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神々のダンジョン (1)

「はい、コレで一通りの治療は完了しました。どこか、痛むところはありますか?」


アイリスは治癒魔法を終えると、オレから離れて、心配そうに言ってくる


オレは肩をぐるぐる回したり、背中をぐーっと伸ばしたりしてみる


「うん、大丈夫そうだな。ありがとうアイリス」


さっきまであった、刺し傷や切り傷、後は打撲や骨折(めっちゃ怪我してたらしい)などは、本当にあったのかってぐらいに、消えていた


「そうですか、良かったです」


アイリスはオレにそう言うと、近づいてきて


パァン!


オレの頰を、力強くぶってくる


「え?」


突然の事で、オレは言葉を失う


「え、何で?…ってお、おい!」


オレがアイリスに尋ねようとすると、突然アイリスが抱きついてくる


「お、おい!これは一体……お前、泣いてんのか?」


アイリスは小刻みに体を震わせ、涙をぽろぽろ流していた


…何でお前が泣くんだよ


「どれだけ、どれだけどれだけどれだけ!!心配したと思ってるんですか!!」


アイリスはオレを、軽めだが、ぽかぽか叩いてきて、かつてないほど大声で、怒鳴ってくる


「私が何で今回のダンジョンを止めたかわかりますか!?別に自分の命が惜しくてやめたわけではありません!パーティメンバーに危険が及ぶと判断したから止めたんですよ!?」


「ご、ごめん…」


「本当にわかってるんですか!?ここにいるディーバやリリス、ララだって、誰1人、自分の命が惜しくて断念したわけではありません!!みんな…みんな、パーティのことを考えて断念したんですよ!?それなのにあなたは…!!」


アイリスは、怒鳴り疲れたのか、少し深呼吸をする


よく見ると、みんな目に隈ができている


……多分、徹夜で探し回ってくれたのだろう


「……もう怒り疲れました。とりあえず、みんなに謝ってください。本来なら、あと三発はぶん殴りたいですが、治癒魔法をかけたとはいえ、怪我人なので、この辺で勘弁しといてあげます。」


アイリスはそう言うと、オレから離れる


アイリスが離れると、アイリスの顔が見えてくる


やはりその目も、みんなと同様、ひどい隈ができていた


とってもひどい隈だ。1日寝なかっただけとかでは、こんな風には、ならないだろう


多分、オレが出てってから、本当に最低限の睡眠しか摂らず、ずっと探し回ってくれたのだろう


こんなに自分が心配されて……大事にされてたのか


何だろう。怒られてるのに、すっごく嬉しい


「みんな、本当に迷惑かけてすみませんでした。」


オレはその場で跪き、土下座をする


まぁ、日本の文化なので通用するかわからんが、それでも、オレが今出せる精一杯の心からの謝罪だった


誰かがオレの肩に手を置く


「ユウキ…」


見上げると、そこには優しく微笑んだララがいた


「ララ…」


あー、これはアレだ



「反省しろ…」



激おこのララだ


ララは冷徹に言い放ち、オレを全力で殴ってくる


「ぶ……ッ!!」


オレの体は、思いっきり吹っ飛ぶ


そして吹っ飛んだ場所にリリスがいて、ララと同様に、肩に手を置いてくる


「お姉さんは、そんなに酷いことは要求しないから安心して」


「リリス…」


こいつは何だかんだ言って、良いお姉さんキャラだよ


「ちょっと買って欲しいものがあるだけだから」


リリスは上目遣いで言ってくる


こいつが欲しいものあるとか珍しいな


まぁ良いだろう


「OK、何でも買ってやるよ」


「ううん、1つで良いわ」


リリスは首を振ってくる


まぁその方が嬉しい。あまり金ないしね。


「わかった。言ってみろよ」


「うん、ありがと」


とリリスは言うと、一呼吸おいて


「あのディーバの持ってる杖をお姉さんにもちょうだい」


リリスさん、勘弁してください。アレ、1000万するの知ってますよね?オレの内臓、何個売れば良いんですか?


「マスター…」


オレとリリスが話してると、ふらっとディーバが近づいてくる


こいつ、多分怒ってるだろうな


オレの予想通り、ディーバはオレの服を掴み、持ち上げる


嫌だなぁ、殴られるの…


「あんまり痛くしな…んぐッ!?」


ディーバが突然キスをしてくる


「「「んな!?」」」


アイリス達は、ディーバのその行動に、固まる


「……ぷはっ!私のお仕置きはこんなんで許し……んぐッ!?」


ディーバが離れると、オレはディーバにキスをする


勘違いしないでほしいが、別にディーバに惚れたわけではない


こいつの目は、アイリス達の中で、かなり隈が酷い方だ


多分、一睡もしてないんじゃいかってぐらいだ


こんぐらいのご褒美は、あって良いんじゃないか?


