十四「懐かしき人」
今回終わり方が変かもしれませぬ。
若干シリアスなので、ご了承ください
1人でダンジョンを飛び出して行った俺は、王都の中を彷徨っていた。
「今からどうしようかなぁ……ノースさんも俺が殺したようなもんだし、責任取って死のうかなぁ」
俺の心は既にズタボロで、頭の中には死ぬことしかなかった。だが、俺は自分が死んだらどうなるのかを考え出した。
「多分、俺が死んだら響はやばいよなぁ」
響は俺のただ1人の妹だ。ただでさえ、家族が俺しか居ないのに、響の場合、俺が死んだらショックで自殺するかもしれない。
「マジどうしようかなぁ……」
俺は、1人で喋りながら歩いていたら、フードを被った怪しい人にぶつかってしまった。
「あ、すいません。俺の不注意です」
俺は一言謝っといた。相手は無言で、俺の横を通り過ぎていった。だが、次の瞬間、凄い力で俺は引っ張られた。
反射的に目を閉じてしまった俺は、引っ張る力が止まったので、目を開いた。
「えっ!?」
俺の目の前に居たのは、先ほどのフードの怪しい人だった。さらに顔を近寄せてきて、俺の事を観察しているようだった。
「な、なんだよ! ジロジロ見るなよ」
俺は驚きと、恐怖で声が震えてしまっていたが、それを隠すためにわざと大きい声を出した。周りの人は1度こちらを振り向くが、すぐにまた歩き出して行った。
「やっぱり。まさか会えるなんて」
フードの人は突然喋り出した。そして、おもむろにフードを外し、俺に対して話しかけてきたのだ。
「タクミ! 久しぶりだね! 」
俺の耳には聞いたことのあるような声が聞こえてきた。俺は、少し顔を上げ、見てみることにした。
「あれ? お前、梨花か? どうしてお前がここに居るんだ?」
俺は、居るわけない梨花が目の前に居ることにとても驚いてしまったと同時に、幻の可能性があるということも考えていた。
「そうだよ。まさか匠がこの世界に居るなんてね。私も、この変な世界に来ちゃったってさ、1人で凄く寂しかったんだ」
梨花は俺の目をしっかりと見ながら、明るい声で話しかけてきた。
「ま、待てよ。なんでお前がこの世界に来てるんだ? まさか、あっちの世界で死んだのか!?」
俺は、日本で死んで来たわけだから、梨花も同じだと思っていた。
「うん。そうだよ」
梨花は少し寂しそうな顔をしながら言ってきた。
「どうして死んだんだ?」
俺は好奇心で聞いてみた。だが、俺の想像とはあまりにも違う返答が返ってきたことに、聞いてしまった罪悪感が芽生えてきた。
「私ね、あの日、匠と話してから学校をすぐに出たの。その後、まだ外も明るかったし、人が多かったこともあってイヤホン着けながら歩いてたんだ。そしたらね、後ろから急に掴まれて、……路地裏に連れ込まれて殺されちゃったんだよね」
梨花は、泣きそうだった。俺の予想だが、多分犯罪者に捕まって、犯されたんだろう。その後、殺された。
でも、梨花はその事を俺に対して隠した。だから、俺は、一切その事に触れないであげようと思ったのだ。
「そ、そうなのか。やっぱり、日本も安全じゃなかったんだな」
俺は、日本にもこんな殺人犯が居ることに凄く腹が立ってしまった。
「ううん。私が悪いんだよ。イヤホンなんて着けて歩いてるからダメなんだ。足音さえ聞こえれば回避出来た問題だし」
梨花は全て自己責任だと思っているようだが、それは間違ってると俺は思う。だが、これ以上話していても悲しくなるだけだ。俺は、ここで話を変えた。
「なぁ、話は変わっちゃうけどさ、お前はどうやってここに来たんだ? まさか気が付いたらここに居た的な感じか?」
俺は、あくまでも自分の予想を言ってみた。
