フロイスの、推し活記録
「日本史」の話を続けます。
「日本史」を書いたフロイスさんは、宣教師です。キリスト教を広めるため、ヨーロッパからはるばる、命がけで日本にやってきました。
……ちょっと正気とは思えません。でも、そんなすごい人です。
で、膨大な量の手紙をヨーロッパに送っていて、それをまとめたものが「日本史」です。
「日本史」にはたくさんの日本人が出てきます。が、フロイスさんはキリスト教を広めるために日本に来ていますので、キリスト教徒になった人は「人間」として扱っていますが、仏教徒への罵詈雑言はちょっとすごいです。「悪魔の手先」とか、普通に書いてます。仏教徒は、だいたい全員こき下ろされてます。
が!
信長だけは、べた褒めです。
信長が、最後まで、仏教徒であったにもかかわらず、です。
フロイスさんが岐阜城に行き、信長に面会するくだりがあるのですが。
もう、テンションダダ上り感がすごいです。「こんな場所まで案内してもらった」「こんなことをしてもらった」「こんなことを話した」「何を食べた」「何を貰った」etc。
これは、そう――。
「『推し』が自分《《だけ》》にしてくれた神対応を、友達みんなに自慢しちゃうファン」 の心理!!
もちろん、人気の『推し』は、大事なファンみんなに神対応をしております。
(「推し」じゃなければ、ナンバーワンホステスでもいいです)
が、「あなただけ、特別だよ☆」感を出すのを忘れません。
うわぁ……。
首までどっぷり『推し』(信長)にハマる、フロイス……。
そう思いながら、「日本史」を読むと、もう、いたるところに信長の「人たらし感」が満載で、すごいです。
フロイスと牛一以外で、ここまでまとまった文章を残している人はあまりいないので分かりませんが、この時代の有力者みんながフロイスのように、
「みんなは知らないけどさ。
信長って実は、むちゃくちゃ良いやつなんだよ。
俺《《だけ》》は分かってるぜ」
って思ってたとしたら――。
すごくないですか!?
だいたい「日本史」というのは、フロイスが本国にあてて書いた報告書です。最初は、自分の体験とか、日本の様子とか、キリストへの信仰とか、布教の進捗とかが書かれているのですが、途中から信長のプロフィールとか、行動記録とか、信長の良さのアピール文書とかになってきていて、『推し活か!?』とツッコみたくなります。
手書きの時代に、一人の人物について、これだけ多くの文章を残すって、とてつもないエネルギーです。
いやほんと、フロイスさん、信長の事、大好きだったんだね。




