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ジュエル帝国へ行く前の打ち合わせをしたのだが。何故に俺の部屋?( 一一)

「相変わらずアホだよね…」


クロードにアホ扱いされているのは、隷属の首輪を着けられてしまったルディーンだ。

ディオン皇太子殿下の機嫌を損ねてしまったらしい。


「仕方がないじゃないですか。俺はイラついていたんですよ。冠の方程式で悩んでいたから。」


ミリオンがテーブルの上の豆を食べながら。


「まぁ人間そういう事もあるさ。あ、俺達は魔族か…」


ミリオンの目の前には第五魔国の魔王ロッドが同じく豆を口に運びながら。


「で、どうする?もしかしたら、王国の秘蔵図書室に罠が仕掛けらえているかもしれないぞ。」


ロッドの隣の椅子に座り、第三魔国の魔王シルバも、豆を食べながら。


「そうなったら、そこの死霊には悪いが、女性陣を先に魔法陣に放り込んですぐに撤退するしかあるまい。」


金色のふわふわの髪の少女スーティリアが。


「それ賛成。後、攻撃陣に撤退を知らせる為に、ノロシで知らせた方がいいと思うよー。」


クロード達5人がテーブルに集まって豆を食べているので、スーティリアは座る席がない。

それで、グリザスのベットの上に腰かけているのだが、

グリザス自体は、窓際の勉強机にある椅子に座って、集まっている魔族達を見ていた。

それにここは…いつものごとく俺の部屋だ。

クロードの部屋は狭くてテーブルも置けないので、何かと皆、俺の部屋に集まってくる。

その時、クロードが持ち込んでおいた転移鏡が光って、そこからフローラが現れた。


「まぁ、みんな集まっているのね。」


続けてマギーとサラも現れる。

マギーはフローラの友達の伯爵令嬢。サラはフローラ専用の使用人だ。

二人とも魔族である。


何だか人数の割に部屋が狭い上に座る場所がない。


フローラとマギーは、スーティリアの横のグリザスのベットに腰かけた。


さすがに、席を譲らないとまずいのでは…

お前達、豆ばかり食べていないで、女性陣に椅子を勧めろよと思ったが、

さすがに魔国の連中達前にそれは言えない。


グリザスはサラに向かって。


「よろしければ。ここへ…」


「ありがとうございます。私は使用人ですので。お優しいんですね。グリザス様。」


サラに褒められてしまった。

男としてちょっと嬉しくなる。


ルディーンが立ち上がって。


「よろしければ、フローラ様、マギー様。ほら、クロード、席を譲るのが騎士というものだ。」


フローラは優雅に微笑んで。


「ありがとう。でもいいわ。早く打ち合わせをしましょう。」


ミリオンがルディーンに。


「ディオンを呼ばないのかよーー。一応、呼んで話を聞いておいて貰った方がいいんじゃね?」


「こんな首輪を着けられて、何で俺が呼ばなくてはいけないんですかね?」


ルディーンの反論に、クロードが。


「怒るのは解るけど。もうちょっと大人になろうよ。」


あああ…何だか、ルディーンが意地になっているようだ。

俺も、皇太子殿下に話を聞いてもらっておいた方がいいと思うぞ。


ルディーンは皆に向かって。


「後で説明しておけばいいでしょ。これは図書探索隊の打ち合わせなんですから。」


その時、ドアがドンと開けられて、ディオン皇太子が不機嫌に乗り込んできた。


「だからお前ら、俺を抜きで話を進めるな。」


そしてルディーンに近づくと胸倉を掴んで。


「おいこら、ルディーン。どういうつもりだ。」


「だから、これは図書探索隊のっ…」


「関係ない事はないだろう。ジュエル帝国への侵入、聖剣と魔法図書を手に入れる計画だろうがーー。」


ミリオンが割って入る。


「まぁまぁ。ディオン。早く打ち合わせ始めたいから、痴話げんかはその位で。」


そして、ディオン皇太子にミリオンは自分が座っていた席を開けて、強引に座らせ。


ルディーンが掴まれて乱れた服を直しながら。


