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第一二三話『惣一の力』


「……“S.C.W.E.R.”を三十六基? バカな! 扱いきれるわけが!」

 声を上げながら惣一が横っ飛びになりつつ矢を射ていく。流れるような弓捌きは美しくもある。

 そうして撃ち出された四本の矢が、またもやあかりに迫るが、それはあっけなくシールドスクワイアに阻まれた。

「くっ」

 歯噛みしつつ距離を離しながら矢をつがえる。が、彼を追うようにダガースクワイアが飛翔し、シュートスクワイアが牽制射撃をしてきた。

 たまらず転がって避けた先にダガースクワイアの刃が閃いて、宗一はあわてて身をひるがえした。それを追い込むように、二本ずつのダガーが挟み込むように左右から襲いかかってきた。

 思わず前へと飛び込むように前転しながらそれらをやり過ごすが、顔を上げた鼻先にシュートスクワイアの銃口を見て、とっさに頭を振った。ビームが撃ち出され、彼の頬を撫でた。

 構わずに弓を手にした左腕を振って、籠手でシュートスクワイアを弾きとばした。

 それは床にたたきつけられる直前にふわりと体勢を立て直し、あかりの元へと戻っていく。

「……やるものですね」

「ほんの小手調べダヨ♪」

 惣一に応えてあかりが笑う。

 彼女は“S.C.W.E.R.”を展開した位置から一歩も動いていない。その周りを、三十六枚の花びらが舞う。

「イっけぇ♪」

 楽しげに笑いながら、あかりが空中に投影されたディスプレイの表面を撫でていく。それと同時に十二基のダガースクワイアが飛翔した。

 惣一は次々に矢を展開し、それを射ていく。その早さはまるで銃を連射するかのごとくだ。

 そして、矢は次々に命中する。自身に向かってきていたダガースクワイアに。攻撃を受け、ダガースクワイアが次々にはじかれていく。

「ウソっ?!」

 これには今度はあかりが仰天した。惣一は一見してランダムに飛翔したダガースクワイアの軌道を見切って矢を射たのだ。

「……これでも計算は得意でしてね」

 うそぶくように言って、さらに一矢射る。それは、あかりの周囲をランダムで移動していたシールドスクワイア達の隙間を縫って飛び、あかりの元へ。

 目の前に迫るやじりをしかし待ったく目をそらすことなく見つめる。そしてそれは、三枚のシールドスクワイアによって押さえつけるようにして止められた。続いてシュートスクワイアが四枚集結し、同時にビームを放つ。

 それを予想し、惣一はすでにその場を移動していた。

「……次の挙動は」

 つぶやく彼の目は、あかりを見ていない。すでに彼は戦闘法を切り替えていた。あかりのすべての挙動を計算することで、最後の一矢を放つところまで。導き出した答えは“0”。あかりのライフをそこまで削りきる式は膨大だ。しかも、状況によっては再計算も必須。

 しかし、彼にとっては苦でもない作業だ。

「……答えは出ました。ラストショットの時までお付き合い願いましょうか」

 人知れず、惣一は口の端をわずかに持ち上げて笑った。

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