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第一〇一話『戦いの後に』


「ボクが言うのもなんだけど、良い勝負だったよ」

 言いながら差し出された右手を取るひばり。そのまま辰美に引き上げられて立ち上がると戸惑うような笑みを浮かべた。

「そう……かな?」

「そうだよ。特に、“雷神”が見えたなんて言われたら、うちの流派的には負けたようなものだよ……」

 そんな辰美の言葉に、ひばりは首を傾げた。

「それって、あたしがつっこんでいった時のヤツ? 確かに刃は見えなかったけど、東野さんの全体の姿勢や腰へ手をやったのはは視えてたから、どこに剣がくるのか分かったし……」

「……」

 ひばりの言葉に辰美は声を失った。彼女は刃を見たのではなく、辰美自身の細やかな挙動から見破ったと言うのだ。

 これを驚かずに何を驚けと言う話だろう。そんな辰美の顔を見上げて、ひばりはきょとんとした顔になった。

 おそらく、この小さな少女にとってそれは当たり前のことなのだろう。そのことに思い当たり、辰美は頬をゆるめた。

「……なるほど、支倉さんには見えて然るべきものに過ぎないわけだね」

「? なにが?」

「んーん、なんでもない」

 笑みを浮かべたまま首を振る辰美にひばりが首を傾げた。

 と、辰美がひばりを見つめた。

「……また、やりたいな。次はクラス対抗戦本戦かな?」

「……そうだね。あんまり乱暴なことは好きじゃないんだけど……」

 辰美に答えながら、ひばりは辰美をまっすぐに見た。対して辰美も同じように見る。

 ふたりの視線が交錯し、どちらともなく笑みが浮かんだ。

「……ね? 支倉さん。改めて友達になってくれないかな?」

「……うん! いいよ♪」

 辰美のお願いに、ひばりは少しだけ考えてから嬉しそうにうなずいた。それを見て、辰美は笑みを深くした。そしてさらに。

「じゃ、ボクのことは辰美って呼んでくれる?」

 と言って、イタズラっぽく笑いながらウインクしてみせる。

「え? ……うん、分かったよ辰美ちゃん。あたしのこともひばりで構わないよ?」

 真面目そうな辰美の意外な一面に、一瞬おどろくひばりだが、すぐに笑顔でうなずいた。

 そして、繋いだままだった手を、改めて握手に切り替える。

「じゃあ、これからもよろしくね? ひばり」

「うん♪ あたしの方こそよろしくね? 辰美ちゃん」

 言葉と笑顔を交わした二人に、会場から歓声がわいた。

『おおぅ♪ ここに新たな友情が誕生したよん♪ みんな拍手だよ〜ん♪』

 クリスのあおりに、会場中から拍手が降り注いだ。そんな騒ぎになったことに、ひばりは顔を真っ赤にしてわたつき、辰美は苦笑いを浮かべていた。




「…………アッホらし」

 そんな二人の様子をつまらなさそうに眺めていた少年が、鼻を鳴らしながら漏らす。その横で、長い黒髪の少女が笑った。

「まあまあ、良いじゃないの関君。それにしても、このフェスタは良かったわね? 情報収集の場として」

 楽しそうに笑っていた少女の目が鋭く細まった。

 それを聞いて、関と呼ばれた少年が和也を、そしてひばりをにらむように見た。

「……俺と同じスタイルチェンジのタレント持ちがいるとはな」

「あら、ふたりとも関君よりバリエーションが多いじゃない?」

 からかうような少女の言葉に、関が顔をしかめた。

「……チッ。やたらめったら種類が多けりゃ良いってわけじゃあねぇさ。たった三種類だって、りっぱなスタイルチェンジタイプだ」

 強い調子で言う少年に少女が笑いかける。

「期待してるわよ? 我が四組のエースとしてね」

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