「それじゃ皇太子殿下は聞いていて下さいよ。

皆、覆面とマントを着用し、スーティリアの魔法で、図書探索隊は図書室の前まで転移。」


スーティリアが手を挙げる。


「図書室に罠が設けられていたら、まずいよねーー。聖剣奪還の攻撃陣の転移はどうしようかな…まずは攻撃陣を王宮の人気のない所へ転移かなーー。なるべく聖剣に近い所。」


ディオン皇太子は頷いて。


「それで、俺達攻撃陣は、王宮の庭の石に突き刺さった勇者ファルギリオンの聖剣を抜きに行くわけだが、邪魔が入る可能性が高い。」


クロードがディオン皇太子に。


「俺達図書探索隊は出来るだけ、探索してみますから、それまで粘ってくれませんか?

ただし、罠がある場合はすぐに撤退します。フローラ達3人を魔法陣に放り込んで、残りの男性陣は攻撃隊の撤退に力を貸そう思っています。」


スーティリアが足をバタバタさせながら。


「派手なノロシをあげますから。そうしたら撤退準備をしてください。ミリオンが魔法陣を展開して、そこへ私達が現れて、皆さんの撤退のお手伝いをしまーす。邪魔する人達を魔法で蹴散らしまーす。」


ミリオンがディオン皇太子に向かって。


「それまでに聖剣を手に入れておかないとだな…。所で、ディオン。敵方に強い奴はいるのか?」


ディオン皇太子は思い出すように。


「ともかく勇者ファルギリオンの兄弟は強い。ロベルト皇太子も、帝国の騎士団長第二皇子のアルフレッドも、末の皇女のメルディーナも凄い剣の使い手だ。ファルギリオンに俺は以前負けたわけだが、ロベルト皇太子にも歯が立たなかった。もし、ロベルトが出てきたら、二人がかりで立ち向かわないとまずい。アルフレッドとメルディーナとは手合わせする機会がなかった。だが、かなりの強敵と見て間違いないだろう。」


ミリオンがぽつりと。


「攻撃陣、弱くねぇ??大丈夫かよ。」


「リンドノールもかなりの使い手だ。3人に対して、6人で相手をする。

それぞれどれを相手にするか一応決めておくか。今回は自分たちの聖剣が使えない。

どうするか…。」


グリザスは出過ぎた真似だとは思ったが、進言する。


「皇太子殿下はミリオンと組むべきだと思います。二人の相性は演武会で相手をしてみた俺からしてみたら、共に組んで戦うのはとても相性がいい。もし、皇太子殿下に何かあった時は、ミリオンなら、転移魔法でまっさきに転移して逃がしてくれるでしょう。」


ディオン皇太子は頷いて。


「いい事を言う。ふと思ったんだが、魔法陣をミリオンが展開する暇がなかった場合はどうする?」


スーティリアが手を挙げて。


「私がお迎えに参りまーす。皆さんの近くに魔法陣を展開して、そこからクロード、ロッド、シルバ、ルディーンを派遣して撤退のお手伝いを。」


ロッドが意見を出す。


「シルバは氷のシルバと言われている程、氷を操るのが得意だ。氷の壁を敵との間に作れたら、撤退の時間を稼げるだろう。敵と距離を開けられたらの仮定しての話だが。私は探索魔法は得意だが、戦いの魔法は稲妻位しか出せん。稲妻で不意打ちして、援護する事位なら可能だ。」


シルバはロッドの意見に同意して。


「氷魔法なら任せておいてくれ。どんな大きさの氷でも出せるぞ。」


クロードがはいと手を挙げて。


「俺は修復魔法は得意だけど、魔法で戦うのは苦手で…ただ、魔法で敵の注意を逸らすくらいの事は出来ると思います。鳥の幻を出現させるとか…」


ルディーンが口を開く。


「俺も攻撃魔法はあまりなくて、まぁ、クロードと同じく、敵の注意を逸らす花火くらいしか…。後はともかく、皆さんの撤退を手伝うしかありませんかね。」


再びグリザスがディオン皇太子に。


「ローゼン騎士団長、勇者ユリシーズ、竜騎士リンドノールの3人については、ユリシーズ以外は実際に手合わせをした事がありません。ローゼン騎士団長は俺がこの王宮に帰ってくるときに一度手合わせをしましたが。手合わせをする機会を設けてくれませんか。それで4人で相談して組み合わせを考えたいと思います。」


