67 ストーカーと戦う
「警察から警告されていたし、最近はゆきとさんとリムジンで帰ることが多かったから……もうストーキングされないと思ってたのですが、油断したです」
ニーナちゃんほどかわゆいロリっ子だったら変質者につきまとわれてしまうのは宿命みたいなものかもしれない。用心してしかるべきだったのに、俺も夕暮れ時に、人気のないところに来てしまって迂闊だった。
須藤は危ない目付きをして、口から涎を垂らしている。こいつはガチでイカレてる奴だ。ニーナちゃんと楽しいデートのはずが、事態は急転してしまった。
俺は慌てて立ち上がる。休憩所から出て、須藤の前に立ち塞がる。
「ニーナちゃんは下ってて。警察に通報して」
「わ、わかりましたです」
ニーナちゃんが自分のスマホで110番する。
「ひっひっひ。ニーナちゃん、今日は珍しく車で帰らないから、付いてきてあげたよ。やっと2人っきりになれるね」
須藤はゾンビみたいに両手を広げて接近してくる。近くで見ると須藤の身長は180センチ以上で体重100キロ以上の巨漢だ。
俺がいるのに、2人きりになれるってどういうこと? 俺をボコって、ニーナちゃんに襲い掛かるつもりか? 須藤の体格は、俺を圧倒している。素手で殴り合うんじゃ勝てる気がしないんだけど。
警察に通報しても駆け付けて来るまで、10分くらいかかりそうだ。それまで俺がなんとか守らないと、ニーナちゃんが汚されてしまう。
「須藤君、落ち着いてくれ。俺は金を持っている。君が望む額だけATMで引き出して渡してあげようじゃないか」
俺は金持ちらしく、金で解決を試みる。
「いらねえよ。お前さあ、ニーナちゃんと一緒にタワマンで暮らしてるんだろ。ムカつくんだよっ」
須藤がものすごい怒りの形相を浮かべる。先輩の俺をお前よばわり。俺に対しては殺意を抱いている感じ。俺たちがリムジンでタワマンに帰るところを尾行していたらしくて、俺を妬んでいるのだ。
「冷静になった方がいいよ。ニーナちゃんを襲ったら、須藤君は退学になって、少年院行きだよ」
「うっせえっんだよっ!!」
須藤は俺に怒鳴りつけてくる。火に油を注いでしまっただけだ。すごい迫力で、俺は震え上がった。
「……古城公園の休憩所なのです。すぐに来てほしいのです」
ニーナちゃんが警察と話しているのが聞こえてくる。
「すぐに警察が来る。事を荒立てない方がいいよ」
俺は何とか制止しようとする。
「ニーナちゃんはお前の物じゃねえっ ぶっ殺してやるっ」
須藤は右手をポケットに突っ込む。さっと抜かれた手はサバイバルナイフを握っていた。
「ひっ――!?」
ニーナちゃんの悲鳴が聞こえてきた。俺も息を呑んでいる。
ヤバいぞ。須藤にとったら、憧れのニーナちゃんを独り占めしている俺は絶対に許せない存在なんだ。ニーナちゃんを須藤の物にしたいっていう欲望もあるけれど、俺をこの世から消し去りたいっていうのもあるんだ。
俺はニーナちゃんと登下校するだけじゃなくて、学食でも一緒に食べている。須藤は学食で俺とニーナちゃんが仲良くしているのを見て、憎悪を募らせていたんだ。
俺もニーナちゃんが他の男の物だったら嫉妬で狂いそうになるだろうから、気持ちはわからないでもないけれど……殺すことまではしない。須藤はイカレてやがる。
俺がSランク美少女5人を見せびらかしていたら、トチ狂った男子が襲って来るかもって気づいていたのに……最近は男子も俺と仲良くしようとしてくるようになっていたから油断した。
世の中には、俺と仲良くしといた方が得って考える男子ばかりじゃない……俺の存在が憎くてしかたなくて、消去してやるっていう奴もいる。
須藤は俺を殺して、ニーナちゃんにエロいことをした後で、警察に捕まる前に自殺するつもりなのかも。
いや……須藤は未成年だから少年法で守られてて、俺を殺してニーナを凌辱したくらいでは死刑にはならない。須藤はヤバイ奴だが、頭の片隅では少年法を意識してやがるだろう。少年法はまじで忌々しい。
本作の短編版
『1兆円持ってる俺は、ギャンブルで無双して美女にデレられてしまう』を投稿しました。
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