エピローグ 夜の来訪者
祭りが終わった日の深夜。太陽は島の真下に沈んだ。昼間の熱気は身を潜め、島はひんやりとした空気に包まれている。
人の姿は見えない。皆が心地よい疲れを覚え、ぐっすり眠っている。
そんなとき、祠の背後に広がる森の茂みががさがさと揺れる。
ややあって、一匹の白蛇が顔を出した。
白蛇はきょろきょろと茂みから顔を出した状態で辺りを見回すと、そろりそろりと祠へ向かう。
そして祠の壁に開いた穴から祠に入った。石像の脇をするりと抜けて、奉納されている御神酒の入ったお猪口に顔を近づける。
白蛇はお猪口に口をつけると、ためらいなく中の御神酒を飲み始めた。
すぐに中身を飲み終わり、舌を数回覗かせる白蛇。
足りなかったのか、祠から這い出て、舞台上に置かれた酒樽に向かっていく。
そして酒樽の中を覗き、酒の匂いを確かめるようにまた数回舌を出すと、顔を酒樽に突っ込んで豪快に中身を飲み始めた。
小さく喉を鳴らしながら全ての御神酒を飲み切って、白蛇は顔を上げた。その表情は、どこか満足そうだ。
そしてまた祠に戻りかけたところで、白蛇は島を振り返った。祠の後ろに浮かぶ月が純白の鱗を照らし出す。その姿は畏ろしく、神秘的、そして神々しい。
白蛇はしばらく島を眺めた後、祠の穴を通って、森の中へと消えていった。
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