ディオン皇太子はグリザスに向かって。


「解った。許可をしよう。午後から3人に王宮の庭に来てもらう。それで、手合わせをそれぞれしてみて判断してくれ。」


「ありがとうございます。」


後は、図書探索隊も二人ずつ組んで探索する事になった。


フローラとクロード、ロッドとマギー、シルバとサラ、スーティリアとルディーンである。


打ち合わせは午後までかかり、それぞれ打ち合わせを終え、その場は解散となった。


クロードが散らかった豆菓子とかを片付けながら。


「ディオン皇太子殿下が来てくれて助かりましたね。まったくルディーンも大人げない。」


「色々と思う所があるのではないのか?」


テーブルを雑巾で拭き、綺麗にする。

女性陣が座っていたという自分のベット。

何だか、いい香りが残っていそうな気がして。


クロードがにっこり笑って。


「グリザスさんってスケベだよねー。」


「うわっ…声が聞こえてしまったか?」


「なんか、フローラとかサラとか、特別、綺麗な物だって思っている節が…」


「ああいう令嬢に縁がなかったからな…。事実、いい匂いがする。」


クロードはぎゅっと抱き着いてきて。


「どうせ、俺はいい匂いはしませんよ。」


「そんな事はない。俺はクロードの汗の匂いが好きだ。」


「グリザスさん…」


二人でキスをしようと顔を近づけようとした所、入り口から声をかけられた。


「グリザス・サーロッド。王宮の庭でさっきから待っているんだが?」


凄く不機嫌そうなローゼン騎士団長が立っていて。


「ああ、すまない。すぐに行こう。」


「俺も見に行きます。」




王宮の庭に行ってみれば、勇者ファルギリオンこと、ファルナードが厚着をして椅子に座り、親し気にユリシーズと話をしている。その横で、竜騎士リンドノールが立っていて。


ローゼンと共に近づいていき、挨拶をする。


「ファルナード殿下、具合は如何ですか?」


王族相手なので敬語だ。


ファルナードは顔色が悪いが、微笑んで。


「この度は俺の為に苦労をかけてすまない。この間は魔物と言って申し訳なかった。」


「いえ、俺は死霊ですから。それに今回は俺が人に見える為の魔法書を探してくれるという事も含まれています。本当に皆には申し訳なく思っています。」


ローゼンがグリザスに向かって。


「それではさっそく始めよう。まずはどうする?」


「組んで、2対1で戦うのはどうだろうか?」


「そうだな。実戦も2対1になる可能性が高い。やってみよう。」


ローゼンは同意して。


まずはグリザスがユリシーズと組み、リンドノールに挑む事になった。


ただし、手に持つのは怪我があるとまずいので模造剣である。


鋭くユリシーズがリンドノールに攻撃を加える。


激しい打ち合いが始まった。


その隙をグリザスが突いて、リンドノールの首筋を模造剣が掠る。


今度はグリザスがリンドノールと激しい打ち合いをする。


おっ…この男の太刀筋は面白い。変則的でいままで、出会った事のない太刀筋だ。


そう思っていると、


そこへ、ユリシーズの鋭すぎる一撃でリンドノールの模造剣が弾き飛ばされた。


グリザスはユリシーズと組む事に、とてもやりやすさを感じる。


ユリシーズが笑って。


「なかなか、いい所から突いてきてくれる。グリザスさんはさすがだな。」


「俺の方こそやりやすかった。」


リンドノールがため息をついて。


「お前達、強いな…。これ程。押されるとは…。まぁそれでもファルナード様と皇族の方々には叶わないが。ジュエル帝国の皇族は最強と言われているから…」


ローゼンが、リンドノールに向かって。


「それでは私と組んで次はグリザスを攻撃してみよう。」


グリザスは焦った。


防げるだろうか…。


ローゼンが剣を手に持ちこちらへ踏み込んできた。


