首都への凱旋と、追い詰められる旧守派
私たちの西部での成功は、瞬く間に王都へと知れ渡った。
「干ばつで死に体だった西部地帯を、たった一ヶ月で緑豊かな農地へと蘇らせた」という奇跡のような事実は、吟遊詩人たちの歌となり、国中の民衆の間で熱狂的に語り継がれることとなった。
『アレクシス殿下こそ、我らを救う真の王だ!』
『彼に寄り添うセレスティア様は、知恵の女神の生まれ変わりだ!』
民意は完全に固まった。
もはや、誰一人として「側室の子」だの「婚約破棄された令嬢」だのと言う者はいない。
私たちは、実力と実績で、自らの価値を絶対的なものに引き上げたのだ。
一方、王都の王宮内では、アレクシス殿下の台頭を快く思わない「旧守派」の貴族たちが、集まって歯噛みしていた。
「おのれ……! たかが日陰者の第2王子が、民の支持を得たからといって調子に乗りおって!」
「ガレック子爵が捕らえられたことで、我々の西部の利権も完全に潰された! このままでは、あの王子が王位を継ぐのは時間の問題だぞ!」
「ええい、こうなれば手段は選んでおれん。奴らが王都に凱旋する前に……『暗殺者』を放ち、事故に見せかけて始末するのだ!」
腐敗した貴族たちは、暗い密室で陰湿な策謀を巡らせていた。
自分たちの利権を守るためなら、国を救った英雄すらも殺そうとする、醜い権力への執着。
しかし、彼らはまだ気づいていない。
最強のコンサルタントである私が、そんな彼らの「次の一手」など、すでに何手も先まで読んでいるということに。
「さあ、王都へ帰りましょうか、アレクシス殿下」
帰路の馬車の中で、私はワイングラスを傾けながら、不敵な笑みを浮かべていた。
「王都には、まだ一掃しなければならない『不良債権』が残っていますからね。彼らがどんな罠を仕掛けてくるか……今から楽しみで仕方がありませんわ」
私の言葉を聞いたアレクシス殿下は、呆れたように苦笑しながらも、力強く頷いた。
「ああ。お前と一緒なら、どんな罠でも正面から叩き潰せる気がするよ」
無能な王太子と家族への復讐を終え、圧倒的な実績を引っ提げた私たちの「王位簒奪プロジェクト」は、いよいよ最終局面へと突入していく。
私の仕掛ける次なる罠に、腐敗貴族たちがどんな無様な顔で泣き叫ぶのか。
(今から、最高のプレゼンテーション資料(断罪のシナリオ)を作っておかなくちゃね!)
私は揺れる馬車の中で、ウキウキとした気分で新しい羊皮紙にペンを走らせたのだった。




