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男女入れ替わりダイエット 彼の心を掴んだ美女は彼!?

私の名前は真奈美。根暗で大人しい高校生の女の子だ。ポテチとケーキが大好きで食べては寝て食べては寝てのぐーたらな日々を過ごしている。太っちょで似合う服がないのでジャージで過ごしている。


はあ。姉は美人でスレンダー体型で素敵な彼氏がいるのになんで私はこうなんだろうなあ。誰かに比べられたわけではないけど落ち込むわ。姉に嘆いたら、「あなたが自分磨きを怠るからよ」なんて言われてむかつく。


隣のクラスに好きな人がいる。窓際に座る龍太くん。校庭を黄昏て眺めているその姿が凛々しくてかっこいい。背が高いし、サッカー得意だし、女子の間でも人気者だ。私みたいなブスが近づくすべはない。


もし、私がイケメンだったら、彼の親友だったら、彼とボーイズラブな日々を送れただろうか。そんな風に思いながら、龍太くんの隣で手を繋いでいる男の子に視線を投げかける。


圭二くん。可愛い系の男子だ。龍太くんと親友らしい。インターハイが終わって引退するまでは、龍太くんがFWで圭二くんはMFだったとか。あのポジションを奪いたいな。彼の側近になりたい。


そんな風に夢想しながら、家でベッドに寝転がりながら、ポテチを貪っていると、周囲がチャップリンの映画のようにモノクロームに染まった。


「悩んでいるようだね」


「だ、誰?」


空から頭に輪っかをかけた赤ん坊のような生き物が降りてくる。中世の絵画で見たことのある外見だ。


「僕の名前はチコ。人の運命を弄ぶ天使さ。君の願望を叶えてやろう」


「な、なんのことかしら」


「君は圭二くんと入れ替わり違っているようだね。もし、その気持ちが本物なら、叶えてやろうと言うことだ。ただし、一度入れ替わったら、二度と戻れないことは覚悟してね」


天使と名乗りながら悪魔のようなことを言ってくる。私は究極の選択に迷った。迷ったが勇気を出して答えることにした。


「わかった。体を入れ替えて欲しい。私を圭二くんにしてほしい。龍太くんとお付き合いしたい」


天使は舞う姿を眺めているうちに猛烈な眠気が体を遅い、私は意識を失った。


☆ ☆ ☆


目が覚めると、新築のマンションのような部屋、グラビアアイドルとサッカー日本代表のポスターが壁に貼られている部屋で目が覚めた。


立ち上がると体が軽い。胸と腹の重みがない。鏡を見ると、はにかんだ顔のイケメン。圭二くんがいた。男の体であれこれ試したいな。


「圭二! 真奈美ちゃんっていう女の子が遊びに来たわよ。女の子を呼ぶなんて隅におけないわねえ」


母親らしき声が響く。ちっ。もう嗅ぎつけてウチにやってきたか。


のしのしと階段に重みのある足音を立ててのぼってくる。自分では気づかなかったが、なかなかみっともない足取りだ。


「真奈美ちゃん……だよね? 体が入れ替わった?」


部屋につくなり、開口一番に核心に迫ることを言ってくる。


「だったら何だって言うの」


「何でこうなったか、それと、元に戻る方法知らないかな」


「私が天使に願って入れ替えたのよ。元に戻る方法なんて知らないわ。っていうか、二度と戻れないらしいから。あ、あと、入れ替わったこと誰かに喋ったら死ぬ呪いかかってるから誰にも言わないでね」


さらっと天使が言っていない嘘も少し混ぜてみる。


「そ、そんな」


「惨めなブスの生活を楽しみなさい。イケメン風情にはわからなかった世界が見えてくるわよ」


元自分の顔が泣きそうな顔をしている。ざまぁ見なさい。苦労知らずで幸せそうな顔しているのが、日々、むかついてたのよ。


「見返してやる……! 見返してやるからなっ!」


元圭二は、情けないジャージ姿で部屋を飛び出して行った。


ふふっ。いい気味だわ。


☆ ☆ ☆


あれから、2ヶ月半経ち、12月半ば、卒業が近づいてきた。私は、いや、俺は、圭二の体で一流メーカーの工場に内定が決まっていて、龍太くんの側近として薔薇色の日々を過ごしている……はずだった。


「ごめん。俺、彼女ができたんだ。、一緒に帰るのやめよう」


「え……?」


「なんか、ここ最近のお前、ノリ合わないんだよな。よくわかんねぇけど、ちょっと太ったし」


ズキズキくることを矢継ぎ早に言われる。なんてことだ。


「ごめんな。彼女んとこ行ってくるわ」


そう言ったので隣のクラスまで追いかけると、まるで姉そっくりのスレンダー美人が龍太くんと手を繋いでいた。だ、誰?


「ああ、追いかけてきたのか。紹介するよ。俺の彼女の真奈美ちゃん」


頭に落雷を受けたかのような衝撃が走った。これが、元俺だって?


ぺこりと礼儀正しく会釈を彼女はする。ど、どこのお嬢様だ。私、こんなかわいいことしたことないのに。


落ち込んだまま靴箱に向かうと手紙が入っていた。


『元真奈美様。


あなたには感謝しています。こんな素敵な素質を持った体をくださったのだから。あなたのお姉さんは美人だから、この体も磨けばきっと美人になる。そう信じて私は、女として生きる覚悟をし、ダイエットに励み、お肌のケアを怠らないことにしました。おかげさまであなたのお姉さんのような美貌を手にいれることができました。お互い素敵な人生を過ごしましょうね』


☆ ☆ ☆


卒業から9ヶ月、一流企業、しかも、体育会系の推薦で入社が決まった企業は、パワハラが凄まじく、ぐうたらな私はついていくことができなくなり、あっという間に退社することが決まった。


ふらふらしながら過ごす日々の中、元圭二くんが私の前に現れた。


「龍太くんとできちゃった結婚することになりました。赤ちゃんもできてもう3ヶ月なんだ。私、今までサッカー少年を演じてきたけど、昔から、母親という役割を演じてみたかったし、きっと、向いていると思うんだ。あなたにはとても感謝しています。素敵な人生を授けてくださってありがとう」


「ううう……」


私は、暗い部屋で、ふたりの門出を祝い悲しみに明け暮れた。

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