太刀筋からしてとても綺麗だ。グリザスは育ちも悪く、我流の所があるが、さすが公爵で育ちも良い男である。


その綺麗な太刀筋を受けながら、グリザスとローゼンは激しい打ち合いをした。


そこへ、リンドノールが突っ込んでくる。


うわっーーーー。危うく腰に受ける所だった。かろうじて避けたが。


この太刀筋はなんだ。やはり、とても変則的だ。


確か人間ではない。白竜の化身だと言っていた。


ローゼンの攻撃の合間にその変則的な太刀筋を受けるのはキツイ。


ザザザっとグリザスは後ろに下がらざる得なかった。


ローゼンは模造剣をおさめながら。


「決まったな…。私はリンドノールと組もう。相性が良いようだ。」


リンドノールも頷いて。


「こちらも攻撃を出しやすかった。ローゼン騎士団長。よろしく頼む。」


二人は握手をする。


リンドノールは白銀の長い髪、とても美しい姿をしていた。

ローゼンと二人で並ぶと何だか絵になる。


ファルナードが楽し気に。


「良い物を見させて貰った。俺も早く身体を治して、相手をしたいものだ。」


リンドノールがファルナードの傍に行き。


「ファルナード様、そろそろ部屋に戻りませんと…」


ガシっとお姫様抱っこをする。


「ああ、有難う。」


歩くのもシンドイ位、体力がまだ回復していないようだ。




ディオン皇太子が、ミリオンと共にやってきて。


「決まったようだな。

リンドノール、ちょっとだけ待ってくれ。

今、攻撃相手を決めておきたい。ファルナード、お前の意見も欲しい。しんどいだろうが頼む。」


ファルナードはリンドノールに頼んで再び椅子に降ろして貰う。


ファルナードはディオン皇太子に向かって。


「俺の意見から言わせて貰っていいか?ロベルトとアルフレッドそして、メルディーナについてだが、ロベルトが3人の中で一番強い。ディオンとミリオンが相手をせざる得ないだろう。アルフレッドについてだが、彼は帝国の騎士団長で、身体は大きくパワーがある。

グリザスのパワーで押して、その隙にユリシーズの攻撃って形で大丈夫だと思う。メルディーナは真紅の剣士と言われる程、華麗で正統派な剣技を使う。ローゼン騎士団長に相手をしてもらい、その隙をリンドノールが突くしかあるまい。」


ディオン皇太子は皆に向かって。


「俺はこの案を採用したいと思う。有難う。ファルナード。具合が悪いのに、すまなかった。

早く部屋に戻って休んでくれ。」


「こちらこそ、俺の聖剣の為に危険な目に合わせてすまない。」


「お前には早くよくなって貰って黒竜魔王討伐に付き合って貰わねばならないからな。お互い様だ。」


ファルナードはリンドノールに再びお姫様抱っこされて、部屋に戻っていった。


見学していたクロードは目をパチパチさせて。


「凄い世界だな…。俺も頑張らないと。腕を上げてああいう攻撃陣に加えて貰えるようになりたい…」


グリザスはクロードに近づいてその肩を軽くぽんと叩いて。


「俺はクロードに期待している。」


「ありがとう。」


ディオン皇太子はその場にいる皆に向かって。


「大変だろうが…皆、俺についてきて欲しい。よろしく頼むぞ。」


ミリオンが自分の胸を軽く叩いて。


「任せておいてくれ。やはりお前の相棒は俺だな。」


「ああ…お前と組んで戦うのはとても心強い。」


ユリシーズはグリザスに手を差し出して。


「当日はよろしくお願いします。俺、頑張って戦うから。」


「俺の方こそよろしく頼む。心強い限りだ。」


握手を交わす。


ローゼンはディオン皇太子に、


「必ずや、聖剣を奪還してまいりましょう。皇太子殿下。」


「ああ、ローゼン。頼むぞ。」



鎮魂祭の前にとんだ事になってしまった。


しかし、これはやるしかない。そう思うグリザスであった。


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