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ANYTHING《エニシング》 ~何でもありなオンラインゲームを始めた青年のゲームと現実を描いた物語~  作者: AN@RCHY


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17/28

016話

アクセスありがとうございます。

 夕食を食べ終えた俺は、自室へ戻った。今日もすでに風呂へ入っているから後は自由時間だ。ゲームの途中でお風呂に入るとなると、どうしても時間が気になるからな……


 しかも明日は、土曜日! 講義はない。


 バイトは入っているが昼前からだ。11時頃の出勤になるので、多少夜更かししたところで問題はない。


 マルチギアを確認すると、ハジメからメッセージが届いていた。


『今日は参加型やる』


『リスナーと狩り?』


『そう』


『頑張れ』


『おう』


 会話終了。必要最低限だった。


 どうやら今日はリスナー参加型らしい。配信者と視聴者が一緒に狩りへ行く企画だ。俺にはまだ無理だろう……そもそも視聴者が少ないから、参加型をやろうとしても参加者がいない可能性がある。


「さて」


 ゲームの準備をしながら考える……今日は何をしようか? ハジメには以前言われていて、無理に話題を作る必要はない、と。


 確かにそうなのだろう……雑談配信なのだから雑談していれば成立するが、やるからには何か目的が欲しい。目的もなく歩き回るのは性格的に落ち着かなかった。


「う~ん……」


 しばらく悩む……レベル制のゲームなら経験値稼ぎという分かりやすい目的があるけど、エニシングにはレベルが存在しない。


 強くなるためには金を稼ぎ、装備を整える必要がある。


「素材集めかな」


 結局そこへ落ち着いた。狩りをして素材を集め、売り金を貯める。


 初心者としては十分な目標だろう。方針が決まったのでダイブを開始した。ただいまの時間は、22時少し前。


 ホームへ出現し、そのまま配信準備を始める。


 設定はいつも通り。


 全年齢対象。

 タイトル。

【初心者フレアの活動日記5日目 狩りをしながら雑談】

 配信内容。

【タイトルのまま。ANYTHING初心者のフレアの活動日記。基本的には雑談中心のノンビリ配信となります】


 4日目はファーストとのコラボだったから、今日は5日目になる。


 配信開始ボタンを押すと、視界端に開始通知が表示される。


「みなさんこんばんは、フレアです。今日は狩りをしながら雑談していこうと思います」


 いつもの挨拶、だが反応は無かった。


 視聴者数は見えるので、いることは分かっている。ただコメントが流れない。


「なるほど」


 今日は静かだった、ハジメも配信していると言っていたし、他にも人気配信者は大勢いる。


 初心者配信へ人が集中する方がおかしいから、むしろこれが普通なのだろう。


 俺は気にせず狩場へ向かった。ゴブリンを倒し、心臓付近にある魔石を回収する。ビッグボアを倒し、解体ナイフを刺して待つ。


 特に事件は起きない。平和で暇だった。


「そういえば、魔法生物って何がいるんだろうな」


 以前教わったことを思い出す。


 スライム、ゴーレム……どちらも魔法生物に分類されるが、違いもある。


 スライムは魔石しか落とさない。ゴーレムは素材を落とす……同じ魔法生物なのに違うのだ。


「じゃあ他には何がいるんだ?」


 独り言のように続け、知識を引っ張り出す。


「元々生き物じゃない物が、魔法で動いてるのが魔法生物だとしたら……」


「リビングアーマー……鎧が勝手に動く系統、あれは間違いなく魔法生物だろう」


「となると、スケルトンとかゾンビもそうなのか?」


「少なくとも死体は生きていないが、動いている理由が魔法なら魔法生物扱いのはずだよな……」


「じゃあレイスは? 幽霊系であるあれは、実体がない。でも生きてはいない。どうなんだろうな?」


 そんなことを話していると、ようやくコメントが流れた。


『分類的にいえば、生きていない物は全て魔法生物になるけど、魔法生物にも分類はあったりするぞ【ゼノン】』


「あ、ゼノンさんこんばんは」


 ようやく常連が来た。


『こんばんはー』

『いた』

『生存確認』


 少しだけコメント欄が動き始める。


「分類って?」


『スライムは非生物系』

『ゴーレムは物質系』

『スケルトンやゾンビはアンデッド系』

『レイスはスピリチュアル系』


「へぇ」


 思ったより細かかった。確かに全部同じ扱いでは違和感があるよな……スライムとスケルトンが同種と言われても困る。


『他にもあるぞ』

『結構細かい』

『覚える必要はないけどな』


 初心者の俺には覚えることが多すぎるから、少しずつでいいよな。とりあえず基本だけ知っておけば問題ないだろう。


 ゴブリンを倒しながら考える。


「でもさ、実体ある奴はいいんだよ。スケルトンもゴーレムも殴れば当たる……そのうち倒せるだろうから、問題ないと思う。レイスみたいなのはどうするんだ?」


 あれは実体がないので、薙刀で斬っても当たる気がしない。


 するとすぐに返事が来た。


『魔法攻撃か魔法を付与された武器で攻撃すれば、ダメージが与えられるぞ』


「なるほど」


 納得した、ファンタジーらしい。


『物理だけだと厳しい』

『ゴースト系あるある』

『対策必須』


「じゃあスピリチュアル系が出る場所だと武器も変わるのか」


『変わる』

『魔法武器持つ』

『付与してもいい』


 俺は少し考える。


「魔法もスタミナ消費だよな?」


『そう』

『魔法もスキルもスタミナ』

『共通リソース』


 そこが問題だった……このゲームでは魔法もスキルもスタミナを消費する。つまり魔法剣士スタイルだと、魔法に使う分とスキルに使う分の両方が必要になる。


「大変そうだな」


『だから管理が重要』

『初心者には難しい』

『それな』


「やっぱりそうなんだ」


『付与だけして戦う人もいる』

『魔法付与武器を複数持つ人もいる』

『スタイル次第』


 なるほど、魔法で付与だけして、スキルを使わず済ませる。あるいは魔法付与済みの武器を持ち歩く。そういう戦い方もあるらしい。


 改めて思う……ただ殴るだけのゲームではない、だから面白いのかもしれない。


 その後も雑談は続いた。


 好きな食べ物の話、モンスター肉は美味いのかという話、現実で猪肉を食べたことがあるかという話、解体はやっぱり無理そうだという話……


 内容は本当にくだらないものが多かったが、コメント欄も少しずつ増え、思った以上に楽しかった。


 気付けば時刻は0時を回っていた。


「もうこんな時間か」


『はやい』

『おつかれー』

『今日は平和だったな』


「それじゃあ今日はこの辺で終わります。みなさんありがとうございました」


『おつー』

『お疲れ様』

『またなー』

『活動日記6日目待ってる』


 視界からコメント欄が消え、静かになった。


「さて」


 これから、どうしようか? ログアウトしてもいいけど、まだ眠くはない。


 そう考えた瞬間、通知音が鳴る。


『ホームに来い【ファースト】』


「何だ?」


 首を傾げながらも移動申請を承認する。数秒後、転送エフェクトが視界を包んだ。俺はファーストのホームへ向かう。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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