表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ANYTHING《エニシング》 ~何でもありなオンラインゲームを始めた青年のゲームと現実を描いた物語~  作者: AN@RCHY


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/28

023話

アクセスありがとうございます。

 ゲームセンターで遊んでから帰宅すると、玄関を開けた瞬間に夕食の匂いが漂ってきた。


「ただいま」


「おかえりー」


 リビングから母さんの声が返ってくる。靴を脱いで中へ入ると、既に食卓の準備は終わっていた。父さんはまだ仕事で、姉貴もバイトの日らしい。


 つまり今日の夕食は俺と母さんと穂乃果の3人だった。


 席に着くと、今日のメインは鶏肉の照り焼きだった。サラダと味噌汁も並んでいる。


「いただきます」


 3人で食べ始める。


 穂乃果は学校の話をし、母さんは仕事の話をする。俺も大学やゲームセンターでの出来事を話した。


「また政宗君は筋肉の話してたの? ぶれないねぇ」


 穂乃果が笑う。


「筋肉以外の話題もあるぞ」


「例えば?」


「筋トレをしていない時の効率的な休憩方法とか」


「それ結局、筋肉じゃん」


 即座に突っ込まれた。そんな感じで夕食は終始平和だった。食事を終えて片付けを済ませる。


 そのまま風呂へ向かおうとして、スケジュールを確認するが、母親の予約が入っていた。


 少し時間が空いた……そういえば今日の講義でレポート課題が出ていたな。


「今のうちにやるか」


 自室へ戻り、机へ向かい、マルチギアを起動して講義資料を開いた。


 文字数は3000字程度なので、そこまで重い課題ではない。


「まずは、情報集めだな」


 テーマに沿って資料を探していく。検索機能を使いながら、参考になりそうな記事や論文を5件ほどピックアップした。


 さらにAIへ類似検索を依頼すると、関連する資料が自動で整理され、近い内容や反対意見も提示される。


 大学側もレポートの資料集めなどは、AI利用を推奨している。ただし条件があり、AIにレポートを書かせるのは禁止。


 検索や資料整理は許可するが、考察や結論は自分で書け……というのが大学の方針だった。


 当然だと思う。全部AI任せなら勉強にならない。


 それに最近は判定技術も進歩している。AIが書いた文章を判定するAIが存在する。竜胆大学の技術部が開発したらしい。精度もかなり高い。


 レポートを丸投げすると高確率で発覚する。


 再提出に加えて減点……割に合わない。ネットの記事などをそのまま貼り付けた場合も同様だ。文章構造や類似率からかなり正確に見抜くらしい。


「真面目にやった方が早いんだよな」


 実際その通りだった。


 5つ集めた資料を確認していると、1つだけテーマから外れているものが見つかった。


「これは違うか」


 除外……残り4つに絞ると、そのタイミングで通知が表示された。母さんが風呂から出たらしい。


「ちょうどいいな」


 俺は着替えを持って風呂へ向かった。湯船に浸かりながら資料を読む。空間投影ディスプレイにしたマルチギアを使えば問題ない。


 読んで、要点を整理して、頭の中で考える……結論はレポートの冒頭に書き、後は理由付けだ……情報を抜粋し、自分の考えと照らし合わせる。


 なぜそう思ったのか、なぜ別の意見ではないのか、そこを整理していく。


 結局、30分ほどでレポートは完成した。そのうち20分近くは資料を読む時間だった。


「読む方が長いな」


 昔はタイピングで文章を打っていたらしい。今は音声認識と思考操作が主流だ。


 内容さえまとまっていれば、10分程度で3000字くらい普通に書ける。


 レポートをマルチギアの提出用フォルダへ格納する。


 これで終わり。風呂から出て自室へ戻り、やるべきことは終わったから、後は自由時間だ。


「エニシングだな」


