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鎮魂祭前日…クロードの事、忘れたくない…

いよいよ鎮魂祭も明日に迫った。

聖女リーゼティリアが、夕方、グリザスの部屋に会いに来てくれて。


「グリザス様、私は明日、アマルゼ王国の死霊たちの魂を天に帰す儀式を行います。勿論、アマルゼ王国だけでなく、マディニア王国の戦で亡くなった戦士たちの魂も、戦場でさまよっているのなら、天に返しますわ。」


グリザスは跪いて、頭を下げる。


「有難う。聖女リーゼティリア。よろしく頼む。どうか同胞達の魂を、俺が殺した敵兵の魂を全て、安らかに眠らせてやって欲しい。」


顔を上げたら、リーゼティリアは優しく微笑んだ。


「ええ…それで、明日なのですが、王宮の広間にグリザス様は居て欲しいですわ。

とても危険な行事なので、広間に結界を張ってお守りしたいと思っております。」


クロードが心配そうに。


「グリザスさんを守る人を、俺、皆に声をかけたんだ。そうしたら、姉上も、シルバもロッドも、ミリオンもファルナードも、騎士団見習いの皆もいろんな人達が守ってくれるって。」


「それは良かったわ。相手国はアマルゼ王国の皇太子殿下ご夫妻と近衛騎士達。こちらはディオン皇太子殿下とセシリア皇太子妃様が当日出席なさいます。国王陛下と王妃様、フィリップ殿下は王宮で祈りを捧げるという事ですわ。こちらの守りは、ユリシーズ、ローゼン騎士団長、近衛騎士達の半分、そして、客人のネリウス、レオンハルト、メルディーナ皇女様が守って下さいますわ。

祈りを捧げる私の傍には、リゲル帝国のリーナ皇女様と、フィーナ、神官長様が手を貸して下さいます。心強いですわ。後、ルディーンが冠の威力が見たいと立ち会ってくれるとの事です。残りの近衛騎士達とゴイル副団長、リンドノール、ザビト総監は国王陛下達の護衛ですわ。」


リーゼティリアの言葉に、クロードは安心したように。


「万全の体制だね。」


その時、魔法陣が展開して、第四魔国魔王ティムが現れた。


「俺も協力するよ。勇者に憧れているし、ユリシーズと一緒に行動するーー。」


リーゼティリアは嬉しそうに。


「有難う。よろしく頼むわ。第四魔国魔王ティム様。」


「えへへ。」



リーゼティリアが部屋から去ると、グリザスは不安になる。


明日、いよいよ明日なのだ。無事に終わるだろうか…。


残っていたティムが近づいて来て、顔を覗き込んで来て。


「大丈夫だよーー。皆、強いし…絶対に守ってくれるよ。ね?クロード。」


「う、うん…そうだよね…。俺も絶対に守る。グリザスさんを。」


「有難う。二人とも…」




ティムが帰ると、グリザスはクロードをぎゅっと抱きしめた。


「クロード…。」


「ん…どうしたんです…」


「ベットに来てくれないか。」


二人でベットに寝転がる。枕元の灯りを点けた。外は既に薄暗い。

グリザスは自分の鎧の上にのしかかっているクロードの顔を確認するように、鎧に覆われた手で、その頬を…唇をなぞり、両手でその顔を覆って。


「クロードの顔、クロードの声、俺は忘れたくない。」


「何だか、もう、会うのが最後のような言い方だね…。」


「今度、生まれてくる時は、人間としてお前の傍に立っていたい。その時も俺を愛してくれるか?」


ああ…約束して欲しい。もし、今度生まれ変わる事があるならば、クロードとまた、一緒に歩みたい。


クロードは首を振って。


「今は約束出来ない。だって…俺、まだまだグリザスさんとやりたい事あるから。

この言葉はもっと歳を取ってから。その時は約束してあげるよ。必ず、来世でもグリザスさんに出会って、愛してあげる。だから、グリザスさんも俺を見つけて?そして愛して欲しいな。」


クロードはグリザスの兜の口元をずらして、骸骨の歯をむき出しにして、そこへチュっとキスを落としてくれた。そして熱く囁いてくれる。


「明日は、絶対に守るから。安心して…。グリザスさん。」


「一応、俺の方が強いと思うんだが。」


「でも、俺、聖剣を持っているよ。剣技はグリザスさんの方が上だけど、聖剣の力は、それを上回るはずだから。」


「そうだな…解っている。」


クロードはグリザスの兜の口元を戻して、頬のあたりにチュっとキスを落とすと、


「寝ようか…。明日は早いから。おやすみグリザスさん。」


「おやすみ。クロード。」



おやすみと言っても、グリザスは眠れなかった。


灯りに照らされたクロードの寝顔をじっと見つめていた。


本当に不思議な縁だった。もし、クロードが自分の世話係にならなければ、

その前に騎士団見習いの剣技の指導者に、ディオン皇太子に命じられなければ、

この出会いはなかっただろう。


ああ…決定的だったのは、アマルゼの魔物に襲われた時に、骸骨の歯をこじ開けてクロードが薬を流し込んでくれたあの出来事だったな。


もし、あの出来事が無ければ、おそらく、クロードはアイリーンの婚約者のままだったのではないだろうか…


偶然は必然だったのか??ただ、今はこの運命に感謝したい。


クロードが目を開いてこちらを見て、


「嫌だな。グリザスさん。回想なんてしないで下さいよ。俺、何だか泣けてきてしまうから。ね?」


そう言って、抱きしめてくれた。


何だかとても切なくて、グリザスも骸骨なのに、瞳も無いはずなのに、涙が流れる。


クロードはきっぱりと、


「あの出来事が無くても、俺、きっと…グリザスさんに惚れていたと思う。

いや、そう思いたい。必ず、結婚式挙げよう。俺、正騎士になるから…きっと騎士団長にもなる。グリザスさんを幸せにするからさ。」


「ありがとう。クロード。俺はお前に出会えて幸せだな…」


何とも切ない夜は更けていくのであった。

明日は鎮魂祭、どうなるのであろうか。


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