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第3話 異物だらけの園

ご覧いただきありがとうございます!

雨模様です!

私の諸事情により更新は不定期になってしまいます。(すみません涙)

それでも頑張って書きますので応援よろしくお願いします。

後宮の一角、あてがわれた侍女たちの長屋へと足を踏み入れた瞬間、私はぐっと息を呑んだ。


(……衛生状態、最悪じゃない)


絢爛豪華な外観とは裏腹に、廊下の隅には埃が溜まり、水場からは生臭い匂いが漂っている。下水処理が甘く、湿気が籠もった空気はまさに「雑菌の温床」だった。前世で徹底的に清潔を叩き込まれた元看護師の視点から見れば、ここはもはや歩く病原菌の宝庫だ。


「あら、あなたが村から連れてこられたっていう『奇跡の娘』?」


甲高い声とともに、派手な着物を着た先輩侍女たちがぞろぞろと集まってきた。


私を見下すその瞳には、あからさまな蔑みと嫉妬が浮かんでいる。


「泥くさい農民の分せいで、いきなり明明様に召し抱えられるなんて生意気よ」


「身の程を知りなさい。今日のあなたの仕事は、物置の掃除よ!」


ドスンと目の前に投げ捨てられたのは、真っ黒に汚れた雑巾とバケツ。


あてがわれたのは、何年も使われておらず、カビとホコリが充満した物置部屋だった。あからさまな「新人いじめ」である。


だが、私は嫌がるどころか、むしろ好都合だと内心でほくそ笑んだ。


(やった……! 誰の目も届かない専用の隔離スペース確保!)


「わかりました。心を込めてお掃除させていただきます」


ペコリと頭を下げた私に、侍女たちは「フン、泣き出すかと思ったのに」と拍子抜けした顔で去っていった。


彼女たちの姿が見えなくなった瞬間、私は着物の袖を捲り上げた。


「よし、やるわよ。まずはこの菌の巣窟を滅菌消毒(クリーンアップ)するんだから!」


物置にあった不要な木箱を片付け、山でこっそり採集しておいたハーブ(殺菌効果の高いウツボグサやヨモギ)を煮詰めた特製の「消毒液」を作り出した。


バケツの水に混ぜ、雑巾で床や壁を拭き上げていく。さらに、換気口を塞いでいたゴミを取り除き、風の通り道を作った。


小一時間後。


カビ臭かった物置部屋は、ハーブの爽やかな香りが漂う、ピカピカの清潔空間へと生まれ変わっていた。


「ふう、こんなものかしら」


汗を拭っていると、物置の扉が猛烈な勢いで開いた。様子を見に来た先輩侍女たちだ。


「おい、文! まだ泣きついてこないで……って、は……!?」


絶句して目を見開く侍女たち。


埃まみれだったはずの部屋は光り輝き、不快な悪臭は跡形もなく消え去っていた。


「掃除と除菌、完了しました。何か他に指示はありますか?」


ニコリと完璧な笑みを浮かべる私に、侍女たちは恐怖すら感じたように後ずさりした。


その時——奥の廊下から、静かだが凛とした声が響いた。


「騒がしいですね。何をしているのです」


現れたのは、色鮮やかな絹の衣装を纏い、息をのむほど美しい少女。


この後宮で最も地位が高い皇后候補——明明(メイメイ)様だった。


明明様はピカピカに磨き上げられた部屋と私を交互に見つめ、眉をひそめた。


「あなた……あなたが、村から届いた『文』ですか? 私の部屋へ来なさい」


ついにやってきた、この城の最重要人物との対峙。


私は意を決し、静かに彼女の後を追った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

これからも読んでもらえたら嬉しいです。

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