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ライフコース  作者: 只野 唯
ショートケア編

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怖いままでも行く


火曜日。

ショートケアの日。

準備はできているのに、家を出る足が動かない。

正確には——

ショートケアに行くのが怖いんじゃない。

スズムラさんに会うのが、怖い。


あの長文のメッセージ。

終わらない「どうしたらいいと思いますか?」

返しても、返しても、なかったことみたいに繰り返される言葉。

顔を合わせたら、また何か言われる気がする。

逃げ場がなくなる気がする。


行きたくない。

そう思う。

でも。

ここで休んだら、どうなるんだろう。


たぶん、同じことの繰り返しになる。

少しずつ行けなくなって、

理由をつけて休むようになって、

気づいたら、戻れなくなる。


——会社に行けなくなった日のことを思い出す。

あの日も、最初は「今日は無理かも」だった。

それが「明日から頑張ろう」になって、

気づけば、戻るきっかけを失っていた。


最後まで、社会人としての責任を果たせなかった。

あのときの、重たい感覚。

取り返しがつかないと思ったあの気持ち。

胸の奥が、じわっと痛くなる。


もう、あんな思いはしたくなかった。

私はゆっくり息を吐いて、靴を履く。

ドアノブに手をかける。

怖いままでもいい。

それでも、行く。

同じ場所に戻れなくなる前に。

私は、小さく息を吸って、ドアを開けた。

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