そして小泉少年はすべてを見ていた
専務は5人の若い子を連れて喫茶店でミルクセーキを飲んでいた。
「どうします。タンカ切って出てきましたけど。」
専務は、そうだなーと悩みつつ
「都内のテレビ局を全部訪問して」
「捨てちゃう小道具もらって古道具屋でもやるか?」
と笑った。
専務はクタクタの一張羅を着て、
若い子はとっくに卒業したのに学生服を着て、
他のテレビ局へ挨拶に行くと、
「あの玉手箱、欲しかったなー」
と笑われながら仲良くなれた。
「うちは絶対に出来ない。だから羨ましい。」
でも通販番組はやりたい。で、ウチと組まないか?と各局から打診された。
「売りたいのは何?」と聞くと
「もちろん音楽だよ。」
「レコード付いてたでしょ。玉手箱に。」
「あの曲、いいよね。」
若い子は答えた。
「バンドは僕が見つけました。」
専務は若い子に席をゆずった。
「君か、小泉くん。玉手箱の中身考えたの?」
「そうです。」
「16歳のわりにませてんなー。テレビ局で働いていいの?」
「中卒で働いてるので。」
赤坂のUCT放送、通称テレビアクトのプロデューサーは喜んだ。
「君さ。近所の広告代理店とレコード会社で音楽と芸能の修行しない?」
「そして売れそうな新人は誰か?君が選ぶんだ。」
小泉は交換条件がありますと言った。
「高校と、できれば大学にも行きたい。」
専務は「行ってこい!俺の分もな。」
小泉と専務はタッグを組みつつ
お互いの道を進んだ。たまに会って話を聞くのが楽しかった。お互いに。
数年後の1972年頃、
鉄子社長は娘とアメリカへ渡った。
イレズミTシャツをデザインし、ヒッピーたちに大ヒットした。
「結局、開き直ったもん勝ちね。」
鉄子は上半身を、腰まででぶった切った派手な着物、
下は黒いレザーパンツにミリタリーブーツを
トレードマークにしていた。
「私はどうせ、カタギを眺める世捨て人さ。」
と不敵な笑みを浮かべた。
ナレーション:
果たして?専務のまわり道の先に、花は咲くのか?
11月9日に下巻が始まっちゃう前に、
デンセツのセンムシリーズを
全部読んでおさらいだ!(←っておい!)