「おっ! 正解! よく分かったねぇ。私がさ死んでから、2時間くらい? 経ってさ、目を開けれることに気が付いたんだよね。んで、目を開けたらこんな世界だったわけ。いやー初めは混乱したけどさ、なんか親切な人が色々教えてくれて助かったんだよ」
梨花は笑いながら俺に言ってるが、親切な人が本当に親切かどうかなんて分からない。俺は、もしかしたら梨花は洗脳とかされているのかも、と考えてしまった。
多分、こうゆう風に考えてしまうのも俺の悪い癖だろう。
「本当にその人は親切な人だったのか? もしかしたらお前を利用したかっただけかもしれないぞ?」
俺は単刀直入に聞いてみることにした。
「えっ、うん。多分親切な人だよ? なんか魔法もいっぱい教えてくれたし、アイテムもいっぱいくれたもん」
梨花にとっては凄く親切な人らしい。
「そうなのか! 良かったな! 俺も、この世界ではなんだかんだ上手くやってるぜ!!」
俺は、無理にでも明るくいこうと思った。梨花には、絶対に悟られないように。
「お互い良い人に会えてよかったね! そういえば、匠って魔法使えるの?」
「いや、俺は一切魔法使えないんだよね。あはは……」
俺は、少し思い出してしまい、悲しくなったがすぐに隠した。
「えっ!? そうなの!?」
梨花は驚いたようだ。
「まぁ、使えないっていうか、覚えてないんだよね」
普通に魔法のことは知らないので、無難に答えておいた。
「うーん。私が1つ教えてあげるよ! あんまり強くないけどね」
「おっ、ほんとか! ありがとな」
俺は笑顔で梨花にお礼を言った。何故か、梨花の顔が赤くなったが、まぁ気にしなくて良いだろう。
「ご、ごほん。私が教えるのはね、モンスタードロップって言う魔法でさ。1回発動しとくと、倒した敵が低確率で仲間になるっていう魔法なの。まぁ仲間になる確率はほんとに低いけどね」
梨花は笑いながら言っているが、充分強い。
「ほんとに良いのか?」
俺は、また魔法を覚えることに少し戸惑ったが、まぁ梨花が教えくれるし大丈夫だろうと思ってしまった。
「うん、全然良いよ〜。 んでね、モンスタードロップはね、詠唱はないの。普通に、今ここで、モンスタードロップって言うだけで発動する。そして、モンスターを倒した時に、魔法陣が出て、蘇ってきたら成功。成功したらまた魔法発動してね」
梨花は、俺にざっと説明してくれた。
「ふむ。そうなのか。んじゃ、やってみるわ。モンスタードロップ!!っと、これで良いのか?」
なんか意外と恥ずかしかったが、気にしたら負けだ。
「おお、よく出来ました〜。……あ!!やばい。忘れてた!じゃあね匠!!」
梨花は急に何かを思い出して、走って何処かに言ってしまった。
「えっ!? ちょっ、待っ……」
まだお礼も言ってないのに行っちゃったよ。俺は、梨花ともっと話したかったが、もう何処にも居ないので諦めることにした。
梨花が居なくなってから、間もなくしてリンシア達がやってきたが、俺の顔を見て安心したようだった。
「お主、顔色が良くなったな。なんか良いことでもあったかの?」
「お兄ちゃん! なんか嬉しいことでもあったの!?教えて教えて!!」
響とリンシアには、梨花の事を伝えておいた。一応理解はしていたが、よく分かっていないようだ。
「ねぇ、お兄ちゃん! 今からどうせ旅に出るんでしょ? ならさ、王都で買い物してこ!!」
響は、買い物がしたかったようだ。
だが、ほんとに準備はしなければならない。なんてたって魔王を殺さなきゃいけないんだ。
と、俺はそんなことを考えていたが、響達が近くでうるさいので、
俺達は、とりあえず旅の準備を進めるために、王都の中で買い物することにした。
土日はバイトがあるので、2日で1話更新したいと思います




