十三話 「最強の敵と消え去りし者」
1日1話更新……無理かもです。
ちなみに、今回は急展開です。
突然、周りも光ったと思えば、世界自体が変わっていた。
「なんだよ、ここは……」
俺は唖然としたまま立っていた。
我に返り、周りを見たら、しっかりと皆は居たのだが……
「なんで誰も動かないんだよ!! 驚きもしないなんておかしいだろ!!!」
それもそのはず、俺以外の人は全員麻痺していたのだ。
「……おにぃちゃ…ん」
かろうじで、喋れるっぽいが、到底聞き取れない。こんなの有り得ない。一体俺は何を召喚してしまったんだ。
「フハハハハッ!! 我が城から出れる時が来るとはな、勇者の結界魔法によって閉じ込められていたが、ようやく自由だ!」
甲高い笑い声と共に、勇者という単語が聞こえてきた。
「な、なぁ。お前、もしかして……魔王なのか?」
最悪の予感が的中しないことだけを祈ったが、現実は甘くなかった。
「ん? お前は誰だ? 第26代目魔王、ユリアス・ギースハルトに対してその喋り方とは……殺すぞ?」
やはり魔王だったか。これはやばいな。普通に考えて死ぬ。だが、俺はここで召喚魔法の説明について考えた。
「冷静になるんだ。ここで慌てたら負けだ。召喚魔法の説明さえ思い出せれば……」
俺は、召喚魔法の断片的な説明しか思い出せなかった。
と、ここで魔王が俺に話しかけてきた。
「なぁ、お前。何故お前だけ麻痺してないんだ? 俺とお前の力は天と地の差くらいあるはずだ。俺の能力、絶対強者にひれ伏さないなんて有り得ない」
魔王は俺に能力が聞いてないことに不満なようだった。
だが、俺は無視をすることにした。思い出すことの方が優先だ。
「お前、俺の言葉を無視するか。せっかくお前のことは殺さないでいてやろうと思ったが、今変わった。お前をここで殺す」
魔王は、俺に対して激怒していた。俺と魔王の距離は、ほんの100mだ。多分このままだと、ほんとに瞬殺される。
「やばい。ほんとにやばい。俺はどうすれば良いんだ。ノースさんも動けない、リンシアも響も動けない。なのに俺は思い出せない。あと少しなのに……!」
俺は、絶望した。自分の死ぬビジョンを思い浮かべ、今までの事を思い出していた。
「ほぅ、目を閉じたか。ようやく死ぬ覚悟が出来たってことだな。望み通り、殺してやろう!」
魔王は高笑いしながら、俺に対して近付いてきた。
そして、魔王は今俺の前にいる。だが、俺はここで奇跡にも近いが、思い出した。
「何かを思いついたようだな。だが、もう遅い。お前はもう死ぬ運命だ」
魔王の手には、魔力が溜められていた。俺の眼前で放とうとしているのが、音で分かる。
「俺はこれに賭ける! 魔王よ!我が全身全霊の力を持ってして、今ここから去るがいい」
俺は、召喚魔法の説明文の最後。自分の力を失う代わりに、強制的に還らせることが出来るというのを思い出したのだ。
「お、お前……!! お前が俺を召喚したのか!? ぐおおぉぉぉぉぉお……やめろ!やめろぉぉぉぉぉ」
魔王は、召喚魔法によって消えていったが、最後に悪あがきをしたようだ。何かの魔法を発動したっぽいが分からない。
魔王が消えたようで、世界は元に戻り、薄暗いダンジョンの中だった。
「ノースさん! 響! リンシア! 大丈夫か!!」
俺は皆に駆け寄ったが、何かがおかしい。3人居るはずなのに、居ない。
「あれ? おかしいな」
何回見ても居ない。居るのは、少女が2人。もちろんリンシアと響だ。
「なぁ、リンシア。 ノースさんがどこに行ったか分かるか?」
俺は、リンシアに聞いてみることにした。予想外の返事が帰ってくるなんて俺は思ってもみなかった。
「ノース? 誰じゃそいつは。我はそんなやつ知らないぞ? のぅ、響よ。お主も知らんじゃろ?」
「う、うん。なんか記憶の中に穴があるような感覚があるんだよね……でも、ノースっていう人は知らない、かな?」
響は思い出したくても思い出せないようだ。
「嘘だろ、お前ら忘れちまったのか、忘れちゃダメな人なのに。まさか、これも魔王の仕業なのか」
魔王の最後の悪あがきはノースさんの記憶を俺以外の人から消すのと、ノースさん自体を何処かに転移させることだったようだ。
「これも全部俺のせいだ……俺が召喚魔法を使おうなんて言ったから悪いんだ」
俺は、自業自得だと思い、自分を責め始めた。
「お主、なぜそんなに暗い顔してるんじゃ? まさか、召喚魔法でも使えんくなったのか? もしくは、ノースとゆう奴が関係しておるのか?」
リンシアの感は鋭いようだ。的確に当たっている。
「あぁ、そうだ。俺は魔王を召喚してしまい、強制的に戻した。そのおかげで、魔王は消えた。それはいい、だが、俺の召喚魔法とノースさんが消えていったのさ……ハハッ」
俺は、絶望しすぎて、笑ってしまったようだった。
「お兄ちゃん、泣かないで? 響が付いてるから。一生、いつまでも、お兄ちゃんと一緒に居るから」
2人の目から見た俺は、涙を流していたようだった。
響は俺の近くに駆け寄り、俺のことを慰めてくれた。
「ありがとな。だけど、とりあえず今は1人にしてくれ」
俺は1人で、ダンジョンから抜け出せる転移魔法陣に乗り、王都へ駆け出して行った。
残された2人は、とにかくお兄ちゃんが心配だった。
「お兄ちゃんなら……大丈夫だよね」
「タクミ、お主なら乗り越えられると信じてるぞ」
リンシアと響は、ノースの事を忘れてなんていなかった。匠を悲しませないように、忘れた振りをしていたのだ。
さらに、リンシア達は魔王の最後の瞬間を見ていたのだ。ノースが、リンシア達の前から、魔王の前へと向かったことを。そして、魔王の側に行き、転移させられていたのを。
そして、後に俺は気づく、俺の召喚魔法が消えたことにより、響の能力も一緒に消えたことを……
明日は更新出来るか分かりません。
本当に申し訳ないです。
ノースさんが好きな方……申し訳ないです。




