第一二四話『冷徹なる狩猟者』
「……っ!?」
掠めるように飛翔してくる矢に、あかりがシールドスクワイアを動かす。と、同時にシュートスクワイアに三本の矢が突き刺さり、破砕された。
「またっ?!」
思わずあかりが声を上げた。これで五つめだ。
そう。
“また”である。“S.C.W.E.R.”の数の前に惣一が押し込まれるだろうと考えていた観客達はそろって呆気にとられた。
確かに“S.C.W.E.R.”による攻撃は凄まじかった。しかし、惣一はそれを最小限の被弾でやり過ごしていた。
まるで、どんな攻撃をしてくるのかがわかっているかのように。
“S.C.W.E.R.”の攻撃力が低いことも惣一にとってプラスに働いた。どう扱っても、“S.C.W.E.R.”は支援兵器なのだ。ひとつひとつの攻撃力は低い。
それを補うための数なのだが。
そのため、惣一はどうしても避けられない攻撃だけに当たるように動いていた。すでにライフバーは二割近く減ってはいるが、彼の顔に焦りは無い。反対に、あかりの顔からは笑みが消えた。ライフバーは全く減っていないが、追い込まれてきたかのような顔だ。
惣一がやったのは、至極簡単なことだ。あかりに攻撃を放ち、彼女の注意がそちらに向いた瞬間を狙って、彼女の従卒を狙ったのだ。
とはいえ、もっとも強度の無いシュートスクワイアですら一矢で破壊することは不可能だ。
二〜三本。それだけ当ててやっと破壊出来るのだ。それを惣一は、淡々とこなしていく。
時には攻撃を誘導し、時には逃げに徹する。そうして惣一は公式を解いていった。
「まだまだぁっ!!」
気合いを込めた声を上げて、あかりは周囲のディスプレイを撫でて従卒達に命ずる。十基のダガースクワイアが惣一へと飛翔していった。
それぞれが、違う挙動で彼へと向かう。だが、惣一は慌てることなく移動した。
そこへ殺到するダガースクワイア。しかし、それらはかわされ、空かされていった。
と、そんな惣一が、顔を上げた。見れば銃口にエネルギーを溜めたシュートスクワイアが四基。それが一斉に火を噴くタイミングに合わせ、矢が十二本展開された。撃ち出されたエネルギーを交い潜りながら惣一が矢を射ていく。それは正確に三本ずつ、四基のスクワイアに突き刺さった。
ここで六基のダガースクワイアが彼を押し包むように飛来した。避けられぬと判断し、致命の箇所だけを避けながらその斬撃を受けていく。ライフバーがさらに減っていき、ついに五割を切った。
それを見たあかりが思い切り良く従卒達を進撃させた。
四基のダガースクワイアが螺旋を描きながら散開し、三基のシュートスクワイアが直進。二基がビームを連射した。
援護射撃を受けながら突進した三基のシュートスクワイアは、惣一の左右と頭上へと散開しながらビームを連射する。その隙間を縫うように、ダガースクワイアが彼へと肉薄した。
次の瞬間、惣一は背中へ向けて倒れ込みながら展開した矢の一本をまっすぐ放つ。それは頭上を越えようとしていた一基を弾き飛ばした。
さらに迫る四基のダガーに、惣一は横へ転がりながら三基を避け、よけられない一基を籠手で受けた。そして、即座に起きあがりながら立て続けに五本の矢をあかりに向けて撃ち出した。
それを防がんとシールドスクワイアが一基、受け止める。が、五本分の威力に耐えかね、ひび割れながら弾き飛ばされていった。
その事に、あかりの注意がそれる。
いかに並列操作が得意とはいえ、あかりは素人だ。危機が迫ったり、驚いたりして集中力が乱れれば、並列操作にも影響を及ぼす。
さきほどからそのようにして、あかりは従卒達を失っていった。
そして今。新たに彼の足下に三基のシュートスクワイアと四基のダガースクワイアが破片を散らばしながらその無惨な姿をさらしていた。




