62/67
十月から始まる
就労準備プログラムに参加することになったのは、二週間後だった。
「ちょうど後期が十月から始まるので」
そう言われて、カレンダーを思い出す。
前期は四月から九月まで。
後期は十月から三月まで。
区切られた期間を頭の中でなぞって、少しだけ息をのむ。
——もう、十月。
ついこの間、お花見をした気がする。
薄いピンク色の中で、ブルーシートに座って、
道明寺と草餅を食べたあの日。
あれから、そんなに時間が経ったのだろうか。
何も変わっていないようで、
でも、確実に何かは動いている。
気づかないうちに、季節だけが進んでいく。
その速さに、少しだけ怖くなる。
取り残されているような気がして。
でも。
今回は、ほんの少しだけ違う。
十月から始まる、という言葉を聞いたとき、
ただ怖いだけじゃなかった。
間に合うかもしれない、と思った。
まだ、遅れていないかもしれない、と。
そう思えたことに、自分でも少し驚く。
二週間。
長いようで、短い。
何かが劇的に変わる時間ではない。
でも。
準備をするには、ちょうどいい時間かもしれない。
私は、頭の中でそっと数える。
あと、十四日。
その先にあるものを、まだはっきりとは想像できないまま、
それでも、少しだけ前を向いている自分がいた。




