実権の奪還と、次なる手
その日の午後。
約束通り、私は継母エレナから公爵家の金庫の鍵と当主の印章、そして「今後の家政の一切をセレスティアに一任する」という直筆の誓約書を受け取った。
さらに、継母の不正に加担していた料理長やメイド長など、腐敗した使用人たちを一斉に解雇し、前回の人生で私に優しくしてくれた誠実な者たちだけを新しい役職に引き上げた。
たった一日。
わずか一日で、私は私を虐げていた環境を完全にひっくり返し、ローゼンバーグ公爵家の『真の支配者』となったのだ。
『目標2:継母の不正の告発と、家門(経営権)の奪還』 ――達成。
書斎の豪華な革張りの椅子に深く腰掛け、私は新しい紅茶を口に運んだ。
入れ替えたばかりのメイドが淹れた紅茶は、これまで飲まされていた泥水のようなお茶とは違い、香り高く、心からリラックスできる味がした。
「さて、資金と権力は手に入れた。アレクシス殿下という最高の神輿も用意できた」
私は引き出しから、王室の紋章が押された一通の書状を取り出した。
それは、私と王太子レオンハルトの「婚約証明書」である。
「残るは、あの無能な王太子と、私を陥れようとする義妹マリアの完全な排除ね」
私の脳内にはすでに、彼らが自滅していくための完璧なシナリオ(事業計画)が組み上がっていた。
彼らが自分たちの愚かさに気づき、後悔してすがりついてきたとしても、もう遅い。
コンサルタントは、一度切り捨てると決めた不良債権には、一ミリの情けもかけないのだから。
「さあ、次はどんな手で楽しませてくれるのかしら? レオンハルト殿下」
真紅のドレスに身を包んだ私は、窓の外に広がる王都の空を見つめ、不敵な笑みを深くした。
私の華麗なる逆転劇は、まだ始まったばかりである。




