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死の狂犬 (2)

「ヒヒッ!やる気あんね兄ちゃん!オラ、かかって来いや!」


1番先頭の女はオレを威嚇するかのように剣を構えてくる


かかってこいだと?


あぁ、やってやるよ。いや……殺ってやるよ!


「《アクセル》!!」


黒い剣を抜き、スキルを唱えると、オレの体は一気に加速する


「なっ!消えッ!?」


女はオレの速度に反応できていない


「食らえ!!」


オレは一気に剣を振り抜く



キン!



「んー、ビレッタ、危ないところだったね」


突然オレの前に木が生えてきて、オレの剣を防ぐ


「ち!モーゼス!余計なことをするな!」


どうやら、モーゼスと呼ばれた細身の男がオレの剣を木で防いだらしい


「そう言うわけにもいかないよ。君を死なせると、上がうるさいからね。《ウッドハンマー》」


モーゼスがスキルを唱えると、木で出来た巨大な手がオレに襲いかかってくる


「はっ!当たんねえよ!そんな攻撃!」


「それはどうかな?ほれほれほれー」


モーゼスは、巨大な手を器用に操り攻撃してくる


「はっ!こんな攻撃、魔王の幹部に比べたら大したことないね!」


オレは木を避けつつ、徐々にモーゼスに迫っていく


「んー、コレはマズイね。アーガス、燃やせ」


「かしこまりー!《ブレス》!」


アーガスと呼ばれた太っちょな男は、口を大きく開け、少し息を吸い込むと、炎を吐いてくる


このスキルはドラゴンがよく使う《ブレス》だ!なんで人間に《ブレス》が使えんだよ!


炎はオレ目掛けて襲いかかってくる


「ち!《スラッシュ》!!」


オレは斬撃を飛ばし、炎にぶつける


「無駄だよー、アーガスの《ブレス》はそんなんじゃ消せないよー」


確かにモーゼスの言う通りだ。オレもこんなんで消せるとは思ってない


だが一瞬ぶつけるだけでも意味はある!


オレの狙い通り、斬撃をぶつけた箇所に、炎が一瞬なくなり、通り道ができる


今だ!


「《アクセル》!!」


オレは自分の出せる最高速度で、炎を突き抜ける


「まずは1人!モーゼスだっけ?お前からだ!」


オレはモーゼスに剣を振り抜く


「ははは、どんな速さしてんだよ、化け物…め…。」


オレが剣でモーゼスを斬ると、モーゼスはその場に倒れる


「ち!雑魚が。おいアーガス、アタシと2人でこいつを殺んぞ。」


「りょーかいビレッタ、アレをやるんだね?」


「あぁ、いくぞコラ!」


ビレッタとモーゼスは一斉に杖を構える


何か来る!


「《フレイムスパイラル》」


「《ウォータースパイラル》」


ビレッタとモーゼスは一斉にスキルを唱えると、同じ方向に炎の竜巻と、水の竜巻を飛ばしてくる


っていうかそんな事をしたら……!


オレの予想通り、炎と水はぶつかり合い、お互い消えていく


いや違う!炎が水で蒸発したせいで、霧が発生して、周りの視界が悪くなる


くそ!これが狙いか!


だが、敵も同じく見えないはず。


オレは剣を構え、集中する


もしかしたら敵は、闇雲にオレを探し回ってるかもしれないからだ


いくら霧が酷いからといって、さすがに至近距離まで来られたら、どこにいるかわかる


つまり、オレが分かるってことは、敵にもオレの場所が分かってしまうって事だ


オレは周囲を見渡し、特に背後に気を使う


どこだ、どこから来る?


すると右前方に人影が映る


「そこだぁ!!」


オレは一気に斬りかかる


ザク!


と確かな手応えを、いや……これは!


「木!?」


オレが斬ったのは、人ではなく、人の形をした木だった


「ビレッタ!1時の方に、敵の音がした!」


モーゼスの声がする。あいつ、まだ生きていたのか!


「りょーかい!死ねやぁ!」


ビレッタが突然、霧の中から現れる


「くそッ!……ッ!?抜けない!?」


剣が木に刺さって抜けなくなっていた


このままでは!


「終わりだよ!小僧ッ!!」


ビレッタがオレに斬りかかる



キン!