「…ぷはっ!今のはご褒美だ。勘違いすんなよ」


オレはそう言って、ディーバから離れる


ディーバは、茹でたタコのように顔が真っ赤になっていた


「……私、今なら死んでも良いです。」


…お前って結構チョロいよな




とりあえず今日は、ダンジョン内で寝る事にした。


今から出て行って、仮拠点を借りるのも面倒くさいしな


リリスが敵感知スキルを発動してくれてるし、大丈夫なはずだ


みんなが寝静まった後、オレはある所に来ていた


「ごめんな。助けてやれなくて」


オレは名も知らない男に謝罪する


まぁオレがあの場に飛び出していったら、アイリス達の助けは間に合ってないだろうから、オレまで死んでただろうけどな


それでも、目の前で殺されてしまったんだ


「ここを出て行く時に、あんたもきちんと連れてくよ」


連れて行って、お墓を作る


オレにできるのは、それくらいだ


「誰ですか?それ」


背後から声がし、振り返るとアイリスがいた


「知らね。けど、……オレの目の前で殺されてな。本気で悔しかった。オレにもう少しだけ勇気と……力があればなって思ったよ」


「そうですか」


アイリスはそれ以上聞いてこない


多分オレが話せば、きちんと聞いてくれるだろう


けど、自分からは聞いてこない


こいつはこういう無駄なとこで、気を使ってくる……とっても良いやつだ


「ところでユウキ、私のお仕置きがまだ済んでいませんが…」


「え!?貴方からは充分説教とビンタをされましたが!?」


アレで終わりじゃないの!?


「まさか、あんなんで終わるわけないじゃないですか」


マジかよー!!


「ユウキ、こちらを向きなさい」


逃げ出そうとするオレに、アイリスはオレの首をガシッと掴んでくる


いやだぁぁぁぁ!


「ユウキ」


「はい」


オレは渋々、アイリスの方を向くと


「うぉっ!」


アイリスが突然抱きついてくる


「あ、あの…アイリスさん?」


「本当なら、ララのように殴りたいし、リリスのようにデート権をゲットしたいし、ディーバのように…キスしたいです。けど、それは彼女達の役割なので、私はこれがお仕置きです」


いやいや、これ思春期の男子からはご褒美って言うんですよ?


美少女に抱きつかれるなんて、最高のご褒美だろ


「本当に今回は物凄く心配したんですからね?朝起きたらいないし、ギルドの人達に尋ねたら、夜中に馬車に乗るのを見たっていう人がいて、あの瞬間は、本当に血の気が引きましたよ」


「すみません」


「まさか、魔法国アルカディアに行ってないよな?と思ったら、見事目撃情報があって、あの瞬間は殺意が湧きましたね」


「マジすみません」


「特殊ダンジョンに着いて、そこにいる冒険者に話を聞いたら、西門からそれらしき男を見かけたと聞いて、あの時は殺意よりやっと見つけたっていう安堵の方がでかかったですね」


「ありがとな」



「本当にわかってます!?どれだけ私が心配したのか!正直心の中では、最悪な事も覚悟してましたよ。なんて言ったって、最難関のダンジョンですからね?」


「知ってるよ」


だって、あの中の誰よりも、隈が酷くて、疲れ切った顔してるもん


「……はぁ。私からのお仕置きは、『今後、何かある時は、必ず私に報告すること』これで許してあげます。約束できますか?」


「あぁ、約束するよ」


「……そうですか。ならユウキ。目を閉じてしゃがんで下さい」


「え?」


「良いから」


「はい…」


オレはアイリスに返事をし、その場にしゃがみ込む


おいおい…これってもしかして


マジかよー!!


アイリスから……マジかよー!!


「本当に目を閉じてますか?」


「あぁ、閉じてるよ」


「そうですか」


アイリスはそう言うと、ふーっと息を吐き



「ふんっ!」



「グハッ!!」


お腹の溝を、思いっきり殴られる


「これで勘弁してあげます。さぁ、もう寝ましょう」


アイリスはそう言うと、立ち去っていく


「ごほっ!ゴホッゴホッ!!」


オレは溝を殴られたせいで、めちゃくちゃむせる。


こ、呼吸が…


あいつ、思いっきり殴りやがって


まぁ、そんな事だろうなと思ったよ!チクショー!!



ーーありがとな















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