雜誌は後ろから今を感じよ
テレビが家庭に定着してきて、カラーテレビの時代が始まろうとしている。鉄子は時折、専務に謎掛けをする。
テレビが普及したら世の中どうなる。しかもカラーだ。
テレビは演芸とスポーツ、ドラマを楽しむ箱と思われているが、カラーテレビになったら
「ショーウィンドウにもなる」
と鉄子社長は言うのだ。
「見るだけでは?どこで買います?店を作りますか?」
専務が質問すると、鉄子社長は
「東京中、駆け回ってこい!」と激励する。
そして
「テッペキ警備はどっかに売り飛ばす。警備会社は増えすぎた、もう大手しか儲からないからね。」
話は戻って、専務が入口に立つ宝石商のビルディング。来月で警備も終わりか、東京中を駆け回ったけど28歳の専務には次のビジネスの答えが分からない。
あー俺は5年後、目の前を通るアタッシュケースのスーツ族みたいになれるのだろうか?
警備の仕事が終わったら東京中を駆け回る。焼け野原の後はほとんどない。たまにあるが、焼け野原の時代を専務は知らない。遠く離れた地元にいたからだ。
東京はいつもキラキラしてんなー、と圧倒される。キラキラしたお店は「お前は入ってくるな」と言わんばかり。
一張羅の専務はキナクニヤ書房に入った。ここは誰でも居てよさそうだ。難しい本は苦手だから雜誌コーナーにいた。こんなキレイな芸能人、どこにいるんだろうな?同じ東京にいるんだけどなと思いながらページの最後を見た。
「貴方の手から未来が輝き出す。」
「ダストジュエリー、本物の輝き。」
「現金書留で1500円。宝井商事。」
これは何だ?雜誌で宝石を買う広告?
宝石はデパートにあるものと思っている専務は目からウロコだった。
もしかして、社長が思う答えは?これのテレビ版か?
都電に乗るのももったいない。
新宿から神谷町のテッペキ警備保障オフィスに走って帰った。