「あ!?」


ビレッタの剣は、オレが予備用に持ってきてた短剣で防ぐ


良かったー。持ってきといて、本当に良かった


「ち!もう一本あったのかよ!だが、モーゼスのおかげで、そっちの剣は使えなさそうだな」


ビレッタの言う通り、『ダークマナタイトソード』(つい最近、オレが命名した。ちょっと恥ずかしい)は、モーゼスの木のせいで、刺さったままで使えない


そして残されたのは、3万Eで買った安物の短剣


この短剣だと、《アクセル》は通常時の10%の速さを出せるかどうかになる


マズイ……


ここは体勢を立て直す為、逃げるか?


オレがこっそり逃げようとすると


「ーーふん、この小僧がお前らの言ってた素早いやつか」


いつの間にか背後に男が立っていた。いや!こいつは!!


部屋の中央で無残にも倒れている男を、殺したヤツ!


「死ねッ!!」


オレは怒りに身を任せ、男に斬りかかる


「ふん、遅いな」


「グアッ!!」


男はオレの剣を弾き、オレの腕を掴む


「くそ!離せ!!ガァァァァァ!!」


こ、こいつ、なんて握力してんだよ!


男はオレを腕の力だけで持ち上げ


「《エクスプロージョン》」


「ガハッ!!」


オレの腹に、爆発魔法を撃ち込む


ドサリと、腹に爆発魔法を撃ち込まれたオレは、その場に倒れる


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


腹に穴でも空いてんのかってぐらい、オレの腹に痛みが走る


オレがその場にもぞもぞと悶えていると


「ふん、まだ生きてるのか。殺す気で撃ったのだが、小僧、変な護石でも付けているな?まったく面倒だ。おい、ビレッタ」


「はい!」


「こいつの首を切り落とせ。その方が確実に殺せる」


「わかりました!」


男に命令されたビレッタは、オレに近づいてくる


く、くそ!こんな所で死ぬわけには!!


今すぐ逃げ出したいが、全然体が動かない!


いや、腹から下の力が全く入らない


なのにお腹だけは、マグマでも流されてんのかってぐらい、猛烈に熱く、痛い


おいおい、まさか下半身吹っ飛んだとか無いよな?


「さて、あんたに恨みは無いが、命令なんでね。……まあ、命令じゃなくても殺すけどね」


「グッ!」


ビレッタはオレに近づくと、オレの髪を引っ張って持ち上げる


多分、首を切り落としやすいように、持ち上げたのだろう


「さて、それじゃあ死ねや…ガッ!」


オレはビレッタの顔面を殴り飛ばす


くそ…!こんな所で死ぬわけには!


下半身が動かないので、オレはズルズルと足を引きずっていく


グサ


「ガァァァァァ!!」


足の方に新たな痛みが走る


「こ、このクソガキがぁ…よくもやってくれたな。まぁこれで逃げられないけどな」


どうやらビレッタは、オレの足に剣を刺して動けなくさせたらしい


足がくっついてた事に喜ぶべきか、本気でマズイ状況になった事に焦るべきか…


「まぁ、1本じゃ足りなさそうだし、もう1本追加するわ」


は?


「ガァァァァァ!!」


ビレッタは先ほどは右足に、今度は左足に刺してくる


「うふふふふ、あははははは!!これ楽しい!!もう1本良いよね!?」


「ガァァァァァ!!」


ビレッタは今度は左腕に刺してくる


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


「あれ?もしかして、痛くて泣いちゃった?可哀想に〜〜。今、殺してあげるからね?」


ビレッタはオレの背中に、馬乗りになってくる


「あははは、逆騎乗位〜!もしかして童貞君だったりする?来世では良き人生を楽し…ブエッ!!」


オレは刺されてない右腕で、ビレッタを殴る


「じょ、上等だクソガキ!!!!今すぐぶっ殺してやるよ!!」


ビレッタは剣を構える


そしてオレの首元に剣を振り下ろす




「《ウイングブラスト》」




「ガハァァァァァ!!」


ビレッタの剣がオレを襲う前に、巨大な竜巻がビレッタを襲い、ビレッタは壁にめり込む


オレは一体何が起きたのか、辺りを見回し


「ど、どうしてここに…?」


絶対にいるはずの無い人物を見つけ、オレは固まる


「あら、ユウキはいつも言ってるじゃないですか。……主人公ヒーローは遅れてくるものだって」


そこにはオレの相棒アイリスがいた。













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