48 ハーレムランチ3
「あたしも食べさせてやるよ、ハンバーグでいいか?」
桃香は自分の箸でハンバーグをつまむ。箸先でハンバーグを半分に切ってから、
「あーんしろ、ゆきとー」
と口の中に入れてくれる。
「おいしひよ、あんがと」
俺はもぐもぐしながら礼を言う。桃香の箸が俺の口の中に入ってしまっていた。また桃香と間接キスしてしまった。
「へへ、食べさせてやるのって楽しいな」
桃香はそう言いつつ、自分もハンバーグを食べる。俺の口に入った箸が、桃香の口に入る。俺の唾液が桃香の体に入っていくと思うとドキドキしてしまう。
「わたしもやるです」
ニーナちゃんが自分のフォークを俺の皿に伸ばして来る。
「待って待って」
俺は慌てて左手でニーナちゃんのフォークを遮る。そして右手で、麿莉奈から箸を奪ってニーナちゃんに渡してやる。
ニーナちゃんのフォークで食べたら、ニーナちゃんと間接キスしてしまう。桃香と唾液を交わすのはエロい気分になるけど、ニーナちゃんと間接キスは……清らかな妖精さんを汚しちゃう禁忌なので、やっちゃいけないね。
「わたしはお箸をまだうまく使えないです」
「だったら、突き刺したら。てか、そもそも食べさせてくれなくていいんだけど」
「やるです。ゆきとさん、あーんしてください」
ニーナちゃんはトンカツ一切れに箸を突き刺して、俺の口に突き出してくれる。
頑張るニーナちゃんに俺は心を打たれる。
ぱくっと食べた。
「おいしいよ。ありがとうね」
「やったです」
ニーナちゃんにとったら、俺に食べさせるのはゲーム感覚だろう。
カップルっぽく振る舞おうというつもりは、ニーナちゃんにあまりないはずなのだが、周囲の男どもはそうは受け止めない。
「孤児院め、ムカつく」
「ぜってー殺す」
「せいぜい最後の晩餐を楽しむんだな」
怨嗟の声が渦巻いている。
晩餐って、今は昼ご飯なんだけどな。
「はい、幸斗、お姉さんが食べさせてあげる」
千紘姉さんがサバの味噌煮を食べさせてくれる。箸は千紘姉さんのだ。千紘姉さんとの間接キスに俺は抗えない。昔から児童養護施設で千紘姉さんが俺に食べさせてくれているから、間接キスは何度もしている。今さらだな。
もぐもぐ。
「赤ちゃんの幸斗先輩、プリンでちゅよー」
藍も赤ちゃん言葉で、俺のスプーンを使って食べさせてくれる。藍は俺と間接キスすることに意識的に抵抗がありそうだ。そりゃそうだ、俺たちは知り合ってまだ日が浅いから当然だと思う。
つるんっ プリンが甘くて、口の中でとろける。
赤ちゃんプレイな感じだとしても、開き直ってしまえば快感だね。
5人の美少女に順番に食べさせてもらう俺。
自分で食べるよりも美味しい気がする。
「やーん、私も食べさせてあげたい」
「食べさせてあげるからお金欲しい」
「私も、私も」
周囲の女子は悶えていて、呆れている風ではない。
男子には憎悪の炎に油を注いで、ますます燃え上がらせてしまっている。
「くおおおお、ぶっ殺す」
「孤児院め、夜道に気をつけるんだな」
闇討ちされそうな気配。
大丈夫だとは思うけど、今日は念のためリムジンで帰った方が良さそうだ。
俺の教室では、麿莉奈に弁当を食べさせてもらうのがすっかり定着してしまっている。
同級生の男女も慣れてしまったみたいで、俺と麿莉奈を無視するようになった。まるで俺たちは別次元の存在として、この三次元にはいないかのように扱っている。
そのうち学食でも、俺と5人の美少女が食べている空間は別次元だと切り離されてしまうだろう。
全校の男子どもの怒りが諦めに変わるまで、しばらくの間やり過ごしておけばいいのだ。
ククク、男子どもにうらやましがられるのは心地よいね。
今後もハーレムランチを満喫することとしよう。
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