表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイレントダーク:ダンジョンは壊れた夜に舞い降りる――壊れたのは、世界か、私か  作者: くろのわーる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/60

第55話:白い施設



 住宅街から離れた地区。


 耕作地を管理する人間がいなくなったことで建てられた研究所施設。


 表向きはダンジョン災害で親を失った子供たちを保護するための施設だった。


 白い屋根に白い壁。


 周りの自然と、不釣り合いな潔癖な建物。


 だが、よく見れば中に入った人間を簡単には出さないような構造。


 異常ともとれる数の監視カメラがこの施設の異質さを際立たせていた。


 自動ドアの入り口を抜けると過剰とも言える装備を身につけた警備員。


 3重のドアの先には表情のない子供たちと、白衣を着た施設員。


 りこを脇に抱えたネームドは声をかけられることもなく、奥へと向かう。


 やがて、エレベーターの前についた。


 そこにもやはり警備員が立っていたが入り口の警備員とは装備が違う。


 隠すこともなく、その手には銃があった。


 地下専用のエレベーターの中、りこが身動きする。


「……どこ?」


 意識が覚醒したりこにネームドが笑顔らしき表情を向ける。


「君の新しい住まいだよ」


 りこの身体が強張るがネームドの腕は微動だにしない。


「いや……なぎ、さよ」


 りこは腕から逃れようと手足をバタつかせる。


「はなして!なぎにあわせて!」


 その願いは届かない。


「うるさいよ」


 ネームドは空いている方の手でりこに触れた。


「!?」


 一瞬の硬直。


 糸が切れた人形のように、りこは身体ごと項垂れた。


 エレベーターの扉が開くと、変わらぬ足取りで歩いていく。


 進むごとにセキュリティは厳重になるが、ネームドの足を止める者はいない。


 それよりも中にいる人間達の視線はりこに向いていた。


 長い廊下。


 両端にはガラス張りの部屋が並ぶ。


 部屋の中には、もの・・を固定する台に複雑な機器が並ぶが、ネームドはそれらに目を向けることはない。


 廊下の先に見える扉の向こうに用があるからだ。


 扉の前、表情が抜け落ちた警備員達を前にして、初めてネームドの足は止まった。


「開けろ」


 機械的に警備員は動き、扉を開けた。


 中にいるのは白衣を着た者達。


 誰もが猫背気味で不健康な様相だった。


 その中でも、特に異質な雰囲気の初老の男に声をかける。


教授プロフェッサー


 教授プロフェッサーと呼ばれた男はブツブツと何かを言いながら、画面から目を離さない。


 男は画面に写る影で気付く。


「……No.ゼロか」


 振り返った顔には、どこか誇らしげな色があった。


 自身が手掛けた完成体。


 いや、数少ない成功例と言った方が無難だったと思い直す。


「No.18とNo.19はどうだった」


 凪を捕獲する為に、導入された兄妹の試験体の被験番号。


 そこで今日の任務を思い出す。


「あれは失敗だ」


 教授プロフェッサーはひと言「そうか」と言うと視線を変えた。


「それは?」


 まるで差し入れの中身を確認するような抑揚。


「あんたが求めていた」


 そこで一旦溜めを作った。


「未来の欠片だ」


 教授プロフェッサーの口角は裂けそうなほど、上がった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