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49 リムジンで下校

 ◆◇◆


 最後の授業が終わる。

 今日は帰り道で男子に襲撃されないようリムジンに迎えに来てもらった。


 校門前に停車する黒塗りのリムジン。

 執事みたいな年配の運転手さんが後部座席ドアを開けて待っている。

 多くの生徒が足を止めて、呆然と見ている。


 今日はアニ研も家庭科部もないから、ニーナちゃん、千紘姉さん、麿莉奈も一緒に乗って帰る。


 藍は合気道部があるから、後で一人で帰るという。


 桃香は学食の後で、いつの間にか姿を消した。まさかパパ活に行ったわけじゃないと思うが、アゲハ蝶のように気まぐれな子だ。

 桃香は学校が嫌いなんだろう。午前中の授業4コマだけでも出席してくれたことで、満足しないといけないのかもしれない。


 リムジンの広い車内に、俺に続いて、ニーナちゃん、千紘姉さん、麿莉奈が乗り込む。

 美少女3人をリムジンのソファに侍らせるなんて、俺は映画に出てくるマフィアのボスみたいだと思う。


 生徒たちの感嘆が聴こえてくる。

「この長い車、リムジンていうんだろ。初めて見た」

「超金持ちって本当なんだ」

「私も乗せてほしい」


 運転手さんがドアを閉めてくれる。

 外の雑音が急に聞こえなくなった。

 防音防弾仕様なのだろう。


 俺のことをうらやまし過ぎる男子が、とち狂ってバットを振り回して襲って来てもきっと大丈夫だ。


 窓ガラスはマジックミラーで、外から車内を見ることができない。

 でも車内から外はよく見えるから、生徒たちがポカンと見ているアホ面を眺め渡すのは爽快である。


「幸斗さん、何かお飲みにならはりますか?」

 飲み物コーナーのそばにいる麿莉奈が聞いてくる。


「うん、じゃあ炭酸水を」

「はい」

 麿莉奈が冷蔵庫からペットボトルを取り出し、コップに注いでから渡してくれる。


 リムジンがゆっくり発車する。


 俺はコップを傾ける。炭酸水のシュワシュワが心地よい。


 タワマンまでは数分で着く。わざわざ乗るまでもないと思っていたが、これはこれで優雅なひと時だ。


 運転手さんは俺専属で、タワマンの一階に住んでいるという。俺か女の子が頼めばいつでも車を出してくれる。といっても俺たちは平日は学校だから、とても暇だろう。


 リムジン以外にも、スポーツカーや、ジープなど行楽の用途に合わせて使う車両がタワマンの駐車場に置いてあるんだとか。


 お嫁様バトルロワイヤルをスムーズに運営するため、わざわざ運転手と各種の車両まで配置されていて、つくづく大掛かりだと思う。


 ◆◇◆


「ただいまです」

 ニーナちゃん、千紘姉さん、麿莉奈と俺はタワマンの最上階に帰って来た。


 部屋は俺たちが学校に行っている間に掃除がされている。


 氷室さんの話では、ホテルと同じような室内清掃サービスが毎日あるんだとか。俺たちが掃除をする必要はない。


 俺の個室にやって来ると――

 ベッドメイクもピシッとされている。タオルも真新しい物に交換されているから、ホテルに泊まっているような感覚だ。


 てか、俺はホテルに泊まったことが中学校の修学旅行の時だけ。あの時は和室だったし、こんな丁寧な待遇じゃなかったらから、身の回りの世話をしてもらえることに感動する。


 ベッドの上に、真新しいパジャマと下着が置かれている。服は毎日クリーニング屋さんが洗濯してくれるという。


 至れり尽くせり。

 俺たちは家事をする必要が全然ない。


 普通の家で、嫁に大事なのは家事の能力だろう。だが超絶金持ちの俺のお嫁様になる子に、家事能力は必要ではない。使用人が全部やってくれるからな。


 お嫁様バトルロワイヤルでも、女の子たちが俺のお嫁様になった場合を想定して家事をやる必要のない環境が設定されているわけである。


 女の子たちは、俺を楽しませることに専念できるってことだ。

本作の短編版

『1兆円持ってる俺は、ギャンブルで無双して美女にデレられてしまう』を投稿しました。


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