通販出没!アド◯◯◯◯天国
専務のボス、鉄子が全額支払う通販ビジネス。
テレビ東和はそれを聞いて、重い腰をあげた。
「それでは肝心の名前だな、この商売の。」
「御家庭通販、かな?」
「硬いな、大正時代みたい。」
「ファミリーショッピング?」
「アメリカかぶれかな、月並みだ。」
広告代理店の担当が口をはさんだ。
「アドバタイズ天国ってどう?」
アドバタイズ?それ何だ?みんなキョトンとする。
「広告ってアドバタイズって言うんだよ。」
アドバタイズって響きは気持ちに引っかかる。
「毎週、いろんな街から商品売るんだろ。」
「街を広告して商品売るからアドバタイズ天国。」
専務は「天国は?」
「あー極楽じゃ、みたいなやつよ。深く考えない、考えない。」
営業担当も
「テレビ東和は確かに深く考えない。」と納得する。
鉄子はアドバタイズ天国の名前を気に入り、番組放映に関する予算を持ち金の2億円で引き受ける契約を結んだ。
鉄子は田町の安宿から事務所を神谷町に戻すと決めた。
会社の名前も決めていた。
明日を照らして果実を得よ。
縮めて明日照果である。
テレビ通販番組のアドバタイズ天国は
毎週土曜日の夜9時直前の5分番組として始まった。
夜9時からは燃えよ剣という幕末ドラマで人気だから、直前に「明日を照らして果実を得よの明日照果が提供します。」のフレーズは相性がよさそうだ。
と明日照果の鉄子社長は独りで思っている。
商品は東京にある数々の職人工房や老舗の呉服屋、銀座の画廊などが提供する商品が、街紹介と一緒に通販される。成城から吉祥寺あたりに好評のようだ。
テレビ東和は喜んでいた。1966年のテレビ東和は経営危機にひんしていたからだ。
お色気放送局の評判が災いしていたところを
土曜日夜の1等地、9時を品よく盛り上げる前座としてアドバタイズ天国が放映される。そして知的なお父さんが喜ぶ幕末ドラマへ繋げる。
「これで本物の商売が始まったわね。」




