死の狂犬 (3)
「ユウキ、今から治癒魔法をかけますから、刺さってる剣を抜きますよ?少し痛むと思います。」
アイリスがオレの下にやって来る
「あぁ、頼むよ。……ッ!!」
「すみません。あと2本だけ我慢して…下さいね?」
「はぁはぁ…ッ!き、気にすんな…」
正直、めちゃくちゃ辛くて痛いが、アイリスの辛そうな顔を見てると、あまり心配かけたくなくて、強がってしまう
「マスター……」
ディーバが、こちらを辛そうに見てくる
「ふふ、ディーバが来たからもう安心だよユウキ。あんな奴らぶっ飛ばしてやんな!」
「はい、ララ様」
「ふん、女子供が4人増えたところで焦ることはない。来い、お前達」
リーダー格の男が言うと、ぞろぞろと黒ずくめの男達が集まってくる
「アイリス様、ここは私任せてください」
ディーバは、オレ達の壁になるかのように、先頭に立つ
「ほう、自分を犠牲に仲間を逃す作戦かな?小娘よ?」
「小娘だなんて、ありがとうございます。けど、私は自己犠牲でここに立ったつもりは無いですし、あなた方を無事に帰すつもりもないですよ?」
ディーバは男に笑いかけるが、その目は全然笑ってない
あ、このディーバは、マジ切れしてる時のディーバだ
「ははは、この大群相手に、貴様に何ができるというんだ!……殺れ、お前達」
「「「はっ!《アイスインパクト》!!」」」
黒ずくめの男達は、岩のような大きさの氷を大量に生成し、ディーバ目掛けて飛ばしてくる
ディーバはそれを避けようとも、破壊しようともぜず、ただ両手を広げ
「…ひれ伏せ、《グラビティ》」
「「「ガッ…ハ……ッ!?」」」
ディーバがスキルを唱えると、オレ達以外の、氷も、黒ずくめの男達も、地面に叩きつけられるかのように、倒れる
「私が、『大切な人』をあんな風に傷つけられて、怒ってないと思ったんですか?」
「な、何だ…ッ!こ、これは……」
黒ずくめの男達は、必死に立ち上がろうとしている
「私、これまで人を殺した事は一度もありませんが、今日は加減ができそうにありません。……死んだらごめんなさいね?」
ディーバは男達に冷徹な声で、男達に笑いかける。まぁ目は笑ってないが
「ク、クソガァァァァァ!!」
「《プロミネンス》」
凄まじい輝きを放っている炎が、男達に飛んでいき
ドゴオォォォォォォォオオオオン
と激しい爆発音とともに、爆発する
……あれ、マジで死んだんじゃねーか
「動くな!!」
背後から声がし、見てみると、リーダー格の男は、リリスにナイフを向けて、こちらを睨んでくる
あー、あいつ終わったな
「動くんじゃ無いぞ!一歩でも動けばこの女の…!…カッ!?ハッ…!」
男はリリスを離し、その場に倒れ、バタバタと悶える
「ごめんなさいねー。お姉さん、あなたに《酸欠》の状態異常をかけちゃったー。それともう1つ謝ることがあるの。お姉さん、今ね、『大切な人』をボロクソに傷つけられて、超機嫌悪いから、誤って殺しちゃうかもしれないけど、その時はごめんなさいね」
「か…は…ば…ばけ…も…」
男はリリスに何かを言っている途中で、気絶する
「く…!レイス様がやられてしまった!どうするアーガス!」
「えぇ!?そんなこと僕に言われても…」
どうやら遠くにいたおかげで助かった、モーゼスとアーガスが、ひそひそと話している
「よし!ここは私の出番だね!私もだいぶ怒ってるから、ここは『聖剣』で…」
「「それは止めてぇ(下さい)!!」」
ララが『聖剣』を取り出そうとすると、ディーバとリリスが慌てて止めに入る
「ぶー、私だってこのイライラを解消したいよ。仕方ない。お二人さん、私と2対1でいいから勝負しようよ」
「はっ!舐められたものですね!アーガスいきますよ!」
「うん!ぶっ殺してやるよ小娘ぇ!!」
モーゼスとアーガスは、ララが相手をするとわかった途端、チョロイと判断したのか、笑みを浮かべながら突撃してくる
お前ら、ララは一見怒ってなさそうに見えるが、付き合い長いからわかる。……こいつ今、マジ切れしてるぞ?
モーゼスとアーガスは、魔力切れのためかスキルは使わず、近くの剣を拾い、ララに斬りかかる
それは水が流れるような綺麗な動きだった
何年も何年も、剣に触れて、修行をしたからこそできる、洗練された動き
「《アクセル》」
ララは加速スキルを唱え、男達に突っ込み
「「ガァ……!!」」
一瞬で男達を倒してしまう
「私の大切な友達を傷つけるなんて絶対許さないから」
ララはモーゼス達を、冷徹に見下す
周りを見渡すと、さっきまで何十人で『死の狂犬』は襲いかかってきたのに、全員、あっという間に倒されていた
「ははは、すげーや。オレのパーティは」
オレは驚き過ぎて、そんなことしか言えなかった




