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エピローグ

 これは、


 この物語の後日談というか、オチ。

 あれ、なんか違うな。

 オチというか、物語の後日談……ああもういいや!


 である!



 #######



 亜人の国『ドルバム』の湾岸都市に隣接する海での出来事は瞬く間に全土へと広がった。

 超巨大タコが突然と現れ、突如として消える。

 湾岸都市の地元の人からすれば……ゴゴこと『黒鉄騎』と、王子の寵愛を受ける獣人ライラが走って海へと走っていき、雲に頭が届きそうなタコが現れ、海へ出ていた漁師たちを拾ってきたと思ったら、津波が来て、タコが消えた。

 ……と、捉えられるのだ。

 そりゃあ混乱もするだろうね。


 一時期は混乱する湾岸都市に『ドルバム』の全戦力が集められたけど、ゴゴの「大丈夫だ」という鶴の一声によって騒ぎは収束された。

 そんなこともあってか、超巨大タコの討伐されたということになり、手柄はゴゴたちのものとなった。

 それによりゴゴの冒険者ランクが天級へと昇格した。

 これは類を見ない大出世、むしろ伝説だ、というレブロさん談。

 ゴゴを貴族にするという案も出たけどこれは僕が却下させた。

 異世界の貴族って噛ませのイメージしか無いしねー。

 しかも亜人の国の貴族ってことは『狼破王』に仕えるんでしょ?……え?ああ、まだ生きてるよ。ピンピンだよ。


 それに領地経営とかはただの魔法、魔力量チートの僕の出番はゼロだしね。

 僕が知る程度の地球の知識じゃ内政チートとか無理です。

 普通にこの世界は三圃式農業とか当然のようにしてるし。

 教育もしっかりしてるし、衛生面も悪くない。魔法があれば科学とか不必要だし。

 法や経済、交通や水路とかも実はかなり発達しちゃってるんだよチクショー。


 あと、ライラだけど。

 結婚しました。玉のこっしー。

 えー……王子様は一途で熱い人でね、タコ騒動の後に少ない護衛を連れて亜人の国へひとっ飛び。その場でライラに求婚。ローション塗ってんのかってくらい滑りの良い勢いだった。

 ライラはそれに顔を真っ赤(クチバシの一部が紅くなるんだよ……)にして「少し返事は待って欲しい」「でも返事は恐らく……ハイ、です」と可愛いらしい返事をしやがったのです。

 王子はわははと笑って浮かれまくったけど、当然、実質の保護者であるゴゴとの二者面談が行われた。ああ、僕も居たよ。

 情熱的な男らしいやり取りを終えると、正式にライラは奴隷から解放され、次の日には王子様がライラを普人の国へとお持ち帰りした。

 普人の国は獣人や亜人に差別意識があるから、受け入れられないんじゃ?とも思ったけど、国民のほぼ全員がライラに萌え萌え状態らしい。

 男も女も可愛いと感じさせるライラ、恐ろしい子……!


