表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフコース  作者: 只野 唯
ショートケア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/64

道明寺とカツ丼

 

 公園に着くと、桜の木から少し離れたコンクリートの上にブルーシートを敷いた。


 満開まではもう少しだけれど、枝先は淡いピンクに染まっている。


 おやつは三百円以内で各自持ち寄り。

 遠足みたいだ、と思う。


 最初は、携帯で「お花見 おやつ」と検索して、出てきたものを買えばいいと思っていた。

 無難で、失敗もしない。


 でも、それだとつまらない気がした。

 子どもの頃の、あの遠足前日のわくわくを思い出したくて、スーパーの和菓子コーナーをうろうろした。


 そこで見つけたのが、道明寺と草餅が一つずつ入ったパック。


「これ、いいかも」


 春らしいし、三百円以内だし、和菓子だし。

 なかなかのチョイスだと思った。


 ブルーシートの上で、みんながそれぞれおやつを出す。


 ポテトチップス。

 チョコレート。

 小さなドーナツ。


 その中で、マツムラさんの手元を見て、私は少し驚いた。


 カツ丼だった。


 スーパーの透明な容器に入った、小さめのカツ丼。

 お花見のおやつに、カツ丼。

 その発想は、私にはとても思いつかなかった。


「今どき三百円でカツ丼って売ってるんですね」

 思わず言うと、

「割引されてました!」

 マツムラさんは、嬉しそうに笑った。


 その笑顔が、少し眩しい。

 自由に選んでいい場面で、

 私は“それっぽいもの”を選んだ。


 マツムラさんは、

 自分が食べたいものを選んだ。


 それが少し羨ましくて、

 少し悔しくて、

 そして、いいなと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