39/64
マツムラショウゴ
マツムラショウゴと名乗ったその人は、明るくて、元気で、私には少し眩しかった。
「はじめまして」
屈託のない声でそう言われて、私は慌てて口を開く。
「あ……は、はじめまして。高橋です」
ぼそぼそとした声。
自分でも頼りないと思うくらい小さい。
名前だけ名乗って、言葉が続かない。
何か言わなきゃと思うのに、頭の中が真っ白になる。
沈黙。
でもマツムラさんは気まずそうな顔をしなかった。
「よろしくお願いします」と軽く笑って、それだけだった。会話を広げようとも、無理に質問をしてくることもない。それが少し意外で、そして少しだけありがたかった。
私はテーブルの上の自分の手を見る。
指先が、ほんの少し震えている。
明るい人は苦手だ。
悪い人じゃないのは分かる。
むしろ、きっと良い人なんだと思う。
だからこそ、眩しい。
同じ場所にいるのが申し訳ないような、
そんな気持ちになる。
でもここは、そういう人も、私みたいな人も、一緒に座っていていい場所なんだと、ショートケアに来るようになって少しずつ分かってきた。