 ダイブ……意識が仮想世界へ切り替わる。


 ホームへ到着した俺は、まず配信設定を開いた。


【初心者フレアの活動日記7日目 お金を貯めながら狩り】


 タイトルを入力して、配信開始。


「みなさんこんばんは。フレアです」


 挨拶をしながら街を出る。狩場へ向かう途中でコメントが流れ始めた。


『こんばんはー【シェリー】』

『今日も狩りか【ゼノン】』


「今日も狩りです」


 俺はオークションで見た武器の話をした。


「今、新しい薙刀を狙ってるんですよ」


『いくらくらい?』


「安いので今の所持金の数倍ですね」


『頑張れw』

『初心者あるある』


「だから最近はお金集め優先です」


 そんな感じで話しながらモンスターを倒していき、しばらくすると見慣れたコメントが流れた。


『店も頑張れ』

『働け』

『コーヒー練習しろ』


「来たな」


 喫茶店勢だった。


「何で毎回いるんです?」


『暇だから』

『日課』

『見守り』


「保護者か?」


 コメント欄が笑いで埋まる。


『完全に親戚のおじさん達だな【ゼノン】』

『否定できない』

『成長を見守ってる』


「やめてください」


 苦笑する。


 ただ最近少し気になっていたこともあった。総視聴者数はそれなりに増えているが、初見らしい人が来ても、少し見て帰ることが多い。


 コメントを残さない。


「身内ネタ多いから入りにくいのかな」


『それはあるかも』

『仲良さそうだし』

『輪に入るの難しいやつ』


 確かにそうかもしれないな……雑談中心だから余計だろう。


 どうしたものか……そんなことを考えていた時だった。


 突然コメント欄が騒がしくなった。


『レアモンスター!』

『いたぞ!』

『追え追え!』

『フレア走れ!』


「え?」


 視線を向けると、森の奥を何かが横切った。


 黒銀色の毛並みの狼に見える。


「何だあれ?」


『レアウルフだ!』

『逃げられる前に追え!』


 俺は慌てて追いかけたが速い……とにかく速い。


 国民的RPGに出てくる銀色のアイツほどではないが、それでも初心者の俺から見れば十分異常だった。


「待て!」


 スタミナを使った全力疾走……森を抜け、木を避ける。岩を飛び越えて追うが、なかなか距離は縮まらない。


 2分ほど追いかけた頃だった。


 狼が立ち止まり、そして振り返った。


「……笑ってないか?」


『煽られてて草』

『完全に遊ばれてる』

『怒れフレア』


 だがスタミナゲージが限界だった……少し休もう。


 そう思った瞬間、狼が突っ込んできた。


 ギリギリ回避。


 土を削りながら狼が通り過ぎる。


 スタミナがほとんど残っていないので、スキルを使う余裕もなかった。


「自力でやるしかないか」


 薙刀を構えると、狼が再び飛び込んでくる。


 受け流して蹴ると、狼が体勢を崩したので、そのまま斬る……手応えはあったのに倒れない。


「硬っ!」


『HP高いぞ』

『レアモンスターだからな』


 狼が反撃してきたので、避けたり、受けたりして、合い間に反撃する。


 それを繰り返した。


 1分……3分……5分近く経った頃、ようやく決定的な一撃が入った。


 狼が大きくのけぞる。


「これで、終われ!」


 薙刀を振り抜くと、光に包まれ、レアウルフは消滅した。


「勝った……」


 思わずその場へ座り込むと、コメント欄も盛り上がっていた。


『ナイス!』

『初見で倒したw』

『おめでとう!』


 その時、目の前に何かが現れる。小さな箱で木製だが装飾が施されている。


「……ん?」


 一瞬理解が追いつかなかった。確かに宝箱が出るというチャットはあったけど……


『出た!』

『宝箱だ!』

『初宝箱おめでとう!』


「宝箱?」


 俺は思わず呟く。エニシングを始めてから初めて見る存在だった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