
やっぱり少女って最高ですね。妄想しちゃいます。
王都から出て俺達は歩いていた。
「なぁなぁ、ほんとに俺達は東を歩いているのか?」
周りは全て草原で、一向に景色が変わらないのだ。その様子に、俺は不安を覚えてしまった。
「んーーー。多分大丈夫だよ!お兄ちゃん!」
響はなんの根拠も無しに、笑顔で言ってきた。
「おいおい、不安すぎるわ! 」
俺が笑っていると、リンシアが話しかけてきた。
「ま、大丈夫じゃろ。もしも間違ってたら、王都まで転移魔法で戻ってまた行けば良いのじゃ!」
リンシアまで無茶なことを言い出しやがった。
「お、おれはやだぞ!転移魔法は絶対に嫌だ!!」
「リンシアちゃん!私もやだ!!」
俺と響は声を揃えて、転移魔法を使うのを却下した。
と、ここでモンスターが現れた。
「ぐぎゃぎゃぎゃ! ニンゲンハッケン、コロス、タベル」
目の前の生物は、まぁ、いわゆる小説や漫画によく出てくるゴブリンってやつだ。そんなやつが、俺たちに対して片言で喋ってきた。
「なぁ、リンシア。あいつって強いのか?」
小説などだと大体最弱なので、俺は聞いてみた。……が、やはり予想通りだった。
「ん? ゴブリンか? あいつは凄く弱いぞ。この世界の一番弱いやつじゃからな。だが、進化したり、集団で来られると、一気に強くなるから注意するのじゃ」
リンシアは、的確に説明してくれた。
「へぇ。ゴブリンにも進化とかあるのか」
俺は、進化とゆう言葉に反応してしまった。これも、全て中二病のせいだな。
「ニンゲン、ムシスルナ。コロス」
ゴブリンは、ついに俺たちに突撃してきた。
「よし。とりあえず、応戦するかな」
俺は、武器が無いので、とりあえず素手で戦うことにした。幸いゴブリンも武器を持ってなさそうなので、勝てそうだ。
「オマエブキナイ。オレノカチ」
ゴブリンは勝ちを確信したようだった。だが、甘い。
「俺の力を舐めるなよ?」
俺は、妄想の中でイメージした技を繰り出してみた。とりあえず、相手を殴り、首を絞めて殺す。
だが、現実は非情だった。
「グハッ……」
俺は、いつの間にか吹っ飛ばされていた。
「お主、なぜ避けないのじゃ。急に動きも止まるし、バカなのかの?」
リンシアに言われて気付いたが、俺の動きは止まっていたらしい。これは……妄想のせい!?
「ま、まぁ、俺の動きが早すぎて止まって見えただけだ」
俺は見栄をはってみたが、響には通用しなかった。
「お兄ちゃん。言い訳はダサいよ。素直に戦えないって言えばいいのに」
響は、俺のことをよく知っている人間だ。俺の言い訳の内容もよく知っている、だから見破られてしまった。
「おま、響!あいつと俺が戦えると思うか!?」
ゴブリンを指さしながら、俺は響に問いただす。
「ソノユビヘシオルゾ」
ゴブリンが何か言っているが、無視しよう。今は響優先だ。
「ま、お兄ちゃんじゃ無理なことは分かっていたから、良いかな」
響のやつ本音を言いやがった。まぁ確かに事実だけどさ。
「う、うるせー。俺は、魔法専門なんだよ!!」
魔法も使えるか分からないのに、俺は言ってやった。
「お主ら、ゴブリンを殺してから話し合うべきじゃろ。ゴブリンも戸惑ってるではないか」
リンシアの言う通りゴブリンを見たら、若干困惑顔をしていた。
「うーむ。とりあえず、ゴブリンを殺すか。リンシア任せた!」
俺は、リンシアに丸投げすることにした。だって楽なんだもん
「しょうがないのぅ。とりあえず、火の初期魔法で殺すから良く見ておくんじゃぞ? 後で、お主らにも教えるからの」
リンシアは、俺たちに魔法を教えてくれるらしい。ゴブリンを殺すところを見なきゃいけないなんて、普通に嫌だが、しょうがない。
「燃え盛る炎よ、敵を燃やす尽くさん! ‘‘フレイム,,!!」
リンシアの詠唱が終わったと共に、目の前のゴブリンが燃え始めた。
「リンシア、お前、残酷なことするな」
俺は、リンシアの方を見ながらつい言ってしまった。
「リンシアちゃん、ちょっとゴブリンかわいそう」
響でも同情してしまうくらいだった。なんてたって、燃えている最中に、断末魔が聞こえてくるんだ。怖すぎる。
「しょうがないじゃろ!! 殺さなきゃ殺されるんじゃぞ!?」
正論を言ってきたが、やっぱりちょっとかわいそうだった。
「まぁでも、俺たちも慣れないとダメだよなぁ。今から魔法を使うんだしさ」
「お兄ちゃん……響頑張るね」
響は少し遠い目をしながら呟いた。
「とりあえず、進むか。完全に燃えちゃって素材も取れないし」
今までは、解体ナイフが無くて素材が取れなかったが、王都で買ったおかげで、今回の旅から素材を得ることが出来るのだ。これで、モンスターを狩れば、素材を売ったりしてお金に替えることが出来る。
解体ナイフは高かったが、俺は買ってよかったと思っている。
「モンスター出てこないのぅ。お主らに魔法をやらせたいんじゃがのぅ」
リンシアは、早く俺達にも戦わせたいようだった。
そこから、俺達は普通に話しながら歩いて行った。辺りが少し薄暗くなった頃、モンスターが大軍で現れた。
「嘘だろ……」
俺たちの目の前には、先ほどのゴブリンが居た。だが、数が違う。さっきは、一体だったのに、今回は30体は軽く超えているはずだ。
「お兄ちゃん。どうしよう……」
響も困惑しているようだった。
「オマエラコロス」
「ナカマコロサレタ」
「オマエラテキ」
ゴブリン達は、仲間が殺されたことに怒りを覚えているようだった。
「まぁ、あの程度なら大丈夫じゃろ」
リンシアは余裕な顔で言っている。
「とりあえず、我が二体だけ残して、ほかは全滅させるから少し待っておれ」
リンシアはこうゆう時頼もしい。まるで、少女とは思えない頼もしさだ。
「今回は、雷の上級魔法、‘‘サンダーレイン,,を使うから、離れていた方が良いぞ? 巻き込む可能性があるからの」
やはり、集団を一斉に殺すには、それ相応の威力があるらしい。
「お、おう。分かった。俺達は、下がっておくわ」
俺と響は、リンシアから少し離れた所にあった大きい岩の裏に隠れて見ることにした。
「お主ら、我と出会ってしまったことに後悔するがいい」
敵を挑発した後に、リンシアは詠唱を始めたのだった。
頑張ります!!




