キツい
「私、サッカーをしてる、シンジが大好きなの...!髪が靡いててカッコよくて、ハットトリックを平気で決めちゃうシンジが超好きなの...!」
「藤島くんなんか、エースだかなんだかしんないけどさ!シンジの方がずっとずっと凄いのに...!」
言われて悪い気はしなかった。
何しろ好きな女だったから。
「あー!くそっ...!!」
俺は大声で空に向かって吠えた。
「走りゃあいいんだろ、走れば..!」
「そうね、私と一緒に手を繋いで走ってくれたらそれで。ゴール手前で抜いてくれたらそれでいいの」
「できるよね、シンジ。
小、中学の二年生までの
町内のマラソン大会は、シンジがいつも
一番だったもんね?」
「....ブランクあるんだからな....」
「分かってるわよ...」
「だからこそ、二週間前に条件と負けちゃ困る理由を告げたじゃない...」
かくして俺は。
マヒロとともに、千曲川の河川敷の堤防沿いの土手を舞台に走り込みをやる羽目になった。
流石に。
昔は校庭の端から端まで何往復しても
きつくなかったが。
空白の時間がある
今となっては。
滅茶苦茶き、つ、い!!
それでも。俺は頑張って。
マラソン大会の前日まで。
くびれが見えてるタンクトップ姿で、
ショーパンのマヒロと共に走り。
やがて当日を迎えた。
藤島くんが、俺にマウントを取ってきて。
「吹部のお前が入賞なんかできんのかよ!?」
「見るからに体力のなさそうなお前が!!
運動神経最悪みたいで、見学ばっかのお前が!!学年一のモテ女、真島マヒロのただの幼馴染ってだけで!仲良くしてんの、こっちは
見ててマジでムカつくんだよ!」
「いいか、俺が今日、お前に勝ったらな、
真島マヒロとの幼馴染をやめろ...!そんで二度と、真島マヒロと会話すんな!!」
とすげー、バカにされてて。
とりま、一番最初の問いかけには、俺は。
「いや、多分、できない」
とマヒロに内緒で、てきとーに答えて藤島くんを油断させる作戦に出た。
更に。
藤島くんが出した、俺が勝ったらなぁ、
というのは、完全に聞こえないフリしようとしたけど、俺のTシャツの襟ぐりを掴んで
分かったな?と凄んできたので、
仕方なし、分かったと頷き、
「じゃあ、俺がまぐれでも藤島くんに勝ったなら、マヒロのことを追っかけるのはもうやめてくれ」
とお願いした。
「おもしれぇ...!」
さて。
マヒロは仲のいい女子とスタートラインの前の方でだべってて。
俺と藤島くんは女子軍団の後ろに位置した場所にいたから。
マヒロの奴はこのやり取りを知らない。
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