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第一二五話『舞い散る桜』


「っ?!」

 その惨状を目の当たりにして、あかりが息を呑む。すでに“S.C.W.E.R.”の数もかなり減ってきていた。

 ダガースクワイア六基、シュートスクワイア六基。シールドスクワイア十二基。

 すでに三分の一が破壊された。残る二十四基も損害を負っているものが大半だ。それでも、健気にあかりを護るために整然と並んでいた。

 それを見て、惣一が右手の中指で眼鏡のブリッジを押さえるようにしながら息を吐いた。

「まだ諦めませんか。なかなかにタフな方だ」

「んふ♪ 持久力には自身があるヨ♪」

 おどけた様子で惣一に応えるあかり。しかしそれは、どこか強ばったものだった。

 ライフバーはあかりがほぼ満タンなのに対し、惣一が四割程度。あかりが大きくリードしている状況ではある。が、ここまでの経緯を見ていた者達からすれば、このツーサイドアップのビキニ少女の方が追いつめられているのは明白だった。

「ならばその爪も牙も狩り尽くしてあげましょう」

 言うが早いか弓を構えた惣一の正面に六本の矢が展開され、それを次々につがえて撃ちはなっていく。対してあかりは移動はせずに周囲に投影されたディスプレイ表面を撫でる。

 二十四基、残る“S.C.W.E.R.”すべてが一斉に散開した。

 残るは無防備な体を晒したあかり本人のみ。それを見て惣一の鉄面皮にさざ波が起きた。

 次の瞬間、飛翔する矢が次々に両断された。ダガースクワイアだ。そこへ即座に矢が撃ち込まれるが、シールドスクワイアがそれを弾き、シュートスクワイアが割り込むようにしながら惣一へと射撃する。

 それを避けて彼は今度こそ顔をゆがめた。

「……操作精度と連携が向上している……。っく?!」

 つぶやく暇を与えぬとばかりに回り込んだシュートスクワイアがビームを速射し、ダガースクワイアも襲いかかってきた。それを避けつつ矢を展開して放つ。が、その射線に割り込むように現れたシールドスクワイアに弾かれた。そこへさらにシュートスクワイアが一基飛び込むようにしながらビームを放ち、その左右からダガースクワイアが突進してくる。

 惣一はバックステップでそれを避けながら矢を展開するが、それを横合いから飛来したシールドスクワイアに弾かれた。

「なっ?!」

 彼の顔が驚愕に染まった。

 その一瞬の隙を突いて、六基ダガースクワイアのダガースクワイアが惣一を押し包むように飛翔する。彼は即座に矢を一本呼び出しつつ正面のダガースクワイアへと突っ込みながら矢をつがえて放った。それはしかし、ダガーを護るように現れた桜色のシールドに弾かれてしまい、惣一の顔がゆがんだ。

 その肩口へとダガーが突き刺さり、ライフバーが減ずる。

 が、構わず突き進み、つんのめるように転がりながら包囲を抜けつつ身を起こして弓を構えた。そうして放たれた矢は、あかり目掛けて飛翔した。が、それは彼女の周囲を舞っていた一枚のヒビだらけのシールドによって防がれた。同時に砕け散るシールド。その隙に“S.C.W.E.R.”達があかりの周囲へと集結した。

 それを見て惣一は肩口に刺さっているダガースクワイアを無造作につかんで引き抜き、痛みに顔をしかめながら放った。

「……痛むものですね。しかし、随分と動きが良くなった。どんな魔法を使ったんですか?」

 惣一は、我知らずに訊ねていた。計算し尽くした挙動に、今のようなものはない。また計算をやり直さなければならない。それ以上に、彼の好奇心がその言葉を紡がせていた。

 その顔を見て、あかりは微笑んだ。

「……うん♪ さっきまでの仏頂面より、ずっと良い顔してるよ? キミ♪ わたしはそっちの方が好きだな♪」

 言いながら足でワン・ツーとリズムを取った。ディスプレイを撫で、笑顔で口ずさむ。

 すると踊り出す“S.C.W.E.R.”達。

 それは、あたかもひとつの生物のように。

 あかりのリズムに合わせて桜色の従卒達が舞い踊った。

「これが答えだよ♪ 眼鏡クン♪」

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