表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/450

第一一一話『解放する力』


「リミットリリース」

 力を解放するコマンドワードが楓の口から紡がれ、雪菜が身構えた。

 その瞬間、楓の姿が掻き消えた。

「な……」

 んだとっ?! と続くはずだった雪菜の言葉を遮るように、彼女の手にした槍へ光の斬閃がいくつも刻まれた。

 そして、光の刃を振り切った楓の姿が雪菜の後方に現れ出づる。と、同時に光の刃が霧散し、雪菜の手の中の十文字槍がバラバラに切り刻まれていた。

「……!!」

 起きた現象に、言葉もなく立ち尽くす雪菜。立ち上がって振り向いた楓がそんな雪菜を見て笑みを浮かべた。

「どうかな? あたしのアバターのタレント“加速アクセラレーション”は?」

「……くっ!!」

 雪菜は楓へと振り向きながら予備の槍を呼び出す。

 こちらは十文字槍ではなく長槍だ。それを構えて油断無く楓を見る雪菜。大して小柄な楓はフラッシュセイバー片手に余裕の表情だ。

「すごいっしょ。“加速アクセラレーション”は。アバターの行動速度を、最大で千倍にまで高めることの出来るタレントなんだよね」

 これを聞いて雪菜の顔がゆがんだ。“跳ね馬”で掴み掛けたアドバンテージを、あっさりと楓に持って行かれた形だ。

「さあどうする? 雪菜。千倍の速度で動けるあたしに勝てる?」

「……くっ、リミットリリースっ!!」

 余裕しゃくしゃくの楓に対し、雪菜もタレントを解放するコマンドワードを口にした。

 本来口にする必要は無いものだが、解放のイメージが固まっていない内は、口に出した方が確実に解放できるからだ。

 それを見て、楓が笑みを深くした。

「さて、雪菜のタレントはどんなかな?」

「ふん。楽しみにしていろ」

 楽しげな楓に、雪菜が鼻を鳴らしながら答えた。

 だが、その表情は険しい。

 雪菜のタレントは、“加速”に対抗できるようなものではないからだ。

 “貫通ペネトレイション”。

 それが雪菜のアバターのタレントだ。あらゆる防御、障害物をただ貫く能力。当たれば必殺となりうるほどの能力だ。

 当たれば。

 だが、もともと俊敏で反射神経の良い楓に、“加速”まで加わったらどうなるか? 雪菜の攻撃など掠りもしないだろう。

 雪菜自身そのことに気づいてはいる。しかし、だからと言って彼女が諦める理由にはならなかった。




『これは大変なことになってきたよん!』

 未だバニーコスのまま、クリスがマイクを片手に声を上げた。

「山岸にとっては相性の良いタレントだな。こうなると、フラッシュセイバーなどと言う際物武器を選択したのも解らなくはない」

『というと?』

 小さくうなずきながら言う武瑠に、クリスが首を傾げた。

「刃の形成時間が一秒でも、千倍の速度で動けるなら千秒と変わらん。となれば、一秒で一回振るえるなら千回振るえるようなものだ」

『それは恐ろしいねい』

 話を聞いて、クリスが身を震わせる。が、武瑠は淡々と言葉を続けた。

「まあ、そんな単純な話では無いだろうがな」

『うむん? なんでかなん?』

「……あのタレントにも弱点はあるということだ。動くぞ?」

 不思議そうな顔のクリスをおいて、武瑠はステージを注視した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