 これも後から知ったんだけど……実は僕が祭りの最中に助けた少年が少年ですらなくて、実はその国のお姫様(ライラの義妹)だったんだよねぇ。

 全国民の前で僕の正体が危うくゲロられるとこだったよ。念話を受け取ったライラがなんとか止めてくれたんだ。






「……で、それでね、メリエちゃんに渡した卵が孵ったんだけど……それが絶滅したと思われてた太古の竜だったんだよ!」


 僕はその時のことを思い出しながら、言葉を紡ぐ。


「そいつ、シロって名前なんだけど、産まれて一ヶ月でゴゴとまともに戦えるんだよ?どんな化け物なのさって……」


 尻尾をふり、黙って話を聞いてくれている人の膝の上で、ごろんと寝転がる。


「そんなんだから、僕ね、シロが赤ちゃんの時に何度も「君、転生者だろ?知ってるよ」ってボソボソ話し掛けたけど、どうも違うみたいなんだよね~……」


 やや興奮して話をしていると、頭をふんわりと撫でられた。


「……ふふ」

「ん……?どうしたの、テロスさん?」

「だから我はテロスオセロスだ。いや、なに。やはりカリィノは愉快に話してくれる、と思ってな」

「むー、何それ。小馬鹿にしてる?確かに上手く纏めて話せてるか分からないけどさー……」

「ふふ、我なりに褒めてるのだ。ああ、そういえば龍人の大陸には行ったか?なんでも大陸の中心は世界で一番美しい風景と聞いたが……」

「そうなの?龍人の住む大陸にはまだ行ってないや……あ、そうだ!写真を撮れる魔法があれば風景を見せられるじゃないか!なんで思いつかなかったんだろう……」

「シャシン?なんだそれは」

「おっ、いいね。その台詞!……じゃない、えーと、景色の瞬間の場面を写して切り取れる魔法……かな?」

「むむ……よく解らぬな」

「うーんと、こう、こう……こうか!よし、出来た。論より証拠、いや習うより慣れよかな?まぁ取り敢えず見てみれば……」


 とその時、大きく豪華な大扉が乱暴に開けられる。

 扉を開けて、冷静を装い、早歩きでこっちに来たのは兜を脱いだ無表情のゴゴであった。


「主、任務は終わりました。ああ、そんな雌龍の傍に居ると、駄目ですよ」

「ほう……来て早々失礼極まりない奴め。我を駄目、とはどういうことだ?ゴーレム如きが」

「は?正体が馬鹿でかい龍の貴女に言われたくありません。文字通り万年引きこもりが」


 正確な性別がない同士の二人が何故か口論が激化させていると、どこかで何かが衝突した音が聞こえた。

 やがて、後から現れたのは人化したショタ姿のシロを先頭にして、メリエちゃん、モオゴさん、ミスダさん、アマミウズさん達であった。


「うっわ。なにここ、広ーい!あ!クロ、久しぶり~!」

「やぁ、メリエちゃん。シロが皆を此処に連れてきたのかな?」

「うん!シロね、みんなをあんぜんに、つれてきたお!」

「うふ♪ 偉いねぇ!シロはー!」

「め、メリエ……お父さん、今回ばかりは冗談抜きで死ぬかと思ったぞ……!」

「うるさい黙れ」

「ううう……なんで聖騎士の私が、まったく歯の立たない魔物がうじゃうじゃ居るのよぉ……」

「諦めた方がいいな、メリエ君。カリィノが関わると、ロクな事にならない」


 元気な子供組と、疲れたようにした大人組。まったく大人は情けないなぁ。

 もしかして、この調子だとまだ誰か来るかな?と思ったら、予想通り、空飛ぶ水の船に乗ってライラとその夫の王子、それに姫様が優雅にやって来た。


「ご主人様ぁ!お久しぶりです~!」

「こらぁ、ライラ。僕はもう君の主人じゃないぞ」

「はっはっは!カリィノ殿、朕を気にする必要はないですぞ!なんなら朕もご主人様とお呼び致しましょか!?」

「やめて」

「カリィノ様!お久しぶりです!」

「やぁ、姫様。元気だったかな?」

「はい!あのぅ……久しぶりに会って不躾とは思いますが、また今度、空に浮かばせてくれませんか?」

「うん、構わないよ」

「うふふ、有難うございます!」


 お姫様とライラは普人の国改め、自由の国でのツートップアイドルであるらしい。可愛い。

 あの時女の子と気付けなかった僕はホンマアホやで。

 あ、京都弁どころか大阪弁だった。というか懐かしいなぁ。


 姫様が国民の前で僕のことをカミングアウトした時は「やってくれたな小娘ぇ!」と思ったけど、念話無しで人と話す方がやっぱり、気が楽だ。


「カリィノよ。それで、シャシンとは一体どういったものなのだ?」

「うん、えっと……みんな~。ちょっと集まって~」


 最高難易度のダンジョンのボス部屋で自由気ままにお喋りするみんなに声を掛ける。

 直ぐに寄ってくる者。のんびりと近寄る者。ビクビクしながら近付く者。毅然として歩いて来る者。目を輝かせて飛んで来る者。

 そして、全員が近くに集まった。


「ありがとう!よ~し、もっとみんなで近寄ってー。はい、ここに立ってね。写真を撮るから……ん?まぁまぁ、見れば分かるから。魂を抜き取られるとかベタなことを言わないでね。で、全員あっち向いてー……各々、好きな表情、ポーズをとってね!……ハイ、チーズ!」



 #######



 そこは未開の地と言われる場所。どの人種の文化も入っていない魔境の地。通称「最果ての霊峰」。

 自力でそのダンジョンの主が棲む場所へと到達した者は誰も居ないとされてきた。

 しかし。そこに纏わるある噂が流れ、人々の間で語り継がれて、おとぎ話となっていた。

 その噂の出処はわかっていない。

 世界各地を巡る有名な大商人、名を馳せた英雄、最強の魔術師、世界初の多民族国家の王族、太古の伝説の魔物だとも伝えられており、どれもが眉唾ものとされる。

 その噂とは……「最果ての霊峰」の主の棲む部屋には特殊な魔法で世界各地の美しい風景が所狭しと飾られているというもの。

 そこに行けば、世界の全てを一遍に覗くことが出来るといったものだ。

 そのおとぎ話を聞いた子どもは美しい世界のことを夢想し、海の外へと駆り出していった。

 もし、それを老人の世代が聞いたなら冷笑するだろう。すぐに命を落としてしまうと。

 だが、少ないのだ。無謀な挑戦によって死ぬ若者たちは。

 勿論、それは国の政策やギルドの支援や実力の底上げによるものであるのは言うまでもないのだが。

 それもこれも含めて。

 もうひとつ、全ての噂にはある噂……いや、ある猫が付きまとう。

 誰もが口にして、誰もが知るその猫。名前は、カリィノ。

 それの出処など、誰も知らないし知る必要はない。


『道楽の為に生きる猫。なんでも出来る猫。いつでもどこでも楽しんでおり、黒毛の身体に金の尻尾を持っている』


 そして皆、口を揃えてこう言うのだ。


「カリィノなら、どこかで観光でもしているよ」


 実に楽しそうに、言うのであった。

これにて、本編は終わりです。

締め方に苦労しました……ホント。

作者の気が向いたら番外や裏話が入りますので、読んでいただければ。


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